Project/Area Number |
21K06508
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47020:Pharmaceutical analytical chemistry and physicochemistry-related
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
庵原 大輔 崇城大学, 薬学部, 准教授 (40454954)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | フラーレン / ナノ粒子 / 吸着 / 慢性腎不全 / タンパク質 / 抗体 / 尿毒症物質 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,アミノ酸やペプチドなどで修飾した表面物性の異なるカーボンナノ粒子(C60,C70,グラフェン)を調製し,粒子物性・表面構造と吸着能の関連を明らかにする.これらの知見に基づき,尿毒症物質や低密度リポタンパク質,抗 DNA 抗体,免疫複合体などのタンパク質をはじめとした病因物質に対して特異的な吸着能を示すカーボンナノ粒子を創製する.さらに,カーボンナノ粒子の生理的条件下での安定性や生体適合性,生体内挙動などを明らかにし,生体内血液中で病因物質を吸着し,効果的に不活化または生体外へ除去するナノ吸着炭素製剤を構築する.
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Outline of Annual Research Achievements |
腎疾患や肝疾患、自己免疫疾患、神経疾患などの各種病態時には疾病の原因となる有害物質が血液中に過剰に蓄積することが知られている。本研究では、生体内血液中で病因物質を吸着し、効果的に不活化または生体外へ除去する新たな生体内血液浄化療法の構築を企図する。これまでの検討より、各種カーボンナノ粒子(C60、C70ナノ粒子)はインドール骨格を有する化合物に対し、高い吸着能を有し、この吸着効果は HSA 存在下でも維持されることが明らかとなった。そこで、吸着炭素製剤としてのカーボンナノ粒子の有用性評価を企図して、尿毒症物質の供給源であるインドールやトリプトファンに対する吸着効果を詳細に検討し、慢性腎不全(CKD)ラットに毎日経口投与後の病態および生体への影響を評価した。以下に得られた知見を要約する。 C60ナノ粒子へのトリプトファンやインドールの吸着は濃度依存性を示し、Langmuir 式より算出した最大吸着量はトリプトファンで 43.7 mg/g、インドールで 73.7 mg/g であった。SD ラットにインドールを投与後の血中インドキシル硫酸(IxS)濃度を測定すると、C60 ナノ粒子と同時に投与した群では、IxS 濃度の上昇に著しい遅延がみられ、消化管内でのインドールの吸着が示唆された。CKDラットにC60 ナノ粒子を投与すると、血中尿素窒素、クレアチニンの増加はみられず、ラット腎臓のPAS染色結果からも健康なラットの腎臓と近い状態であることが示された。16S rRNA のメタゲノム解析により、C60 ナノ粒子投与後の腸内細菌叢の変化を検討すると、サンプル投与群および非投与群間で、腸内細菌叢の構成は大きく変化していないことが示唆された。 以上の結果より、C60 ナノ粒子はトリプトファンやインドール等の尿毒症原因物質と消化管内で相互作用(吸着)することで、慢性腎不全の進行を抑制することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では生体内血液中で病因物質を吸着し、効果的に不活化または生体外へ除去するナノ吸着炭素製剤を構築する。これまでに、各種カーボンナノ粒子を調製し、抗体などのタンパク質に対する吸着性を明らかとした。また、各種カーボンナノ粒子の内部構造の違いを検討し、インドール骨格を有するアミノ酸や尿毒症物質に対し、高い吸着能を有することを明らかにした。さらに、生体内でのカーボンナノ粒子の吸着効果を明らかにし、これを利用して慢性腎不全亢進を抑制可能なことを明らかとした。LDL、抗 DNA 抗体、免疫複合体などの病因物質を特異的に吸着可能なカーボンナノ粒子の構築は順調に進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
カーボンナノ粒子の生体適合性や生体内挙動・吸着能などを検討し、各病態モデル動物における病因物質除去効果を明らかにする。具体的には低分子化合物や蛍光ラベル化したペプチドやタンパク質を静脈内投与後、速やかにカーボンナノ粒子を投与し、血中濃度推移をナノ粒子非投与群と比較する。さらに、蛍光 In vivo イメージング装置(IVIS)を用いて、蛍光ラベル化ペプチドやタンパク質の各臓器への移行量の変化を評価し、生体内での吸着能と体内動態への影響を明らかにする。病態モデル動物(慢性腎不全、SLE、高脂血症)から採取した全血および血漿を用いて、各種カーボンナノ粒子の尿毒症物質や抗 DNA 抗体、アポリポタンパク質などに対する、生体内での吸着能を推察する。これら知見を基に、吸着能と粒子物性・表面構造の関連を明らかにし、各病因物質に対して特異的な吸着能を示すカーボンナノ粒子を創製する。
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