Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Outline of Research at the Start |
機能解明においてタンパク質の構造変化の抽出は重要である. 分子動力学計算 (MD) はフェムト秒スケールの時間分解能で構造変化を追跡できるが, 機能発現の長時間スケールに到達できない. また, 機能に関係する構造変化はマイクロ秒以上の長時間スケールの確率過程で観測される「レアイベント」であるため, 長時間MDが実現しても抽出できる保証はない. 本研究では, 機械学習 (異常検知) を利用し,「構造変化し易い構造」と「異常度が高い構造」を対応づけ, 異常度が高い (遷移確率が高い) 構造を特定・選択し, 短時間MDを繰り返すことで構造変化を促進し, レアイベントを抽出可能な計算手法を開発する.
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Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は, 開発手法を実際のタンパク質多量体へ適用し, その解離過程を解析した. 次年度までに開発が概ね完了した異常検知型PaCS-MDを適用し, 多様なタンパク質多量体の解離過程を抽出した. 解析では, タンパク質多量体を形成するために経由しなければならない中間構造, および特徴的な分子間相互作用の解析と分類を進めた. 特徴的な分子間相互作用として, タンパク質同士が解離するまでに長時間継続的に保持される様式が観測され, 多量体形成において経由する多段階の準安定状態を安定に保つ役割を果たしていることが示唆された. さらに, 既知のモデルタンパク質多量体への適用に加え, 実験研究者との共同研究に発展した. 具体的には, 開発手法を実験研究者が提供した複合体構造に適用し, 解離過程における分子間相互作用の崩壊を解析したところ, 解離するまでに長時間継続的に保持される様式を確認した. これらの分子間相互作用については, タンパク質の種類に依存することのない普遍性のある様式なのか, 現在検証を進めている. 以上のように, 実際の実験構造としてのタンパク質複合体への適用も現実的であり, 開発手法を有用性と実用性を示すことができたのは大きな収穫である. 今後も, 分子間相互作用が未知のタンパク質複合体へ開発手法を適用し, 中間体構造と特徴的な相互作用の情報を実験サイドへフィードバックしながら, 実験と理論の両面からタンパク質多量体の形成・解離過程の理解を深めていく. 開発手法に関しては現在プログラムを研究者に公開する準備を進めており, 本研究における成果物の社会還元を進める.
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