Project/Area Number |
21K06343
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
天池 庸介 北海道大学, 高等教育推進機構, 特任助教 (20825377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 隆一 北海道大学, 理学研究院, 教授 (80192748)
佐々木 瑞希 旭川医科大学, 医学部, 助教 (00632126)
中尾 稔 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70155670)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | キタキツネ / 都市生態 / 集団遺伝 / 公衆衛生 / 非侵襲的遺伝サンプル / 集団隔離 / 野ネズミ / エキノコックス / キツネ / エキノコックス症 / 都市環境 |
Outline of Research at the Start |
近年、北海道において都市に定着するキツネ(“都市ギツネ”)の個体数が増加しており、キツネと野ネズミを宿主とする寄生虫エキノコックスのヒトへの感染リスク増加が懸念されている。そこで本研究では、都市部におけるエキノコックスの感染リスク評価とその伝播メカニズムの解明を目的として、都市ギツネと野ネズミを対象に生態遺伝学的および疫学的調査を実施し、個体群密度や分散パターン、地域毎のエキノコックス感染率などを明らかにする。本研究の成果は感染症予防対策の構築に寄与する。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度から引き続き、本年度も北海道旭川市に生息するキタキツネ(以下、キツネ)を主な対象とし、非侵襲的遺伝サンプルを用いた分子生態学的調査を実施した。前年度の調査結果から、旭川市街地におけるキツネ集団は、地域によって異なる遺伝構造を示し、生息地が分断されている可能性が示された。しかしながら、地域間におけるサンプルの偏りが大きく、それが分析結果に影響を及ぼしている可能性が考えられた。既に令和3年度から令和5年度までの3年間のキツネ糞便等採集調査で十分なサンプル数は確保しているため、市内におけるキツネの分散パターンをより詳細に明らかにするために、本年度は未分析サンプルを含む集団遺伝構造解析に注力した。分析を行ったキツネDNAサンプル310個から150個体を識別し、その核DNAマイクロサテライト多型データに基づく集団遺伝構造解析を行った結果、市内の地域によって遺伝構造が異なり、かつ地域集団間で有意な遺伝的分化が見られたことから、旭川市街地におけるキツネ集団は、生息地の分断化が起きていると考えられる。加えて、都市公園のキツネ集団のうちの一つでは、他集団からの遺伝的分化の度合いが著しく大きいことから、高い隔離性があることが示唆された。遺伝的分化の要因としては、緑地の分断、住宅地、河川、高速道路などが考えられる。前年度の結果と比べ、統計的有意性や新たな傾向が示されたのは、サンプル数増加による影響が考えられ、今後解析サンプルを補完していくことで、都市部におけるキツネの詳細な移動の様子が明らかになることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
核DNAのマイクロサテライト多型解析において、大量のサンプルを処理するのに時間を要することに加え、度重なる分析機器の故障から、進捗に遅れが発生している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、北海道旭川市およびその周辺地域を主な調査地とし、キツネ調査を実施する。次年度においては、標本採集調査は基本的に行わない。調査の主軸としては、未分析分のサンプル処理および分析を行い、核DNAのマイクロサテライト多型データの補完を行った上で、最終的に大量のキツネ遺伝子型データと個体情報からより詳細な集団遺伝構造と分散パターンを推定する。また、都市部と郊外を比較し、移入率や移入経路などの推定も試みる。都市部におけるキツネの環境利用を明らかにするために、既存のキツネ糞サンプルを用いて、DNA分析法による食性の比較分析を行い、都市特有の地域性について調査する。
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