発達期レム睡眠が育てるノンレム睡眠の成熟 =マウス臨界期操作によるアプローチ=
Project/Area Number |
21K06436
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 46030:Function of nervous system-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 浩行 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任准教授 (90312280)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 睡眠 / 視覚 / 臨界期 / 脳発達 / GABA抑制系 / 可塑性 / 塩素イオンセンサー / NMDA受容体 |
Outline of Research at the Start |
睡眠は脳と身体の健やかな成長に重要であると信じられているが、その科学的根拠は十分ではない。そこで臨界期を人為的に誘導することができる遺伝子改変マウスを利用して、臨界期前と後の睡眠の変化を生理的に安定したマウスで詳細に解析する。睡眠の発達にともなう分子・神経レベルでの変化、発達期のレム睡眠がおよぼすノンレム睡眠の成長への影響を探りだすことを目的とする。これまで十分な解析が困難だった睡眠発達の研究分野に新しいアプローチと概念をもたらし、さらに睡眠がもたらす健全な脳の成長や睡眠不全による発達障害への関与など根本的な理解に結びつくと期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
赤ちゃんや子供にとって睡眠は脳と身体の健やかな成長に重要であると信じられている。発達期にはレム睡眠が豊富で、遅れてノンレム睡眠が成熟してくる。しかし幼弱かつ急速に成長する動物の睡眠を長期的に観測し操作することは容易でないため、発達時のレム睡眠とノンレム睡眠にどのような関係があるのか知られていない。申請者の研究チームはマウス発達過程と脳の臨界期を人工的に分離することに成功し、臨界期前と後の睡眠を大人のマウスで比較・解析することが可能となった。これを利用して本研究は睡眠発達にともなう分子・神経レベルでの変化、発達期レム睡眠がもたらすノンレム睡眠の成熟への影響を明らかにすることを目的とする。子供の睡眠がもたらす脳の成長の科学的基礎や、睡眠不全による発達障害への関与について本質的な理解につながると期待される。 大脳皮質内の抑制性シナプスの入力がある閾値を超えると、視覚皮質・眼優位可塑性の臨界期が開始することが知られている。抑制性シナプス伝達の動態を可視化するための新規細胞内塩素イオンセンサー(東京大・ヘンシュ博士 開発)は、脳の抑制性シナプス伝達を担うGABAA受容体開口に伴う塩素イオン流入を蛍光変化に変換して抑制入力を検出する。またこのセンサーは十分な感度を有し、細胞内水素イオン濃度に影響されない特性を有する。 本年度、アデノ随伴ウイルスを用いてニューロン特異的プロモーターによりセンサーを視覚皮質に発現させ、ファイバーフォトメトリー法により蛍光変化を定量した。このセンサーを脳波・筋電図を同時記録している行動マウスに適用した結果、特定の脳状態において皮質抑制性入力が統計的有意に変化することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抑制性シナプス伝達の動態を可視化するための細胞内塩素イオンセンサーは、脳の抑制性シナプス伝達を担うGABAA受容体開口に伴う塩素イオン流入を蛍光変化に変換して抑制入力を検出する。このセンサーは十分な感度を有し、細胞内水素イオン濃度に影響されない特性を有している。また脳波・筋電図の同時記録を行うことによって、脳状態に特異的な変化を同一個体内で比較し、十分な時間解像度をもって検出することができた。さらに抑制性伝達が減少している変異マウスGAD65マウスを用いた実験からも一貫した知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究進捗をふまえ当初の研究計画に従って遂行する。 とくに野生型成熟マウスおよび発達期モデルGAD65マウスの視覚野を対象として睡眠・覚醒時の神経活動の動態を比較する。睡眠中にあっても視覚応答を検出できることから誘発応答についても分析する予定である。またGAD65マウス等に人為的に視覚野可塑性を誘導した場合に神経活動にどのような変化がもたらされるかを知ることで、発達に伴う脳回路特性の変化を推定したい。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)
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[Journal Article] CUX2 deficiency causes facilitation of excitatory synaptic transmission onto hippocampus and increased seizure susceptibility to kainate2022
Author(s)
Suzuki T, Tatsukawa T, Sudo G, Delandre C, Pai YJ, Miyamoto H, Raveau M, Shimohata A, Ohmori I, Hamano S, Haginoya K, Uematsu M, Takahashi Y, Morimoto M, Fujimoto S, Osaka H, Oguni H, Osawa M, Ishii A, Hirose S, Kaneko S, Inoue Y, Moore AW, Yamakawa K.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 12
Issue: 1
Pages: 6505-6505
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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