変異酵素の構造安定化に基づく機能性シャペロン化合物の創製とポンペ病治療への応用
Project/Area Number |
21K06451
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47010:Pharmaceutical chemistry and drug development sciences-related
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
加藤 敦 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (60303236)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 達 大分大学, 医学部, 客員研究員 (00222935)
中込 泉 北里大学, 薬学部, 助教 (30237242)
名取 良浩 東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (50584455)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | リソソーム病 / グリコシダーゼ / イミノ糖 / シャペロン / フォールディング / ポンペ病 / シャペロン療法 / 酵素補充療法 |
Outline of Research at the Start |
ポンペ病は、リソソームに局在する酸性α-glucosidase (GAA)の遺伝的活性低下に起因する疾患であり、厚生労働省難治性疾患等政策研究事業の一つとなっている。本研究課題では、ポンペ病患者の変異タンパク質の立体構造に基づいた医薬分子設計、糖質生化学、創薬化学の研究手法を駆使して、ミューテーション部位に応じた「最適な低分子シャペロン」を創製し、ポンペ病の新しい治療薬の開発を待ち望んでいる患者に革新的な新薬を届けることを目的としている。
|
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の成果として、DNJのC5位に分岐型アルキル基を導入した5-C-heptyl-DNJがGAAに対してKi値0.0047μMと非常に高い親和性を示し、DNJより13倍強力な親和性を示すことを明らかにした。そこで今年度は、ピペリジン型イミノ糖のC5位に分岐した炭素鎖を導入することが普遍的にグルコシダーゼに対する親和性を向上させるかについて検討をおこなった。親化合物としてGAAに対して親和性を全く示さないL-ido-deoxynojirimycin(L-ido-DNJ)を選択し、C5位へのアルキル鎖の導入がGAA親和性に与える影響を精査した。その結果、5-C-methyl-L-ido-DNJはGAAに対してグルコース類似体のDNJに匹敵する非常に強い親和性を示し、Ki値 0.060 μM を示した。この優れたGAAへの親和性の飛躍的な向上は、メチル基とエチル基を導入した場合にのみ観察された。ドッキングシミュレーションの結果、5-C-alkyl-L-ido-DNJのアルキル鎖は、その長さに応じて異なる3つのポケットに収納され、それによって分子配向が変化していることがわかった。5-C-methyl-L-ido-DNJは、酵素の熱安定性を高めるとともに、M519V変異を持つポンペ患者線維芽細胞において、用量依存的に細胞内GAA活性を高め、また酵素のリソソームへの輸送を促進した。本成果は、治療薬への応用展開が難しいとされてきた希少糖、特にL型単糖を擬態したイミノ糖に対して、有効かつ新規な誘導体化法を提供するものである。更に、見いだされた5-C-methyl-L-ido-DNJは、グルコース類似体DNJとは異なるポーズでGAAに結合し、シャペロン活性を発揮することから、DNJによるシャペロン療法が無効な変異を有するポンペ病患者に対する新たな治療薬候補となる可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題ではポンペ病の原因酵素である酸性α-glucosidase (GAA)の安定性を高める実用的なシャペロン化合物の創製を目標にしている。その指標としてPhase II段階にある1-deoxynojirimycin (DNJ)を陽性対照とし、GAAに対する親和性の強さと、幅広い変異に対応できる汎用性の2点を中心に研究を遂行している。 昨年度、DNJに対する新たな誘導体化手法としてC-5位に分岐型アルキル鎖を有する5-C-alkyl-DNJを開発し、DNJを超える高いGAA親和性をもつ5-C-heptyl-DNJの創製に成功した。そこで今年度は、幅広い変異に対応できる汎用性の観点から、GAAに対しDNJとは異なる相互作用により認識される高親和性化合物の創製に着手した。その結果、D-glucoseとの相同性が低く未修飾の状態ではGAAに対し親和性を示さないL-ido-deoxynojirimycin(L-ido-DNJ)が、5-C-メチル化を行うことによりDNJに匹敵する親和性(Ki値0.060μM)を獲得できることを見いだした。ドッキングシミュレーションの結果から、本化合物はDNJとは明らかに異なる配向でGAAと結合するとともにアルキル鎖の長さに応じて異なる3つのポケットに収納され、それによって分子配向が変化していることがわかった。アルキル鎖の長さを変えることにより、リガンドであるイミノ糖の配向を意図的に変化させるという新たなデザインの手法は、ゴーシェ病やファブリー病など、他のリソソーム病に対する実用的なファーマコロジカル・シャペロン化合物の創出の面でも貢献できると確信している。 この成果は、Org. Biomol. Chem. 20 (36) 7250-7260.に掲載されるとともに雑誌の表紙を飾るなど、当該分野で高く評価されている。当初の計画以上に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果からピペイジン型イミノ糖のC5位にアルキル鎖を導入する事により、ピペリジン環上のOH基の配位によらずGAAに対する親和性を向上できる可能性が示唆された。しかし、導入するアルキル鎖の長さについては、グルコース型イミノ糖のDNJではheptyl基が最適であり、L-イドース型イミノ糖のL-ido-DNJではmethyl基が最適であるなど、擬態した糖の種類(ピペリジン環上のOH基の配位)によりアルキル鎖の最適化が必要である事が示唆された。また、今回、L-ido-DNJのC5位に導入したアルキル鎖は、その長さに応じて異なる3つのポケットに収納され、それによって糖部分であるL-ido-DNJの分子配向を変化させていることがわかった。したがって、今後、ピペリジン環上のOH基の配位が異なるDNJ異性体について網羅的にC5位にアルキル鎖を導入し、アルキル鎖の長さと収納されるポケットの部位、更にそれによる糖部分(イミノ糖)の配向の変化について精査行く予定である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(24 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Synthesis and glycosidase inhibition of 5-C-alkyl-DNJ and 5-C-alkyl-L-ido-DNJ derivatives.2021
Author(s)
Lu, T.-T., Shimadate, Y., Cheng, B., Kanekiyo, U., Kato, A, Wang, J.-Z., Li, Y.-X., Jia, Y.-M., Fleet, G.W.J., Yu, C.-Y.
-
Journal Title
Eur. J. Med. Chem.
Volume: 224
Pages: 113716-113716
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] Stereocomplementary synthesis of casuarine and its 6-epi-, 7-epi-, and 6,7-diepi-stereoisomers.2021
Author(s)
Li, Y.-X., Wang, J.-Z., Kato, A., Shimadate, Y., Kise, M., Jia, Y.-M., Fleet, G.W.J., Yu, C.-Y.
-
Journal Title
Org. Biomol. Chem.
Volume: 19 (43)
Issue: 43
Pages: 9410-9420
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-