Elucidation of molecular basis underlying stress-induced iron dysregulation and its behavioral relevence
Project/Area Number |
21K06576
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47040:Pharmacology-related
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
北岡 志保 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00545246)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ストレス / IL-6 / 鉄 / 脾臓 / 炎症 / 2121 |
Outline of Research at the Start |
本研究計画では、(1)慢性ストレスが鉄欠乏性貧血を誘導する分子機序を調べ、(2)鉄剤投与が抑うつ行動を増悪する神経回路を調べ、(3)脳または末梢の鉄代謝制御による行動変化への影響を調べ、(4)神経活動操作による鉄代謝制御への影響を調べる。以上により、ストレスによる鉄代謝異常誘導のメカニズムと脳機能変化との関連を解明する。さらに、ストレス病態における鉄代謝を介した脳末梢連関の可能性に迫る。
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Outline of Annual Research Achievements |
社会や環境から受けるストレスは情動変容や認知機能の低下を誘導し、精神疾患の危険因子である。これに合致し、ストレスを繰り返し与えられた動物においても行動変化や認知機能に低下が観察される。そのため、このような動物を解析することにより、ストレスがどのように脳機能を変化させるのかを明らかにし、治療薬の開発に繋げることを目指す。また、ストレスは精神疾患以外にも、循環器疾患や糖尿病などの危険因子でもあり、脳以外の組織も解析することで各種疾患の病態解明に繋がることが期待される。 ストレスを繰り返し与えた動物の血液を調べ、赤血球が減少すること、つまりストレスが貧血を誘導することがわかった。貧血の原因はいくつか存在するため、ストレスが貧血を誘導する原因を精査したところ、鉄欠乏に起因することが明らかとなった。ストレスによる鉄欠乏性貧血にインターロイキン-6(IL-6)の関与が示唆された。ウイルスの感染などにより炎症が生じると鉄欠乏性貧血となることが知られている。この現象は炎症性貧血と呼ばれ、炎症により肝臓でヘプシジンが作られることで肝臓から血液への鉄の移動が妨げられ、鉄欠乏性貧血となる。そこで、肝臓のヘプシジンや鉄の量を調べたが、ストレスは肝臓でのヘプシジンや鉄量を変化させなかった。これらの結果は、ストレスによる鉄欠乏性貧血の誘導には未知の機構が関与することを示唆する。詳細な解析の結果、ストレスの繰り返しによる血清鉄減少の初期段階には脾臓のIL-6が関与する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ストレスによる鉄欠乏性貧血の誘導へのIL-6の関与が示唆されたことから、新たにIL-6欠損マウスを令和3年4月に着任した当講座に導入した。そこで、IL-6欠損マウスを用いた解析を進めると同時に、IL-6が産生される組織や細胞種の特定、IL-6受容体が発現する組織や細胞種を同定することを目的とした。 既報の通り、IL-6欠損マウスで慢性ストレスによる社会忌避行動の誘導が抑制された。また、慢性ストレス後の塩基性赤芽球のCD71(トランスフェリン受容体)の発現量が野生型マウスに比べてIL-6欠損マウスで有意に減少していた。この結果は、IL-6欠損マウスで慢性ストレスによる血清鉄減少が抑制されていることを示唆する。 次に、鉄代謝に関わる肝臓、脾臓、骨髄でIL-6の発現を調べた。肝臓と脾臓で慢性ストレスによりIL-6は発現増加の傾向にあった。IL-6の受容体であるIL-6Rα、gp130の発現は慢性ストレスにより肝臓で有意に増加した一方、脾臓でgp130の発現が有意に減少した。骨髄ではいずれの遺伝子の発現にも変化がなかった。社会ストレスによる血清鉄の減少は4回目のストレス後に誘導されることから、先の実験(10回目)よりも早い時点でIL-6の発現を調べた。その結果、脾臓のIL-6は有意に減少しており、脾臓のIL-6の発現量と血清鉄が逆相関することが明らかになった。これらの結果は、ストレスの繰り返しによる血清鉄減少の初期段階には脾臓のIL-6が関与することを示唆している。 また、慢性ストレスによる血清鉄の減少が脳機能に与える影響を調べるため、c-Fosの全脳マッピングを実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
ストレスによる鉄欠乏性貧血に脾臓の関与が示唆されたことから、赤脾髄マクロファージの解析を進める。また、未解析の組織についても、IL-6やヘプシジンの発現を調べる。変化を検出した組織で、鉄排出トランスポーターであるフェロポーチン、鉄結合タンパク質であるフェリチン、鉄取り込みに関与するトランスフェリン受容体、鉄制御タンパク質であるIRP1など鉄代謝制御関連タンパク質の生化学的解析を行う。 慢性ストレスは鉄欠乏性貧血を誘導することから鉄剤であるフェジンの投与による鉄補充を行ったところ、予想に反し、慢性ストレスによる抑うつ行動が増悪する結果を得ている。また、鉄補充は慢性ストレスによる赤血球の減少を改善せず、血清鉄が増加しなかった。さらに、IL-6欠損マウスで慢性ストレスによる血清鉄の減少が消失し、社会忌避行動が誘導されなかった。これらの結果は、慢性ストレスによる鉄代謝異常が脳機能変化に関与する可能性を示す。そこで、神経活動をモニターするため、フェジンを投与したマウスやIL-6欠損マウスでc-Fosの全脳マッピングを行う。ストレスかつIL-6に依存した神経活動の変化や鉄剤投与に依存した神経活動の変化を同定する。同定した神経核の神経活動を操作し、血清鉄や情動変容への影響を調べる。
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Report
(2 results)
Research Products
(14 results)