Project/Area Number |
21K07003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49050:Bacteriology-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平松 征洋 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (90739210)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 百日咳 / small RNA |
Outline of Research at the Start |
百日咳菌の病原因子の発現パターンは試験管培養時と宿主感染時で大きく異なることが知られている。申請者はこれまでに、様々なタンパク質の発現を転写後レベルで制御するsmall RNA(sRNA)の発現量が宿主感染時に大幅に増加していることを見出した。本研究では、sRNAの自身の発現調節機構とこれらのsRNAによって発現制御を受ける因子を解析し、百日咳菌の宿主内環境における病原性発現機構の理解を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、百日咳菌の感染性・病原性をsmall RNA(sRNA)による病原因子の発現制御の観点から解析することにある。申請者はこれまでに、百日咳菌の宿主感染時に発現量の増加するsRNA(Bpr4)が本菌の産生する主要な接着因子FHAの発現量を増加させ、宿主への感染を促す作用を示すことを見出している。また、昨年度までの成果として、百日咳菌のフラジェリンが何らかの宿主因子を感知することで、ベン毛の固定子(MotA)が細胞内膜に拡散され、DgcBとの結合を介してcyclic-di-GMPの合成を促し、RisK/RisAシステム依存的にBpr4の発現量が増加することを明らかにした。本年度は、Bpr4の発現増加に関与する宿主因子の同定を行った。 細菌側の因子としてフラジェリンが関与していたことから、toll様受容体5(TLR5)の関与を疑ったが、TLR5欠損細胞に接着した百日咳菌でもBpr4の発現増加が見られたことから、他の宿主因子の関与を検討した。これまでに複数の細菌のフラジェリンが宿主細胞表面上のガングリオシドと結合することが報告されていたので、ガングリオシドとBpr4発現増加との関連を調べたところ、PPMP処置によりガングリオシドの産生を抑制させた培養細胞に接着した百日咳菌では、Bpr4の発現増加が抑制されていた。また、フラジェリンがガングリオシドに結合すると、ベン毛の回転運動が阻害され、その結果としてMotAの細胞内膜への拡散が引き起こされることが分かった。 以上の結果より、百日咳菌が宿主細胞に接着すると同時にフラジェリンが宿主細胞膜上のガングリオシドと結合することでべん毛の回転が阻害され、Bpr4の発現増加に繋がるシグナル伝達システムが作動することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者はこれまでに、百日咳菌の産生する4種類のsRNA(Bpr4, 5, 8, 9)の発現量が宿主感染時に大幅に増加していることを見出している。本研究の目的は、これらのsRNAの発現調節機構と当該sRNAによって制御される因子を解析することで、新たな観点から百日咳菌の感染性および病原性の理解を目指すことにある。 昨年度および本年度の成果により、百日咳菌のフラジェリンが宿主細胞膜上のガングリオシドを感知し、MotA、DgcB、cyclic-di-GMP、RisK/RisAシステムを介してBpr4の発現量を増加させていることを見出した。宿主感染時におけるBpr4の発現増加機構およびBpr4による百日咳菌の感染促進機構を明らかにしたことで、本菌の感染性におけるBpr4の役割を示すことができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、百日咳菌の宿主感染時に発現量の増加するBpr4以外のsRNA(Bpr5, 8, 9)についても、それらの発現調節機構と当該sRNAによって制御される因子の解析を実施する。Bpr5, 8, 9の発現増加機構については、Bpr4と同様の方法で、発現制御に関与する細菌側および宿主側の因子の同定を試みる。標的遺伝子の同定では、sRNA欠損・過剰発現株と親株のタンパク質発現量をiTRAQ法などによって比較解析し、sRNAの欠損または過剰発現により発現量が変動するタンパク質を探索する。また、CopraRNAなどのsRNA解析ツールを用いてsRNAの標的遺伝子を推定したのち、アガロースゲル電気泳動やカロリメトリーなどの手法でRNA-RNA間の結合を確認する。
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