Project/Area Number |
21K07239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山内 高弘 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (90291377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細野 奈穂子 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (50509312)
根来 英樹 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (40444228)
大藏 美幸 獨協医科大学, 医学部, 講師 (30647657)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 分子標的治療 / 細胞療法 / 血液腫瘍学 / 薬物治療学 / 化学療法 / 免疫療法 |
Outline of Research at the Start |
血液がんである急性白血病は抗がん薬により一旦奏功するものの、多くは再発し抗がん薬が効かなくなる。薬剤に効かなくなった再発白血病に対する治療開発は最重要課題である。申請者らは新たに樹立した抗がん薬耐性白血病培養細胞が細胞死導入抵抗性になっていることを見出した。本研究では細胞死抵抗性を治療のターゲットとすることで、抗がん薬の効かなくなった白血病がん細胞に治療効果を発揮させることを基礎的に検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
骨髄異形成症候群白血病転化細胞株MDS-Lと培養急性骨髄性白血病細胞株HL-60を用いてin vitroにおいて以下の新しい実験結果を得た。 ①MDS-Lを脱メチル化薬デシタビン5 nM 6か月間長期培養した(臨床的に脱メチル化薬が4‐6か月と長期に用いられることに相応する条件)。この長期培養によりWestern blotにてBCL2発現の低下とTP53発現の回復が認められた。更に、PT53AIP1, TP53/11が増加し、TP53阻害因子MDM2が低下し、BCL2阻害薬ベネトクラクスとの相乗効果が得られた。一方、同デシタビン短期培養(5日間)では、Western blotにてBCL2発現は不変で、TP53発現増加が認められた。即ち2022年から高齢者AMLの標準治療の一角となった脱メチル化薬+BCL2阻害薬ベネトクラクスの効果は第1サイクルと第4-6サイクルではメカニズムが異なることが判明した。 ②HL-60はCD33陽性率70%で、CD33抗体薬Aの効果を検討した。Aが白血病細胞にADCC活性を有することは昨年証明した。HL-60細胞と健常人単核球と抗体薬Aを48時間共培養したところ、Annexin陽性率からアポトーシス死誘導が同定された。本アポトーシスは単核球非存在下では起こらず、抗体依存性免疫応答であることが示された。更にWestern blotにて内因系アポトーシスタンパクcaspase 9, 3, 7だけでなく外因系アポトーシスタンパクcaspase 8の切断・活性化が示された。このように抗体薬Aが免疫担当細胞存在下に白血病細胞株に殺細胞効果を発揮すること、そして内因系、外因系双方を活性化させ死に至らしめたことを明らかにした。内因系を標的とするベネトクラクスの薬剤耐性を克服しうる最も効果的な戦略であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究において様々な培養白血病細胞株を用い、①令和3年度では抗アポトーシス(Bcl-2, Mcl-1)阻害による内因系アポトーシス経路の活性化、②令和4年以降では外因系アポトーシス経路の活性化の検討を予定した。令和3年に実験を進める中でより上流のTP53の発現回復という大きなメカニズムを得ることができた。TP53の更なる検討と同時に、実験計画に沿って、アポトーシス内因系、外因系双方を同時に継続検討した。 ①MDS-L細胞において臨床に合致した脱メチル化薬との長期培養を行い、BCL2、TP53のタンパク発現回復が生じることを見出し、さらにp53制御タンパクTP53AIP1とTP53誘導性タンパクTP53I11の増加、さらにはTP53分解タンパクMDM2の低下を見出した。これらがBcl2阻害薬ベネトクラクス併用との相乗効果に直結した。本結果は驚くべきものであった。また、脱メチル化薬短期培養ではBCL2は不変でTP53発現上昇のみがみられたことから、治療初期と治療後半では白血病細胞に対する殺細胞機序が異なることが示唆された。 ②HL-60細胞において抗体医薬Aの作用メカニズムを検討した。細胞死誘導アポトーシス経路は内因系だけでなく外因系が利用されていることが判明した。経路の判断はcaspase切断様式からなされた。全く新しい結果である。ここ1-2年で世界的標準治療となったベネトクラクス療法において薬剤耐性化は今大きな問題である。本結果は迂回路としての外因系を利用する戦略の基礎基盤となる重要な結果である。 以上、令和3-4年度予定の実験をすべて終了した。特に予定を超えてアポトーシス経路上流のTP53関連に踏み込んだことから、令和4年度の研究は当初の計画以上に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初①令和3年度では抗アポトーシス分子(Bcl-2, Mcl-1)阻害による内因系アポトーシス経路の活性化、②令和4年以降では外因系アポトーシス経路の活性化を予定した。上述のように予定の実験をきわめて順調に同時平行で行い、さらに上流のTP53の検討を加えた。令和5年度は最終年度として以下のように研究を推進し研究をまとめる。 ①については残された課題として脱メチル化薬+ベネトクラクス併用+伝統的抗がん剤シタラビンまたはMCL1阻害薬の併用効果を検討する。世界的にはMCL1阻害は成功していない。ここに踏み込んで新規薬剤デナシニブを検討する。また、抗アポトーシス分子の過剰発現が関連する薬剤耐性白血病細胞株を当科で樹立している。この耐性細胞株において同様に検討を行う。 ②についてはBCL2阻害薬ベネトクラクスを追加する併用を検討する。さらにはもう一つの培養細胞FLT3遺伝子変異陽性MV4-11細胞を用いる。本細胞ではFLT3阻害薬をさらに追加併用する。 以上から今最も脚光を浴びている新規標準治療脱メチル化薬+ベネトクラクス併用療法の耐性化という最重要課題の克服に向けた新規治療戦略開発の基礎基盤確立を目指す。
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