Project/Area Number |
21K06199
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 祥彦 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点助教 (60589266)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | miRNA / ナイーブ細胞 / iPS細胞 / ナイーブiPS細胞 / 再生医療 |
Outline of Research at the Start |
ヒトiPS 細胞やES 細胞に代表される多能性幹細胞はより未分化で多能性が高いとされる「ナイーブ型」と分化が進んでいる「プライム型」とに分類される。初期発生の研究や再生医療のための多様な細胞の供給にはナイーブ型細胞が有用であるが、これまでのリセッティング法では効率が低くフィーダー細胞が必要である。本研究では、ナイーブ化を誘導するmiRNAが、細胞機能に影響を与える理由を解明し、さらにフィーダー細胞を用いない安全なリセッティング方法と維持方法を確立し、再生医療の推進をはかる。
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Outline of Annual Research Achievements |
ヒトiPS 細胞やES 細胞に代表される多能性幹細胞はより未分化で多能性が高いとされる「ナイーブ型」と分化が進んでいる「プライム型」とに分類される。初期発生の研究や再生医療のための多様な細胞の供給にはナイーブ型細胞が有用であるが、ナイーブ化の機構の解明とリセッティング法の効率化がが必要である。当該年度では、ナイーブ化を誘導するmiRNAが、細胞機能に影響を与える理由を解明するため、ナイーブ化を促進するmiRNAと、それとは無関係なコントロールmiRNAをES細胞に導入したのち、single cell RNA-seq (scRNA-seq) を実施した。scRNA-seq の結果からmiRNA添加後1日(ナイーブ化開始後3日目)からすでにmiRNA導入細胞群とコントロールの細胞群とが別れ始めることが明らかとなった。このDay3の段階でmiRNA導入細胞特異的に増大、または減少している遺伝子群について、過剰発現または、siRNAノックダウンを行い、いくつかの遺伝子がナイーブ化に大きく寄与していることを明らかにした。さらに、これらの遺伝子を小分子を用いて制御することでもナイーブ化の効率を改善させることができた。本年度の成果から、(1)ナイーブ化に寄与する遺伝子群の同定によりナイーブ化のパスウェイ解析が可能になり、さらにmiRNA導入以外にも(2)遺伝子発現制御でナイーブ細胞生産効率を改善できること、(3)培地中に小分子やタンパク質を加えるだけでナイーブ化効率を改善できることを示した。とくに(3)の項目は、培地に添加するだけで効率的にナイーブ細胞を生産できることから、今後のナイーブ細胞の医療応用を想定すると重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の計画は以下の3点である。(計画1)新規に発見したmiRNAが影響を与えるナイーブ化に関連する遺伝子の同定。(計画2)発現量と活性の差を生み出す機構を解明し低発現量のmiRNAが細胞機能を制御する機構の解明。(計画3)ナイーブ型ES細胞を安定的に高効率に取得する方法の確立。 本年度では(1)について、scRNA-seqの解析と実際の過剰発現、ノックダウン実験により遺伝子を同定することに成功し完了した。(2)については、計画通り定量性の高いmiRNA発現解析法であるAQ-seqにより、ナイーブ細胞とプライム細胞のmiRNAの発現量を定量した。(3)については、計画年度を前倒しして遺伝子発現、小分子、タンパク質添加等、簡便かつ効率的にナイーブ細胞を取得する方法を確立しほぼ完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
すでにナイーブ化効率を促進する因子(遺伝子、小分子、タンパク質)を同定したので、今後はこれらの因子が互いにどのような関係(どの遺伝子が上流であるのか、必須であるのかなど)にあるのかを解明する。これによって、プライム状態からナイーブ状態の遺伝子ネットワークに変化する際の遺伝子発現の変遷の全様を明らかにする。 また、活性スクリーニングからえられた活性プロファイルとAQ-seqによっってえられた発現プロファイルが一致していない原因、なぜ発現量の低いmiRNAが活性を持つのか、また実際の生体内でナイーブ化がmiRNAによって制御されているのか、という根本的な疑問を明らかにする。さらに、ナイーブ化するかどうかがリセッティング初期のDay3前後に決定されていると推測されるため、追加の計画としてES/iPS細胞のラインによってナイーブ化効率が異なる原因についてDay3前後のRNA-seqを行うことで明らかにする。
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