Project/Area Number |
21K06828
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48040:Medical biochemistry-related
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
古川 圭子 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (50260732)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 細胞外小胞 / 癌関連糖鎖 / 活性化Src(Yes) / 細胞接着 / 細胞増殖 / 細胞外分泌小胞 / 脂質ラフト / 癌微小環境 / 微小環境 |
Outline of Research at the Start |
私達は、癌細胞膜の酸性スフィンゴ糖脂質が、シグナル分子の細胞膜ミクロドメイン(脂質ラフト)への局在を制御してシグナルの活性化と悪性形質の増強に働くことを明らかにしてきた。 最近の私達の研究では、エクソソームとよばれる細胞外分泌小胞(EV)の構成脂質には脂質ラフト成分が多く含まれており、脂質ラフトの構成分子群とEV膜上の分子群が構造・機能的にリンクしている可能性が示唆された。 そこで、本研究では、癌関連糖脂質を含むEVの微小環境制御における役割を明らかにする。そのために、EVの組成を脂質ラフトの構成分子と比較検討し、その物質基盤を明らかにすると共に、EVの標的細胞への作用機序を解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
私達は、癌細胞膜の酸性スフィンゴ糖脂質が、シグナル分子の細胞膜ミクロドメイン(脂質ラフト)への局在を制御してシグナルの活性化と悪性形質の増強に働くことを明らかにしてきた。近年、私達は、エクソソームとよばれる細胞外小胞(EV)の構成脂質には脂質ラフト成分が多く含まれることを明らかにした。本研究では、癌関連酸性糖脂質を含有するEVの構成分子の特性と癌微小環境における役割を明らかにする。そのために、各種の酸性糖脂質糖鎖を発現するEVの構成分子を比較検討した。具体的には、酸性糖脂質のGM3のみを発現するヒトメラノーマ細胞株SK-MEL-28-N1細胞に各種の糖鎖合成酵素遺伝子を導入して作製した糖鎖改変細胞(コントロール(GM3(+))細胞、GD3(+)細胞、GD2(+)細胞、GM2(+)細胞、GM1(+)細胞)を用い、その細胞培養上清から超遠心法によりEVを回収した。 Tim4-beadsを用いたフローサイトメトリーによりこれらのEVを解析した結果、細胞と同じ糖脂質がEVでも強く発現していた。Nano Sightによる粒子径測定では、いずれのEVも約100nmであった。EVの分泌量は各EVで差異は認められなかった。また、癌関連糖鎖であるGD3またはGD2を発現するEVでは、EVマーカー分子であるCD63, TSG101, 及びAlix の強い発現が認められ、更に活性型リン酸化Src(Yes)も検出された。Src阻害剤を用いて解析した結果、活性化SrcがEVにおけるこれらの分子の発現増強に関与することが示唆された。各種EVマーカー分子の脂質ラフト局在を解析した結果、各分子のラフト局在とEVにおける発現レベルは相関しなかった。EVの生物活性については、GD2発現EVをコントロール細胞に添加した結果、細胞の増殖性と接着性の亢進が認められ、そのメカニズムについて解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖鎖改変細胞(コントロール(GM3(+))細胞、GD3(+)細胞、GD2(+)細胞、GM2(+)細胞、GM1(+)細胞)の培養上清から、超遠心法により細胞外小胞(EV)を回収した。Tim4-beadsを用いたフローサイトメトリーにより、糖鎖改変細胞由来EVには細胞に発現している糖脂質と同じ糖脂質が強く発現することを明らかにした。Nano Sightによる粒子径の測定では、これらのEVの粒子径は約100nmであった。また、癌関連糖鎖であるGD3またはGD2を発現するEVにおいては、EVマーカー分子であるCD63, TSG101, 及びAlix の強い発現が認められた。更に、GD3(+)細胞およびGD2(+)細胞では活性化Src(Yes)が検出され、これらの細胞由来のEVでも活性化Srcが検出された。EVのCD63, TSG101, 及びAlixの発現に対する活性化Srcの関与を検討するために、リン酸化Srcの阻害剤であるDasatinibを用いて解析した。具体的には、GD2(+)細胞またはコントロール細胞にDasatinibを添加して培養し、その培養上清からEVを回収した。その結果、Dasatinibを添加した細胞から回収したGD2発現EVでは活性化Srcの減少と共にCD63, TSG101, 及びAlixの発現レベルの明らかな低下が認められた。一方、GD2非発現EV(コントロールEV)では、これらの分子の顕著な低下は認められなかった。従って、GD2(+)細胞の活性化SrcがGD2発現EVにおける CD63, TSG101, 及びAlixの発現増強に関与することが示唆された。EVの生物活性については、GD2発現EVをコントロール細胞に添加した結果、細胞の増殖性と接着性の亢進が認められた。以上のことより、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 細胞外小胞(EV)の組成(脂質・糖脂質、タンパク質)の解析:1)EVのタンパク質組成のプロテオミクス解析を行い、細胞接着及び増殖に関与する分子群を比較検討する。2)Src(Yes)の活性化により発現が増強するEVの分子を網羅的に解析する。具体的には、Src 阻害剤を添加した細胞からEVを回収してEVのタンパク質組成のプロテオミクス解析を行い、1)のタンパク質組成と比較検討する。3)メラノサイト由来EVとメラノーマ細胞由来EVとの間で構成分子の異同について比較検討する。 2. 細胞外小胞(EV)の標的細胞に対する機能解析:1)細胞およびEVの活性化Srcの役割を検討するために、Src 阻害剤を添加したGD2(+)細胞からGD2発現EVを回収し、このEVを細胞に添加して細胞の接着・増殖への影響(細胞接着や増強の低下など)を検討する。2)GD3発現EVとNK細胞上のSiglec-7との相互作用及び、GD3発現EVによるNK細胞内のITIMの活性化と抑制シグナルによる細胞傷害活性の抑制を検討する。 3. 種々の糖脂質糖鎖を有する細胞外小胞(EV)の細胞への取り込みと動態の比較検討 :1)各種の糖脂質発現細胞からEVを調製し、EV膜蛍光染色キットで標識後、各細胞への取り込みと細胞内局在を比較検討する。2)蛍光標識した各糖鎖発現EVをマウスに投与し、体内分布(肺、肝臓、骨、脳等)を比較検討する。
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