ウイルスベクターに適した粉末製剤設計による経肺・経鼻投与型遺伝子吸入粉末剤の開発
Project/Area Number |
21K06501
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47020:Pharmaceutical analytical chemistry and physicochemistry-related
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
奥田 知将 名城大学, 薬学部, 准教授 (20513857)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 遺伝子治療 / 吸入粉末剤 / アデノ随伴ウイルスベクター / 粉末微粒子設計 / エアロゾル |
Outline of Research at the Start |
本研究では、効率的かつ長期的な遺伝子発現効果が期待できるアデノ随伴ウイルスベクター (AAVV)を安定に搭載する経肺・経鼻投与型遺伝子吸入粉末剤の開発を目指して、種々の賦形剤・製造技術の適用によりAAVVの粉末製剤化を包括的に検討・比較していく。AAVVが有する機能の保持ならびに吸入剤応用に適した粉体物性を達成する処方・製造条件を探索する。それらの結果を基に選抜したAAVV粉末剤について、培養細胞層および小動物の肺内・鼻腔内への分散添加・投与により、実際の作用環境を模倣して遺伝子発現効果・安全性を評価し、AAVV液剤による作用との相違も含めて有用性を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度には、アデノ随伴ウイルスベクター (AAVV)の吸入粉末剤開発に向けた基礎的情報の集約を目的として、培養細胞およびマウスにおけるAAVVの遺伝子発現特性を検証した。また、小スケールで多検体調製が可能な凍結乾燥 (FD)法を基に、AAVVの粉末製剤化を試み、AAVVの機能を保持可能な添加剤の探索を行った。 計3種のヒト由来肺がん細胞株を用いて、AAVVによる遺伝子発現効果を比較したところ、Calu-3細胞 < A549細胞 < NCI-H441細胞の順で効果に差が認められた。また、NCI-H441細胞を用いて、AAVVの血清型による遺伝子発現効果を比較したところ、9型 < 1型 < 6型の順で効果が高かった。このAAVVの血清型による遺伝子発現効果の違いについては、マウスに経気道投与した際の肺内遺伝子発現効果とある程度相関していた。また、肺内遺伝子発現効果の時間推移について、投与2週間前後で最大となり、投与2か月後でも効果が認められた。 製造した種々のAAVV含有FD製剤について、NCI-H441細胞での遺伝子発現効果を比較したところ、タンパクなどの凍結乾燥保護剤として広く知られているトレハロースよりもAAVVの機能保持に優れた高分子添加剤Xを新たに見出し、粉末製剤化後もAAVV原液とほぼ同様の遺伝子発現効果が得られることを明らかにした。また、この添加剤XによるAAVVの機能保持効果について、①AAVVの血清型および添加剤Xの分子量に依らず同様に得られること、②比較的少量添加でも得られること、③吸入剤応用に向けて添加剤Xの一部を他の分散補助剤で置換した場合でも得られること、を見出した。保存安定性について、溶液状態よりも粉末状態の方が室温での保存においてAAVVの遺伝子発現効果を維持できることが示唆されたが、粉末状態でも長期保存には- 20℃以下での保存が適していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度には当初の研究実施計画どおり、『AAVV粉末剤の製造』『粉末製剤化後のAAVVの構造・機能保持性』の計2項目を実施し、FD法を基にAAVVの粉末製剤化に適した添加剤Xを新たに見出すことができた。この添加剤Xを用いて、吸入剤応用に適した低密度の中空多孔性微粒子が得られる噴霧急速凍結乾燥 (SFD)法を基に、新たなAAVVの粉末製剤化に最近着手したところである。粉末製剤化後のAAVVの構造保持性を評価する目的でゲル電気泳動・染色を行ったところ、添加剤Xを含むサンプルについては粉末製剤化の有無に関わらず、AAVVに相当する明確なバンドを検出することができず、現在、条件を再検討中である。また、次年度以降の研究実施計画に先立ち、培養細胞およびマウスにおけるAAVVの遺伝子発現特性の検証を実施した。 以上の点から判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画どおり、来年度には『AAVV粉末剤の粉体物性』『AAVV粉末剤の分散添加によるin vitro遺伝子発現効果・細胞毒性』の計2項目、再来年度には『AAVV粉末剤の分散投与によるin vivo遺伝子発現効果』『AAVV粉末剤の分散投与によるin vivo障害性』の計2項目について検討していく予定である。また、SFD法によるAAVVの粉末製剤化の検討結果を基に、噴霧乾燥 (SD)法による粉末製剤化も来年度中に実施する計画を立てている。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)