ガングリオシドのアシル鎖構造を介した自然免疫制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K06530
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47030:Pharmaceutical hygiene and biochemistry-related
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
狩野 裕考 東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (40774279)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | スフィンゴ糖脂質 / ガングリオシド / CASP4 / 多量体 / パイロトーシス / 自然免疫応答 / 炎症 |
Outline of Research at the Start |
慢性炎症は、Toll様受容体4(TLR4)などの自然免疫受容体の活性化によって引き起こされ、メタボリックシンドロームを含む多様な疾患の発症に関与する。これまでに申請者は、①血清中や脂肪組織のスフィンゴ糖脂質:ガングリオシドGM3がTLR4に作用することで慢性炎症を引き起こすこと、②その作用はGM3に含まれる脂肪酸(アシル鎖)の化学構造(鎖長や不飽和度)の違いによって調節を受けることを見出している。本研究課題では、異なるアシル鎖構造を持つGM3が体内で産生されるメカニズム、さらにTLR4を活性化して慢性炎症へと導くメカニズムを、分子レベルで明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、以下の研究成果を得ることができた。 (1)組み換え全長CASP4タンパク質を用いた多量体形成アッセイに基づくリガンド解析 昨年度までに、LPS合成経路欠損大腸菌を用いた組み換え全長CASP4/11タンパク質の発現系、および、内因性脂質代謝物の洗浄ステップを加えた精製系を確立した。今年度は、精製組み換えヒトCASP4(C258A)タンパク質に、各種脂肪酸構造のガングリオシドGM3を加えた際に、その活性化状態の指標となる多量体が形成されるか検討した。その結果、加えたガングリオシドGM3の脂肪酸構造の違い(鎖長、不飽和度など)によって、異なる分子量帯のオリゴマーが形成されることが分かった。GM3によって誘導されたCASP4オリゴマーの分子量と、これまでにマクロファージ細胞に対する刺激実験で得られていた生理活性に、明瞭な相関が認められた。このことから、GM3の脂肪酸構造の違いによって、そのリガンド性およびCASP4を介したサイトカイン放出が制御されている可能性を、生化学レベルで確認することができた。 (2)排除限界クロマトグラフィーを用いたより高純度な組み換え全長CASP4タンパク質精製系の確立 昨年度までに確立した精製系により、組み換えCASP4タンパク質は、ほぼ単量体として得られていた。その一方で、より高度な分析実験に進むためには、微量に含まれる単量体以外のタンパク質成分や界面活性剤成分を、より完全に除去することが必要であった。そこで、アフィニティー精製・バッファー交換に加えて、排除限界クロマトグラフィーによる単量体分子量成分の分取・精製を行った。得られた高純度単量体タンパク質を用いることで、リガンドに対する応答性や、形成される多量体の分子量帯が、これまでよりも明瞭に検出・判別できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に確立した組み換えタンパク質発現・精製系およびアッセイ系を活用することで、目標としていたリガンド応答性の検証を生化学レベルで実施することができた。加えて、より高純度・高反応性のタンパク質を得ることが可能な精製系を確立することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、高純度な単量体タンパク質を用いることで、排除限界クロマトグラフィーを用いた多量体検出アッセイや、各種の生物物理学手法の適用が可能になると思われる。さらに、より広範囲のスフィンゴ脂質およびスフィンゴ糖脂質をリガンドとして多量体形成アッセイを行うことで、リガンドとなる脂質分子種の探索が可能である。これらを通して、親水性ヘッドグループおよびセラミド・脂肪酸構造に基づく構造特異性を、網羅的かつ多角的に明らかにすることができると考えられる。
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Report
(3 results)
Research Products
(13 results)