Project/Area Number |
21K07060
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49060:Virology-related
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
徳永 研三 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官 (50342895)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | MARCH8 / 抗ウイルス活性 / 動物種 / キメラタンパク質 / RNF152 / ウイルスエンベロープ糖蛋白質 / シュードウイルス / 宿主因子 / エンベロープウイルス / 補因子 |
Outline of Research at the Start |
我々が世界に先駆けて報告したヒトタンパク質MARCH8が、エイズウイルス、狂犬病ウイルス、新型コロナウイルス等、様々なウイルス感染を抑えることをこれまで明らかにしてきた。本研究では、MARCH8が種々のウイルス感染を抑制する分子メカニズムについて詳細に検討する。以前の研究でMARCH8の機能を補助する宿主因子の存在が示唆されたが、その因子を見つけるためにMARCH8と結合するタンパク質を選出する。更にそのMARCH8結合タンパク質がウイルス感染抑制において実際にMARCH8の補助因子として機能することを確認する。この研究を通してMARCH8がウイルス感染予防・治療に応用可能かどうかを検討する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
抗ウイルス宿主因子MARCH8の新たな研究成果に関連して、原著論文の執筆を進めた。この過程において、昨年度までに得られたデータに加え、種々の追加実験を展開した。まず、水疱性口内炎ウイルスGタンパク質(VSV-G)に対するMARCH8の抑制効果について、各動物種(サル、マウス、ウシ)由来の野生型および2種類の変異体(RING-CH変異体、YxxL変異体)を用いて検証した。実験では、HIV-1-Env欠損型ルシフェラーゼレポーターウイルスDNAとVSV-G発現ベクターとともに各MARCH8をヒト胎児腎細胞株293Tに導入し、産生されたウイルスの感染性を評価した。その結果、各動物種型もヒト型と同様、野生型MARCH8とそのYxxL変異体はVSV-Gに対する抑制活性を示し、RING-CH変異体は抑制活性を失っていた。これにより、MARCH8の抗VSV-G活性とその機能領域が動物種間で保存されていることが示唆された。さらに、抗ウイルス活性を持たないMARCH3との間で組換えたMARCH8/3キメラを用いた感染実験により、MARCH8の抗HIV-1-Env/VSV-G活性にはN末とC末の細胞質領域に加えて、N末膜貫通領域が重要であることが分かった。これらキメラタンパク質の細胞内局在性を、MARCH8、細胞骨格、および核の3重染色で検討した結果、N末/C末の細胞質領域とN末膜貫通領域がMARCH8由来である場合に限り、野生型MARCH8と同様の細胞膜局在を示した。この細胞膜局在の有無は、抗ウイルス活性の有無と一致していた。また本研究と並行してMARCH8に類似する膜貫通型ユビキチンリガーゼRNF152の細胞生物学的解析を行った。RNF152がメラニン合成に重要な酵素チロシナーゼをユビキチン化してリソゾーム分解することにより、メラニン合成を負に制御することを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の入国制限のため予定より大幅に遅れて2022年5月半ばに来日した中国人留学生の孔徳川氏(熊本大学大学院博士課程入学)は、前職が上海CDCの疫学部門スタッフで、ラボのウェット実験は未経験であったため、昨年度も彼に対するウイルス学・免疫学・分子生物学・細胞生物学に関する講義および各実験手法の指導に多大な時間を費やした。そして彼にとって本来4年間ある医学系大学院生活がすでに13か月半のロス、つまり学位取得に必要な論文採択期限まで2年半を切った状況でスタートしていたため、彼の来日以前から進めていたMARCH8研究の延長線上でかつ論文化し易い研究テーマを展開していく必要があった。したがって、当初予定していた本年度の研究計画におけるプライオリティの変更を余儀なくされ、MARCH8の抗ウイルス活性における宿主コファクターの同定に関する研究は、期間延長の2024年度に持ち越しとなった。ただその間に長崎国際大の藤田英明先生との共同研究で、MARCH8様の膜貫通型ユビキチンリガーゼRNF152に関する細胞生物学的な研究の成果をMembranes誌に報告した。さらに、フランス・カナダ・ポルトガルの国際共同チームに孔徳川氏とともに加わりSARS-CoV-2のワクチン効果に関する研究成果をScience Advancesに報告、また感染研の部内チーム研究としてSARS-CoV-2における粘膜免疫の重要性に関する研究をPNASに報告し、さらに東大医科研の佐藤佳先生との共同研究でコウモリコロナウイルスのトロピズムに関する研究結果をJ. Virolに報告した。
|
Strategy for Future Research Activity |
期間延長の最終年度(2024年度)は、MARCH8の宿主コファクターの同定に取り組む。まず他の動物種由来のMARCH8で報告されている宿主因子についてピンポイントで解析する。すなわち、MARCH8と当該関連因子を共発現させて免疫沈降を行い、分子間相互作用を確認する。ノックダウン/ノックアウト実験によるMARCH8の抗ウイルス機能強化の有無に関する解析により、MARCH8のコファクター要求性を検証する。また両者の結合領域の同定を行う。さらに網羅的解析として、東京大学先端科学技術研究センターの川村猛先生との共同研究により、MARCH8結合タンパク質のプロテオミクスを行う。その実験にあたりMARCH8発現細胞とコントロール細胞の大量調整を行い、抗MARCH8抗体による免疫沈降サンプルを解析に用いる。検出スコアの上位に位置する宿主タンパク質のDNAクローニングを行ったのち、上記と同様の実験を実施する。
|