周産期の抗てんかん薬による児脳発達リスク軽減に対するDHA摂取補完療法の基礎研究
Project/Area Number |
21K06702
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47060:Clinical pharmacy-related
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
伊藤 康一 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (30291149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨永 貴志 徳島文理大学, 神経科学研究所, 教授 (20344046)
石原 康宏 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 准教授 (80435073)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 熱性けいれん / ドコサヘキサエン酸 / DHA / ペンチレンテトラゾール / 脳波 / ミクログリア / ビデオ脳波 / 補完療法 / 抗てんかん / 周産期 / 児脳発達 |
Outline of Research at the Start |
妊婦への抗てんかん薬(AED)の使用は、全妊婦の2%にも及んでいる。てんかん患者が妊娠した場合、服用中の薬がたとえバルプロ酸に代表されるような児に影響があるAEDであっても、妊娠中の発作による児へのリスクを考えると服用を容易に中止することはできない。このことが、妊婦やその家族に多大な不安や負担を生じさせている。そこで本研究では、AED服用中の妊婦が安心して出産・育児できるための対処法の一つとして、n-3系多価不飽和脂肪酸(ω-3PUFA)であるドコサヘキサエン酸(DHA)の効果に着目し、胎児・新生児脳発達の観点から周産期中のAED毒性に対するDHA補完療法に直結するための基礎的検討を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
熱性けいれんは生後6ヶ月から7~8歳までの小児において、約38°C以上の発熱時に発症するけいれんで発作である。 熱性けいれんは、大半の熱性けいれんは無害である単純性けいれん(SFS)と成長後に側頭葉てんかん発症のリスクが2~7倍高くなる複雑性けいれん(CFS)に分類されます。CSFは全身のけいれん発作が15分以上続くもの、または24時間以内に発作が2回以上、さらに約30分以上持続するけいれん重積状態があります。このことから、CSF後の一定期間後にてんかん発症を抑制するために、熱性けいれん後(てんかん原性期)に脳内で何が起きているかを理解することがてんかん発症の予防治療の可能性の足がかりとなる。 FS発症期は乳幼児期であり、薬理学的な介入より、栄養学的介入が有用であると考えた。本研究では、脳神経細胞保護作用や神経伝達機構に関与していることが報告されているドコサヘキサエン酸(DHA)に着目して、胎児及び乳幼期マウスへ母体を介してDHA暴露させることで、熱性けいれん(SFS/CFS)発症予防効果を検討した。 妊娠9.5日目から離乳期(3週目)まで母マウスにDHA添加餌を自由摂取させ、出産後8日齢に脳波電極を装着し2日後の10日齢のマウスをヒートチャンバー法によって熱性けいれん発症に対する脳波とビデオを同時測定し検討した。胎盤及び母乳経由与でDHAを摂取した仔マウスは発作時の脳波、熱性けいれん発作強度へのDHAは影響しなかったが、重篤な熱性けいれん発症までの潜時が有意に延長した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
妊娠9.5日目から離乳期(3週目)まで母マウスにDHA添加餌を自由摂取させ、出産後8日齢に脳波電極を装着し2日後の10日齢のマウスをヒートチャンバー法によって熱性けいれん発症に対する脳波とビデオを同時測定し検討した。胎盤及び母乳経由与でDHAを摂取した仔マウスは発作時の脳波、熱性けいれん発作強度へのDHAは影響しなかったが、重篤な熱性けいれん発症までの潜時が有意に延長した。 次に、CFS罹患マウスのてんかん発症の可能性とDHAの効果を検討するため、10日齢CFSマウス離乳後(3週齢)、7週齢雄性マウスに脳波電極を装着し8~10週齢まで飼育し、自発けいれん発作(SRS)の出現をビデオ脳波測定により観察した。CFS群のマウスでSRS出現は認められなかった。そこでCFSマウスのけいれん準備状態を検討するためにGABAA受容体アンタゴニストの低用量(けいれん非誘導用量)ペンチレンテトラゾール(PTZ)を投与してGABA関連けいれん感受性(閾値)・発作強度をビデオ脳波測定で評価した。CFS罹患マウスは、PTZけいれん感受性と発作強度も上昇した。また、CFS群はナイーブ群に比べて顕著なPTZ誘発発作脳波を示した。以上より、CFS罹患マウスを熱性けいれん発作後てんかんモデルマウスの可能性が示された。妊娠9.5日目から離乳期(3週目)まで母マウスにDHA添加餌を自由摂取させたCFS罹患マウスでは、PTZ誘発けいれん発作を抑制した。CFS後のてんかん原性制御にDHAが有効である可能性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
CFS罹患マウスの熱性けいれん発作と脳内炎症に対するDHAの効果を検討中である。また海馬切片をCFS罹患マウスから作成して、E/Iバランスの検討を実施する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)