Enhancement of MALDI ion production based on designing waveform of laser electric field and high voltage pulses
Project/Area Number |
21K06521
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47020:Pharmaceutical analytical chemistry and physicochemistry-related
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
星名 賢之助 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (60292827)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | MALDI / 引き出し電場 / α-シアノ-4-ヒドロキシけい皮酸 / 相爆発 / 飛行時間型質量分析 / レーザー / プロトン化 / イオン再結合 / プロトン移動反応 / フェムト秒レーザー / YAGレーザー / アミノ酸 / 高電圧パルス / プロトンか化イオン / レーザーパルス波形 / 高電圧パルス波形 / 質量スペクトル |
Outline of Research at the Start |
MALDI法は高感度分析法として確立されたといえる.それでも,MALDIではレーザー脱離された試料の99.99%以上は中性のまま観測されないため,継続的な感度向上の取り組みが行われている.主たるアプローチは,脱離された中性種をさらにレーザーによりイオン化する方法である.しかしながら,それはMALDI法というよりも「レーザー脱離ポストイオン化」に近く,「MALDI法の感度向上」という本質的な課題の解決とはならない.そのような背景において,本申請では,MALDI機構に基づいてレーザー波形と高電圧パルス波形をデザインし,MALDI過程自体で起こるイオン生成量の増大およびイオン失活の抑制を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
引き出し電圧依存性を中心に研究を進めた.マトリックス剤α-シアノ-4-ヒドロキシけい皮酸(CHCA)に対して,MALDI信号の引き出し遅延時間依存性について詳しく調べた.具体的には,分析試料へのプロトン供与体であるCHCAH+信号の飛行時間(TOF)と信号強度(IMH+)について,引き出し遅延時間(tex)を 0 から10ナノ秒ずつ変化させて測定し解析した.その結果,texに対してTOFは単調に増加していく(領域Ⅰ)が,50 ns 程度から増加率が少し減少し,TOFはさらに増加していった(領域Ⅱ).領域ⅡのTOF変化は,相爆発後にマトリックス剤が高速で飛散するので,引き出し電場が印加されたときの位置が検出器方向に近づいた結果,正方向にTOFがシフトしたためである.一方,領域Ⅰは,相爆発までの遅延時間とマトリックス凝縮相の膨張によるTOFシフトであると考えられる.このことから,50 nsあたりの領域Ⅱは,レーザー照射後,相爆発による凝縮相からクラスターへの相変化が起こる時間帯と考えられる.一方,IMH+はtexの増加に対して,単調減少するふるまいが観測されたが,明確な減少率の変化は見いだせなかった.しかし,IMH+の替わりに全イオン量Itotを調べたところ,Itotはほぼ一定の減少率で減少するが,texが50 nsで一旦減少が緩やかになることが分かった.イオンの減少の主要因は,正負イオンの再結合である.すなわち,texが50 nsの領域Ⅱでは,相爆発による相変化のときに相対的な分子の動きによる正負イオンの接近が阻止され,再結合しにくくなるためと考えられる.一方,相爆発後のクラスター状態では静的な条件に戻り,再結合確率が増加すると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は,2つの目標を掲げたが,そのうちの1つである引き出し電場の条件を変えた実験により,遅延時間がイオンの失活に与える影響を明らかにすることができた.それと関連して,前年度の引き出し電場の電圧依存性の結果と組み合わせて,マトリックス剤と試料の組み合わせを系統的に変えた測定を行う予定であった.しかし,MALDI装置のマイクロチャンネルプレート検出器の劣化とメンテナンスによる使用期間の短縮,申請者の時間的都合により,目標としていた実験を完了することができなかった. 今年度は,その目標を達成するために,引き出し電場の遅延時間と引き出し電場の大きさの影響および相関関係を明らかにし,MALDIのメカニズム解明に貢献する新たなデータを提供すると同時に,MALDI信号の増大に向けた実験デザインを提案できるようにする予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,高精度なMALDI過程の制御を目的として3つのパラメーター(レーザー強度,引き出し電場,遅延引き出し時間)を用いて,MALDI信号の変化を系統的に測定し,物理化学的および分析化学的観点からMALDI法に関する新たな知見を提供する. (1)各パラメータの設定範囲は,レーザーパルスエネルギーをMALDI過程が起こる100 Jm-2から最大1000 Jm-2,引き出し電場を15~45 kV m-1,遅延時間を0~200 nsとする.マトリックス剤(M)としては,CHCAおよびDHBを使用する.また,試料(A)としては,アミノ酸,ジペプチド,アンジオテンシンの3つのサイズの生体分子を用いる.測定は正イオンモードと負イオンモードの両モードでMALDIスペクトルを取得する. (2)MALDIスペクトルのデータ解析では,MH+,AH+,(M-H)-,(A-H)-,および全イオン量を読み取り,効率よくデータ解析するためのプログラムを作成する.これらの絶対量に加えて,相対量であるAH+/MH+および(A-H)-/(M-H)-をプロトン交換の物理化学的環境を反映する指標とする. (3)2021年および2022年の研究結果に基づき,以下の点に着目し解釈を進める.MALDI信号の相対的な収率を最大化する目的には,イオン生成量を増大させ,失活量を抑制する必要がある.したがって,引き出し電圧の遅延時間は0 nsである必要があり,電場の大きさと引き出し電圧には最適値が存在するはずである.また,相対値AH+/MH+を最大化する目的では,分子間衝突と温度に依存することから,レーザーの強度,引き出し遅延時間,引き出し電圧のすべてに最適値が存在すると予想される. これらの結果を総合し,MALDI初期過程における実験パラメーターの最適化がMALDIの高感度化につながるという知見を得ることを目標とする.
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)