Project/Area Number |
21K07015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49050:Bacteriology-related
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
狩谷 秀治 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40368220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 昇 関西医科大学, 医学部, 教授 (90227215)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | ポリ2メトキシエチルアクリレート / 抗菌カテーテル / 中心静脈カテーテル / バイオフィルム / カテーテル由来血流感染症 / 薬剤耐性 / AMR / グローバル・アクション・プラン / 抗菌コート / カテーテル / 蛋白付着抑制 / 抗血栓性 |
Outline of Research at the Start |
抗菌カテーテルの開発は20年以上も取り組まれてきたがほとんど使用されていない。申請者らはその原因としてカテーテルはフィブリンシースに覆われるため表面にコーティングされた抗菌作用が届かないこと、薬剤が溶出し持続性がないこと、溶出した薬剤が有害事象を引き起こすこと、薬剤耐性菌を増加させることと考えた。そこで本研究の問いは薬剤耐性菌を出現させず、体内への薬剤溶出がなく、できるだけ長期にわたり効果が持続する抗菌カテーテルが開発できないかということである。また、これを早期に上市し安価で患者を選ばず広く使用できるものとし、薬剤耐性(AMR)対策アクションプランに沿うものとする。
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Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは抗蛋白付着性によるポリ2メトキシエチルアクリレート(PMEA)カテーテルの抗血栓性を報告した。研究過程においてこの抗蛋白付着性によりバイオフィルムの形成も阻止するのではないかと考え他の抗菌カテーテルと比較したところ殺菌性は全くないがカテーテル表面の細菌数が少なくなる傾向が示された。この相反する機能に着目し殺菌性のない抗菌PMEAコーティングカテーテルを発案した。さらに従来の抗血栓性コートから抗菌性として最適となるコート法を開発した。そこで本研究でこの開発した抗蛋白付着性PMEAコーティングカテーテルがバイオフィルム形成を阻止し菌の付着、増殖を妨げることを証明し、そしてそのメカニズムを明らかにすることとした。 本研究の目的はPMEAコーティングがカテーテルへの菌の付着量を減少させることを実証し、そのメカニズムを解明することである。これには生体で生じるバイオフィルムをインビトロにて形成しカテーテル感染を成立させることが必要となる。これまで8名のドナーから得た人血液を用いて計画に従い実験を行った。しかし、人血液の凝固能の個人差により生体と同様のバイオフィルムをインビトロで形成することが困難であることが分かった。そこで牛血液による実験系の見直しを行った。これにより2022年度で行った実験にて菌の定量、バイオフィルムの定量の実験方法にいくつかの問題点があった。黄色ブドウ球菌に対するフィブリノーゲンや血漿の影響において、ウシ血液を用いた少数の先行研究が存在し、菌株や培養条件は異なるがフィブリノーゲンや血漿が菌付着やBF形成を促進するという点で人血液と共通している。現時点で問題になっていることは適切な計測ができるバイオフィルムを生成させる血漿添加の量である。フィブリノーゲンの添加量を変えてバイオフィルム形成の実験をおこなう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでのドナー8人までの実験において、遠沈管にバイオフィルムが吸着し回収ロスが発生することが判明した。したがって、タンパク低吸着遠沈管と普通の遠沈管でBF回収量を比較実験し、低吸着遠沈管によるBF回収量の改善を確認した。その結果、低吸着遠沈管によってBFの回収量が増加した。以降の実験では低吸着遠沈管を使用する。 またバイオフィルムの適切な形成には菌液への血漿添加量が左右することも判明した。実験毎にBF量のばらつきが大きく、再現性が低いことに対しては、血清中のトロンビンとフィブリノーゲンが反応し凝集、ゲル化が生じると判断した。したがってトロンビンを使用しない条件で実験を行う必要がある。従来は、運搬中の血液凝固を防ぐためにヘパリンを0.20U/mL添加していた。バイオフィルム形成量のばらつきを改善するため、採血時に使用するヘパリン量を減らし、トロンビンの添加を行わず血液を凝固させる。このために最適なヘパリン添加量を決定する必要がある。 予備実験では血漿添加が0.1%までの場合菌液中のフィブリノーゲンの量が少なく菌はカテーテルに付着するもののバイオフィルムを形成しにくい。血漿を1%添加すると菌液中のフィブリノーゲンが適量となり菌がカテーテルに付着、増殖しバイオフィルムが形成される。血漿を10%添加すると菌液中で菌がフィブリノーゲンと結合し凝集してしまう。その後凝集体がカテーテルに付着してしまい臨床で生じているバイオフィルム形成と異なる現象となってしまう。人血液を用いた実験の前に牛血液を用いた実験にてインビトロでの安定したバイオフィルム形成方法を確立する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
牛血液を用いたPoly-2-methoxyethylacrylateの抗菌性試験を行う。これにより人血液を用いたPoly-2-methoxyethylacrylateの抗菌性試験の最適な方法を確立する。血漿用として新鮮牛血液1000mL(ヘパリン2単位/mL添加)、血清用として新鮮牛血液1000mL(ヘパリン0.2単位/mL添加)を使用。血清用血液800mLをポリプロピレン製50mL遠沈管に分取しトロンビンを2単位/mLとなるように添加後、2時間以上静置し、凝固後遠心分離(3000rpm、10分)し、血清約400mLを採取する。調製した血清に対して、さらにヘパリン、アンチトロンビンをそれぞれ2単位/mL、2単位/mLとなるように添加し、残存したトロンビンの影響を排除する。次の4種の血漿を添加した血清を準備する。血清(血漿添加なし)、血清(血漿0.1%添加)、血清(血漿1%添加)、血清(血漿10%添加)。菌液中のフィブリノーゲンがバイオフィルムに与える影響を調べるため、フィブリノーゲンを除去した血清を調整した後、血漿を添加して4種類の血漿濃度の血清を調整する。血漿を添加するのは、フィブリノーゲンのみの入手や添加が困難なため血漿で代用している。血清に添加する血漿の量とバイオフィルムの定量の関係から最適な実験方法を得る。菌液作成、血漿浸漬、菌液浸漬、バイオフィルム染色と定量、菌定量については当初の計画通りで行う。 牛血液を用いて実験方法が確立でき次第人血液を用いた実験を実行する。
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