Project/Area Number |
21K07116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森藤 可南子 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (90867524)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 腫瘍溶解性組換え麻疹ウイルス / 1型ヘルパーT細胞 / CD4+ T細胞除去 / 腫瘍用解析組換え麻疹ウイルス / Th1細胞 / 癌治療 / 抗腫瘍免疫反応 / 腫瘍溶解性ウイルス / 1型ヘルパーT細胞(Th1細胞) / 癌微小環境 / 免疫反応 |
Outline of Research at the Start |
腫瘍溶解性ウイルス癌治療は、ウイルスが癌細胞を殺傷することを利用した新しい治療法で、この治療法は抗腫瘍免疫の活性化が期待されている。腫瘍溶解性組換え麻疹ウイルスは、申請者の所属する研究室で開発された腫瘍溶解性ウイルスである。申請者は、正常免疫保有マウスモデルを用いて、組換え麻疹ウイルスは1型ヘルパーT細胞(Th1細胞)を癌微小環境に強く誘導することを発見した。誘導されたTh1細胞が癌治療効果に寄与するのであれば、抗腫瘍免疫の長期持続が期待される。そこで、本研究では組換え麻疹ウイルス治療が誘導するTh1細胞の癌治療効果への寄与の検証と組換え麻疹ウイルスのTh1細胞誘導メカニズムの解明に挑む。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度に発表した論文では、Th1細胞を含むヘルパーT細胞群(CD4+ T細胞)の除去実験により、組換え麻疹ウイルス(rMV)を投与した腫瘍においてCD4+ T細胞はrMV癌治療開始直後の抗腫瘍効果には貢献するが、最終的な生存率には全く寄与しないことを明らかにした (Moritoh et. al., Cancer Science, 2023, doi: 10.1111/cas.15740.)。 2023年度には、ウイルスを投与した腫瘍に対する影響だけでなく遠隔転移に対するCD4+ T細胞の影響を両側腫瘍モデルにて詳細に解析した。複数の腫瘍モデルを用いた解析により、CD4+ T細胞を除去するとrMV癌治療の抗腫瘍効果を両側性に改善が認められる腫瘍モデル(モデルA)を発見した。このモデルAでは、CD4+除去による腫瘍抗原特異的エフェクターCD8+ T細胞誘導の上昇も観察された。CD4+ T細胞除去による抗腫瘍効果の改善は、前回の誌上発表で使用した腫瘍モデル(モデルB)で得られた知見とは矛盾する。この矛盾はどのようにして生じたのかを明らかにするため、rMV癌治療後のCD4+ T細胞の表現系を詳細に解析した。その結果、2つのモデル間でrMV癌治療後のTh1細胞の変化は一貫して上昇するが、ほかのヘルパーT細胞の誘導と制御性T細胞がモデルAで高いことが明らかになった。また、モデルBではCD4+ T細胞の除去のタイミングや両側腫瘍モデルでの検討を詳細に行ったが、モデルAで得られた顕著な治療効率の改善がrMV単独療法で観察されることはなかった。しかし、モデルBにおいて、チェックポイント阻害剤とrMV癌治療との併用した際に、CD4+ T細胞除去による治療効果の改善とエフェクターCD8+ T細胞集簇の上昇が観察された。そして、本研究で得られたこれらの知見をもとに誌上発表する準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の遂行にあたり、腫瘍モデルによってrMV癌治療効果へのCD4+ T細胞の貢献度に差異があることを発見した。腫瘍モデルAで観察された事象は、既に誌上発表したモデルBで観察された事象と矛盾するため、実験の再現性の確認やrMV癌治療後のCD4+ T細胞の表現系の詳細な解析等多くの動物実験に時間を費やす必要があった。そのため、本来の研究計画より進捗が少し遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、申請者がrMV癌治療直後、迅速にTh1細胞が誘導されることを発見したことをきっかけに、CD4+T細胞がrMV癌治療の治療効果にどのような影響を与えるかを検討してきた。その過程でrMV癌治療はTh1の誘導だけでなく、その他のヘルパーT細胞、制御性T細胞にも影響を与えることが明らかとなった。また、すべてのサブセットを含むCD4+T細胞除去実験を介して、CD4+T細胞は腫瘍モデルの違いや、その他の癌治療法との併用によりrMV癌治療の治療効果に対し、貢献の仕方が異なることも分かってきた。現在までに、rMV癌治療とCD4+ T細胞との関連性を様々な形で示すためのデータの収集は完了した。現在は論文の投稿準備中である。2024年度には、この論文を誌上発表するための作業に専念し、さらに学会での発表も行う。
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