Behavior and functions of organic phosphorus in the soils of natural ecosystems
Project/Area Number |
21K06349
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平舘 俊太郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (60354099)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 有機態リン / 有機態リンの無機化 / 核磁気共鳴 / オルトリン酸生成速度 / ホスファターゼ活性 / myo-イノシトール6リン酸 / フィチン酸 / 非アロフェン質黒ボク 土 / 非アロフェン質黒ボク土 / ホスファターゼ / イノシトールリン酸 / 有機態リン化合物 / p-ニトロフェノールリン酸 / オルトリン酸 / リンの無機化 / 外来植物 |
Outline of Research at the Start |
リンは植物生産性を支配する重要な因子である。自然生態系の土壌中では、多くのリンは有機態リンの形態で貯蔵されており、これが無機化されてオルトリン酸となった後、植物により吸収される。本研究では、自然生態系の土壌と施肥等人為的影響を受けた土壌とで、有機態リンの化学的実態および機能を比較し、その違いを明らかにする。このことにより、生態系保全のために保つべきリン循環の姿を明確にするとともに、農業活動などに由来するオルトリン酸の流入が生態系を変えるインパクトを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、土壌中の有機態リンについて、(1)その種類(化学構造)、(2)存在量、(3)無機化速度(オルトリン酸生成速度)を明らかにし、土壌中におけるリンの化学的実態および機能とともに、人為的管理の影響を明らかにすることを目的としている。令和4年度までの研究により、一般的な定法では有機態リンの無機化速度を適正に評価できないこと、これは定法では土壌に残存する酵素活性を測定しているのに対して、土壌中で有機態リンの無機化を担っているのは微生物活動であるのが原因であることが明らかになっている。また、大分県久住高原の森林植生下の非アロフェン質黒ボク土表層土壌では、含まれる全リンの約6割がオルトリン酸モノエステルであり、そこにはフィチン酸が主要な成分として含まれることなどが明らかになっている。 令和5年度は、令和4年度に調査した大分県久住高原の森林植生下の非アロフェン質黒ボク土に隣接する人工改良草地の土壌(非アロフェン質黒ボク土)を対象に、含有するリンの化学形態を調査した。人工改良草地土壌では、最表層部(0~5 cm深)において森林土壌の約3.5倍のリンが蓄積しており、その増分は施肥由来であると考えられること、その大部分は無機態リン酸(Ca結合型リン酸およびAl結合型リン酸)として存在していること、有機態リンも約5割増加していることを明らかにした。下層土壌(15~20 cm深および85~90 cm深)では、含まれるリン化合物の種類や存在量に両土壌間で大差なかったことから、施肥されたリンの移動速度は非常に遅いと考えられた。これは、施肥リンの主要形態であるオルトリン酸は土壌に吸着されやすいためであるが、フィチン酸はオルトリン酸よりも土壌に吸着されやすいことも明らかになった。フィチン酸が土壌に対して吸着されやすいことは、フィチン酸が分解を受けにくい一つの要因になっていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、当初想定していた数の土壌について、有機態リンの無機化速度を明らかにしており、また有機態リンの種類やその存在量の分析についても順調に進捗している。これら当初想定していた研究に加え、定法として一般的に用いられている有機態リンの無機化活性測定法の問題点を明らかにするとともに、その改善に向けた方向性を明らかにした。また、有機態リンの無機化反応は、有機態リンが土壌に吸着されることで阻害されること、このため有機態リンの土壌吸着特性を把握することは重要であることを明らかにした。一方で、新たな課題も浮上した。土壌中の有機態リンの分析は、強アルカリ溶液によって抽出した後、これを液体31P核磁気共鳴スペクトル分析を行うことで進める計画であったが、液体31P核磁気共鳴スペクトルは腐植物質など共存する夾雑物濃度が高まると適正なスペクトルを与えない事例があることが明らかになり、この点は解決すべき問題点であると考えている。この点は、何らかの対応が必要な状況にある。しかし、本来想定していた研究は順調に進捗しており、想定以上の結果も得られたうえでの新たな課題であり、この課題も新たな研究への架け橋であると考えることから、本研究は当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、土壌中の有機態リンの存在形態を、自然生態系の土壌と施肥等人為の影響を強く受けた土壌で比較するが、施肥によって添加された無機態のオルトリン酸はほとんど有機化されず、大部分はオルトリン酸のままCaやAlと結合して添加された土壌層位に残存することが示された。このような事例は他の研究でも報告されていることから、本事例をさらに集める必要性は低いと考え、令和6年度は他の研究に力を入れることとしたい。 自然生態系では、海鳥の営巣活動によってリンが土壌中に大量に持ち込まれる事例があるが、このような土壌におけるリンの存在形態は詳細な解析事例がまだ知られていない。このため、令和6年度は海鳥の営巣活動の影響によりリンの存在形態や存在量がどのように変化するかを明らかにする研究を実施したい。 土壌中有機態リンの分析法において、土壌から強アルカリ溶液を用いてリン化合物を抽出する方法では、腐植物質など夾雑物質濃度が高くなり、液体31P核磁気共鳴スペクトルの質が著しく低下する事例があることから、他の手法を検討したい。例えば、強アルカリ溶液によって抽出された有機態リンを精製する手法、適宜希釈する手法、他の抽出試薬を用いる手法などを検討したい。 土壌中に存在する有機態リンのうち、化学構造が明確で重要な化合物はフィチン酸であり、その他の化合物は存在していたとしてもその量は非常に少ない。これは、フィチン酸が土壌に対して吸着されやすく、また土壌に吸着されればフィチン酸は無機化されにくいためと考えられた。この仮説を検証するために、各種有機態リンの土壌に対する吸着親和性を明らかにする研究を実施したい。
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Aluminum in soils2023
Author(s)
Hiradate Syuntaro
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Journal Title
Encyclopedia of Soils in the Environment Second Edition
Volume: 2
Pages: 167-175
DOI
ISBN
9780323951333
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