Project/Area Number |
21K06863
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49010:Pathological biochemistry-related
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
村上 優子 (渡並優子) 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (70405174)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 合成致死 / 悪性中皮腫 |
Outline of Research at the Start |
悪性中皮腫の原因遺伝子のうちBAP1, LATS2, SETDB1に着目し、 1)それらの遺伝子変異と合成致死表現型を示す遺伝子を同定する 2)合成致死表現型を示す分子機構を明らかにすることで、原因遺伝子/候補遺伝子の腫瘍における新規機能も明らかにする 3)担がんマウスでの表現型を確認する ことが本研究の概要となる。
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Outline of Annual Research Achievements |
悪性中皮腫は早期発見が難しく、診断時に外科的な根治切除は困難であることが多いにもかかわらず、現在も有効な化学療法は確立されていない難治性の腫瘍である。悪性中皮腫の原因遺伝子は現在までに報告されているものはいずれもがん抑制遺伝子であり、がん抑制遺伝子を活性化させる薬剤の開発は一般的に困難である。そこで、本課題では合成致死表現型を利用することでがん抑制遺伝子変異を持つがんにおいてがん細胞特異的に死滅させる(副作用が少ない)新規分子標的を探索すること、及びその分子機構を明らかとすることを目的としている。 具体的には、悪性中皮腫の各原因遺伝子(BAP1変異、LATS2変異、SETDB1変異)に対する合成致死遺伝子をshRNAを用いたゲノムワイドスクリーニングをした結果得られた候補遺伝子から、表現型を確定することで絞り込むべき候補遺伝子を決定する。担がんマウスでの表現型を確認する。さらに、合成致死を誘導する分子機構の解析を行うことで、悪性中皮腫増殖の分子基盤や原因遺伝子/候補遺伝子の腫瘍における機能を明らかにするとともに、新規分子標的薬候補としての評価を行う。 2023年度の成果は以下である。 ・LATS2変異に対して、前年度報告した遺伝子以外の新たな候補遺伝子を抽出し解析を進めた。 ・BAP1変異に対する2つの候補遺伝子についても解析を進めた。一つについては論文投稿準備中である。 ・SETDB1変異に対する候補遺伝子を抽出し解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)LATS2変異に対して合成致死表現型を示す遺伝子について、新たにゲノムワイドスクリーニングの結果から抽出を行なった。そのうちの一つ候補遺伝子Aについて、LATS1あるいはLATS2ノックアウト正常中皮細胞で個別にノックダウンし細胞増殖抑制効果を検討した。予備的な結果ながら、LATS2変異ではなく、LATS1変異により特異的に細胞増殖抑制効果がみられた。 2)BAP1変異に対する2つの候補遺伝子についても解析を進めた。 a) USP1: BAP1とUSP1の共通の脱ユビキチン化標的について、前年度までにin vitroでの検証を行ったが、本年度は細胞内でも同様の現象が観察されることが示唆された。また、足場非依存性の細胞増殖においても接着培養と同様の結果が得られている。 b) CHK2:BAP1変異とCHK2の発現抑制により合成致死表現型が誘導されることから、CHK2関連のシグナル伝達経路についても同様の表現型が誘導されるか確認するために、BAP1変異細胞において各因子のノックダウンを行うことで細胞増殖を検討した。しかしながら、再現性を得るのが難しく、結論は確定していない。 3)SETDB1変異に対して、shRNAゲノムワイドスクリーニング結果及び予後データの解析から候補遺伝子を絞り込んだ。そのうちの一つ候補遺伝子Bについて、個別にノックダウンしたところ確かに合成致死表現型を示すことが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)LATS1変異細胞においてノックダウンをすると細胞増殖抑制を示す候補遺伝子Aについては、幅広い細胞株を用いて同様の表現型を示すか検討するとともに、分子機構について解析を進める。特にLATS2変異では細胞増殖抑制が起こらないことから、LATS1に特異的な機能が重要であると考える。また、ヒト悪性中皮腫患者の予後データを用い、細胞で得られた結果が患者においても同様の結果が得られるかについても検討を行う。 2)前年度までにBAP1変異に対して合成致死表現型を示すことを確認しているUSP1遺伝子については、論文投稿準備が遅れているため、2024年度中の論文掲載を目指す。CHK2遺伝子については、前年度に引き続き関連するシグナル伝達経路を明らかにするとともに、その経路にどのようにBAP1が関与していくのか検討を進める。また、ヒト悪性中皮腫患者の予後データを用い、細胞で得られた結果が患者においても同様の結果が得られるかについても検討を行う。 3)SETDB1変異細胞においてノックダウンをすると細胞増殖抑制を示す候補遺伝子Bについては、幅広い細胞株を用いて同様の表現型を示すか検討するとともに、分子機構について解析を進める。現在までのところ、SETDB1と候補遺伝子産物の間の関連については報告がないが、候補遺伝子は解糖系や小胞体ストレスに関与する遺伝子であるという報告があるためそれらとSETDB1の関連を中心に解析を行う。
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