多段階発がん過程におけるエピゲノム変異の同定による新規がん関連遺伝子の単離
Project/Area Number |
21K07164
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
成瀬 美衣 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (80549923)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | オルガノイド / メチル化 / 発がん |
Outline of Research at the Start |
本研究では、 (C57BL/6 x JF1)F1マウスの正常大腸オルガノイドにゲノム編集による遺伝子変異を段階的に導入し、多段階発がんモデルを作製する。この過程で起こるエピゲノム変化(DNAメチル化の変化)をバイサルファイト全ゲノムシーケンスにより、父方母方のアリル別に網羅的に同定する。これにより、1つのがん関連遺伝子に変異が入る毎にどのようなエピゲノム変異が起こるのかを、多段階発がん過程で経時的に明らかにすることが可能である。同定したエピゲノム変異から推定される遺伝子発現異常を、ヒト及びマウス正常上皮由来オルガノイドにおいてゲノム編集により再現し、がん化作用があるのかについても明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
分子標的薬などの個別化医療が進む中、遺伝子変異による症例の層別化が進む一方、遺伝子変異のみでは層別化できない多様性ががんには存在し、その原因の1つはエピゲノム変異によると考えられる。そこで本研究課題では、正常大腸組織より作製したオルガノイドに、ゲノム編集を利用して多段階発がん機構を培養下で再現し、がん関連遺伝子の変異に伴って起こるエピゲノム変異を明らかにすることで、新たながん遺伝子もしくはがん抑制遺伝子を明らかにし、さらに、それらのエピゲノム変異を指標にした患者の層別化、および新たながん治療法の創出が目的である。元の組織をより反映したモデルとして近年オルガノイドが用いられているが、エピジェネティックな情報についてどの程度元の組織と同じに維持できているかは不明な点が多い。昨年度は、インプリント遺伝子領域に存在する母親由来と父親由来でDNAメチル化状態に差異があることが知られる DMR (Differentially Methylated regions : DMRs)が、オルガノイドにおいても維持されていることを明らかにした。これは父方由来、母方由来の染色体を区別して解析可能なF1マウスのオルガノイドを用いたことで可能となった。今年度は、オルガノイドを樹立する過程で、in vivoとは異なったDNAメチル化状態を持つ領域が存在するのかの検証を行った。これらの結果は、オルガノイドを樹立することで、発がんに寄与するエピジェネティック変化の有無を検証する上で重要な基礎データとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、正常大腸組織より作製したオルガノイドに、ゲノム編集を利用して多段階発がん機構を培養下で再現し、がん関連遺伝子の変異に伴って起こるエピゲノム変異を明らかにすることで、新たながん遺伝子もしくはがん抑制遺伝子を明らかにし、さらに、それらのエピゲノム変異を指標にした患者の層別化、および新ながん治療法の創出が目的である。元の組織をより反映したモデルとして近年オルガノイドが用いられているが、エピジェネティックな情報についてどの程度元の組織と同じに維持できているかは不明な点が多い。そこで、マウス大腸とそこから樹立したオルガノイドの全ゲノムメチル化情報を比較し、今年度の解析からは、遺伝子発現を制御することが知られているCpGアイランドにおいて、正常大腸組織と正常大腸組織より作製したオルガノイドに差異が存在するのかを検証することを行った。マウスゲノム中に存在する30000箇所を超えるCpGアイランドのメチル化状態の比較解析を行い、100を超える領域において、in vivoでは高度にDNAメチル化されているが、オルガノイドにおいては脱メチル化状態であることを明らかにした。また、in vivoではDNAメチル化されていないが、オルガノイドにおいては高度にDNAメチル化を受ける領域も存在することを明らかにした。これらのDNAメチル化状態に変化を考慮した上で、多段階発がん過程を模した遺伝子変異の導入を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究結果より、正常組織由来の大腸オルガノイドでは、遺伝子発現制御に重要な役割を持つと想定されるCpGアイランドのDNAメチル化に劇的な変化が生じている領域が数多く見つかった。今後行うゲノム編集により多段階発がん過程を再現し、その過程のエピゲノム情報をゲノムワイドに取得する際には、オルガノイドにすることですでにエピゲノム変化が生じている領域が存在することを考慮した上で、エピゲノム変異について解析をする必要性がでてきた。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)