Project/Area Number |
21K06176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44010:Cell biology-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2023) Osaka City University (2021) |
Principal Investigator |
中村 太郎 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (30291082)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | リン脂質 / BARドメイン / 酵母 / 膜 / BAR / 細胞膜 / 胞子 |
Outline of Research at the Start |
細胞膜は、谷のような陥入構造を持っている。また栄養細胞と胞子ではその形状は全く異なっている。この陥入構造の形成には、Pil1,Pil2という2つのBARドメインタンパク質がそれぞれ関わっている。栄養細胞の陥入は細胞外のものを取り込むエンドサイトーシスに関わると考えられるが、胞子の持つ平行に走る陥入の役割は謎である。本研究は、どのようなメカニズムによって、このような特徴的な陥入ができるのか、Pil1とPil2の解析を通して明らかにしたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜は、平坦ではなく、谷のような陥入構造を持っている。分裂酵母においては、栄養細胞では陥入構造がまばらにランダムに見られるのに対し、胞子では並行して電子顕微鏡下で観察される。この陥入構造の形成には、Pil1,Pil2という2つのBARドメインタンパク質が役割分担をして、関わっていることを申請者らは明らかにした。栄養細胞の陥入構造はPil1、胞子のものはPil2が、主として関わっている。栄養細胞における陥入構造は、「エイソソーム」ともよばれ、エンドサイトーシスなどに積極的に関わっていると考えられる。一方、胞子は代謝がほとんど行われない休眠細胞であるため、その陥入構造がエンドサイトーシスに関与しているとは考えにくい。本研究の目的は、①この特徴的な陥入構造はどのようにして形成されるのか?②陥入構造をもつことは胞子にとってどのような生理的な意味を有するのか?について、分子レベル、細胞レベル、in vitroのレベルから明らかにすることを目的とする。これまで申請者らは、Pil2の胞子への局在に必要な遺伝子を、遺伝子KOライブラリーを用いて30以上同定した。このうちリン脂質ホスファターゼInp53を解析を進めた。その結果、分裂酵母は2つのリン脂質ホスファターゼを使い分けていること、Inp53欠損株では溝構造が形成されないことを明らかにした。さらに、胞子形成時には胞子膜のリン脂質の組成が変化することが分かった。また、S. pombe以外の分裂酵母および出芽酵母胞子の溝構造についても電子顕微鏡解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pil2の胞子膜への正常な局在に関わるリン脂質ホスファターゼInp53を解析を進めた。Inp53は、PI(4,5)P2を脱リン酸化するタンパク質であるが、S. pombeはこのパラログSyj1を持っている。Syj1欠損株ではPil1の局在に異常が見られるが、Pil2の局在以上は見られなかった。一方、Inp53欠損株ではPil1の局在は正常であることが知られている。また、電子顕微鏡解析により、Inp53欠損株の胞子には溝がみられなかった。以上の結果から、分裂酵母は2つのリン脂質ホスファターゼを使い分けていることが明らかになった。さらに、リン脂質の分子マーカーを用いて蛍光顕微鏡観察を行った結果、形成時の胞子膜にはPI(4,5)P2が多く含まれていることが分かった。また、S. pombe以外の分裂酵母および出芽酵母胞子の溝構造についても電子顕微鏡解析を行った。分裂酵母S. japonicusとS. octosporusの胞子にはS. pombeと同様の溝が見られたが、出芽酵母のS. cerevisiaeの胞子の溝は栄養細胞のものと形態的に同様のものであった。これらのことから、胞子の溝の役割は生物によって大きく異なることが示唆された。以上のことから、本研究はおおむね順調に伸展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
Inp53が胞子膜のリン脂質組成にどのように関わり、それがPil2の局在にどのように影響するかを調べたい。また、未解析のPil2の局在に関わる遺伝子の解析を行っていきたい。特に、Pil2が胞子に輸送されず誤って母細胞の細胞膜に輸送される変異株は特に興味深いので、これらがどのようなメカニズムかなどを分子遺伝学、分子細胞生物学的アプローチで明らかにしていきたい。また、リン脂質の組成がオルガネラにより大きく異なるから、リン脂質の合成酵素の変異株(ほとんどは生育に必須なため壊株は使えない)を用いた局在観察も行いたい。これらの解析により、「細胞膜の陥入形成」という普遍的な現象に新たな知見を加えたいと考えている。
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