TDP-43リン酸化に着目した神経細胞死機構解明とALS/FTD治療戦略の構築
Project/Area Number |
21K07284
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51030:Pathophysiologic neuroscience-related
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
名和 幹朗 東京医科大学, 医学部, 講師 (10398620)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 前頭側頭型認知症 / TDP-43 / 神経細胞死 / リン酸化 |
Outline of Research at the Start |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)と前頭側頭型認知症(FTD)では、両疾患の原因因子TDP-43が高リン酸化された状態で神経細胞内に蓄積しており、TDP-43のリン酸化と疾患発症との関連性が示唆されている。申請者は、これまでにTDP-43の新規リン酸化部位を複数同定した。これらリン酸化部位をアミノ酸置換により欠損させたTDP-43変異体では細胞死誘導が完全に抑制された。本研究では、同定した新規リン酸化部位の制御機構を分子レベルで検討し、両疾患の発症・病態との関連性を解明する。さらに、ALS/FTD治療薬確立を目指し、細胞死誘導に関わるTDP-43リン酸化を抑制する薬剤や化合物を探索する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
ALSとFTDは神経細胞が進行性に変性・脱落が見られる。両疾患では編成部位が異なっており、ALSでは運動神経細胞死によって運動機能障害を呈し、FTDでは前頭葉や側頭葉の萎縮による認知機能障害、人格変化、行動異常を呈するため異なる疾患概念とされてきた。近年、両疾患で見られるユビキチン陽性封入体に共通する構成成分としてTDP-43タンパク質が同定され、両疾患は共通の病態基盤を有することが明らかになってきた。また、ALSでは本来核に存在するTDP-43がリン酸化を受けた状態で細胞質内で凝集しており、疾患のマーカーとして用いられている。しかし、TDP-43のリン酸化機構の全貌や、リン酸化がTDP-43の生理機能に与える影響に関しては不明な点が多い。これまでに報告されているTDP-43リン酸化部位の多くはTDP-43タンパク質のC末に存在しているが、我々はこれら既知の部位とは異なるリン酸化部位を同定し、さらに、同定した新規リン酸化部位がTDP-43による細胞死誘導に必須であることを確認している。 家族性ALSで同定されたTDP-43の変異体(A315T変異)をマウスに発現させるとALS様症状が起こるが、本研究ではA315T変異に加え、新規リン酸化部位のアミノ酸をアラニンに置換した変異体を発現するトランスジェニックマウスの作製を行なった。また、2021年度にキナーゼ阻害剤ライブラリーを用いたスクリーニングの結果、複数のキナーゼ阻害剤がTDP-43誘導性の細胞死を抑制可能であることを見出したが、ライブラリー中のキナーゼ阻害剤は特異性が低いのものも含まれる。そこで、本年度は、ライブラリー中のキナーゼ阻害剤のターゲットキナーゼに対する特異的な阻害剤を用いてTDP-43誘導性の細胞死を抑制するか検討した結果、複数のキナーゼの阻害剤によりTDP-43誘導性細胞死が抑制されることを明らかとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ化の影響により試薬や器具の製造・納品遅延により、2021年度に行う予定であったTDP-43トランスジェニックマウスの作製が遅延した。これにより、研究の進捗状況はやや遅れているが、2021年度末からトランスジェニックマウスの作製が可能となり、2022年度は作製したマウスの表現型解析の一部が出来るまでに進捗状況の遅延を取り戻しつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、新規に同定したTDP-43リン酸化部位のリン酸化制御機構の解析と、同リン酸化部位がリン酸化を受けることによりどのようにして細胞死が誘導されるかについて解析を行う。また、作製したトランスジェニックマウスの表現型の解析を行い、新規リン酸化部位のALS病態発症や症状進行に与える影響を検討する予定である。また、2022年度に同定したTDP-43誘導性細胞死に関与するキナーゼが、TDP-43誘導性の細胞死経路をどのように制御するかについて検討を行う予定である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(1 results)