適応変異と配列データベースに基づくHIV-1のvif/tat産生調節機構の解明
Project/Area Number |
21K07042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49060:Virology-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
野間口 雅子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (80452647)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | HIV-1 / 遺伝子発現 / 同義置換 / スプライシング / Vif / Tat / 複製制御 |
Outline of Research at the Start |
HIV-1ゲノム上にはウイルス複製能や適応能に影響し得る未同定のcis-acting elementやRNA二次構造が存在するのか?申請者は、塩基配列依存性のVif発現量調節領域を同定し、vif/vpr/tat産生量が相互に影響しつつ変動し得ることを見出した。Vpr配列内にはtat産生に必須のスプライシングアクセプター3(SA3)が存在し、その周辺には複数の局所RNA二次構造が認められる。本研究では、SA3周辺の塩基配列に特に着目してHIV-1のvif/tat産生量調節機構を解析し、新規のvif/tat産生調節領域と産生調節におけるRNA構造の関与を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
HIV-1の高い変異・適応能は重要な生存戦略の1つである。HIV-1の変異や適応過程を知ることは効果的な複製制御に繋がると期待される。研究代表者はHIV-1の変異、特にアミノ酸変異によらず塩基配列レベルでの同義置換による適応に着目して解析を進めてきた。HIV-1のようなRNAウイルスは複製に必須の複数のcis-acting elementをゲノム上に有している。同義置換でウイルス複製に影響を及ぼす配列の探索は、新規のcis-acting elementの同定にも繋がり得る。これまでに、HIV-1 vprコード領域内のスプライシングアクセプター(SA)3近傍でH9細胞でのマルチサイクル複製能を低下させる同義1塩基置換を5つ同定した。SA3はtat mRNA産生に重要なサイトであるため、HEK293T細胞に同義1塩基置換を持つプロウイルスクローンとLTR下流にルシフェラーゼ遺伝子を持つ発現ベクターをコトランスフェクションしてTat活性を調べた。5つの変異体の内、4つはTat活性やウイルス産生量を低下させ、3つは産生されたウイルスのシングルサイクル感染価(TZM-bl細胞による)も著減していた。一方、5つの変異体の内、1つの変異体では、H9細胞での複製能が著減するにも関わらず、Tat活性やTZM-bl細胞での感染価は野生型と同程度であった。研究代表者は以前、vprの配列変化がvif mRNA産生量に影響することを報告しているため、Vif発現量の変化により、H9細胞(APOBEC3G高発現細胞株)での複製能が低下した可能性を考えた。そこで、APOBEC3G発現量の異なる細胞株CEM-SSおよびCEMを用いて感染実験を行ったが、いずれの細胞株でも当該1塩基変異体の増殖能は低下していた。今後、この1塩基置換による複製抑制機構を解析し、この近傍領域のHIV-1複製における役割の解明に繋げたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HIV-1シークエンスデータベースを用いたHIV-1配列多様性に関する情報から、SA3周辺で同義1塩基置換を抽出した。これらの変異を有する1塩基置換体を作製し、HIV-1の複製能を変動させるほどの意義のある変異を5つ同定した。SA3はvprコード領域内に存在し、tat mRNA産生に重要なスプライシングサイトである。従って、同定した5つの同義1塩基置換の内、4つはTat活性に影響を及ぼし、Tat活性が減弱することでH9細胞でのマルチサイクル複製能を低下させたと考えられる。しかし、Tat活性の低下と複製能の低下の程度はパラレルではなかったことから、Tat以外にも複製能低下の要因がある可能性がある。一方、これら4つの変異体とは別に、Tat活性やTZM-bl細胞への感染価は野生型と同程度でありながら、H9細胞での複製能を著減させる同義1塩基置換は非常に興味深い変異である。これまでに研究代表者が同定した1塩基置換は、mRNA産生量/タンパク質発現量を変動させることで、結果としてHIV-1複製能を変動させていた。現時点では、当該1塩基置換がGagやVifの発現量には影響せず、また、TZM-bl細胞感染価の結果からウイルス粒子のEnv発現にも影響していないと考えている。次年度は、当該1塩基置換による複製能抑制の要因を明らかにしたいと考えている。当該1塩基置換は、先行研究で報告されたスプライシングエンハンサー領域内に存在しているものの、Tatとは無関係にHIV-1複製能に影響するため、新たなcis-acting elementの同定に繋がる可能性があると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者が同定したSA3周辺の1塩基置換の内、H9細胞でのHIV-1複製能を低下させるが、Tat活性やTZM-bl細胞への感染価は野生型の表現型を示す1塩基置換のマルチサイクル複製能の抑制機構の解明が喫緊の課題である。しかし、これまでに得られているデータは、複製能に強く影響するGag、Tat、および、Envの発現量は変動していないことを示唆している。また、H9細胞、CEM-SS細胞、および、CEM細胞を用いた実験結果からAPOBEC3発現量依存的な複製能変動の可能性でもないようである。H9細胞での複製能の低下は明らかであり、何らかの要因があることは間違いないと考えられる。ウイルス粒子の構成タンパク質には影響がないため、今後はアクセサリータンパク質に関して詳細に解析していく。Vprタンパク質の活性・機能については様々な報告があるが、我々はこれまでにvprコード領域内の塩基配列変化によりVif発現量が変動することなどを見出している。当該1塩基置換によるHIV-1複製抑制機構を明らかにすることによって、vpr塩基配列の生物学的・ウイルス学的意義の解明に繋げたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)