Project/Area Number |
21K07297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51030:Pathophysiologic neuroscience-related
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
臼井 桂子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60402872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 直敬 独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (00470162)
長峯 隆 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10231490)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 長期記憶の障害 / 記憶の固定化 / てんかん / 認知症 |
Outline of Research at the Start |
短期記憶は正常だが長期記憶が成立しない記憶障害は、「てんかん」や認知症で見られるが、そのメカニズムの詳細は明らかではない。本研究では、この長期記憶障害の原因と考えられる「記憶の固定化」過程の阻害要因を解明する手掛かりを得ることを目的として、難治性てんかんの外科治療症例の頭蓋内脳波を用いた電気生理学的解析と脳画像解析手法、神経心理学的手法を複合的に活用して、海馬と、側頭葉、前頭葉、頭頂葉等に存在する記憶関連脳部位間ネットワーク活動の特徴を描出する。さらに、この解析結果を用いて、記憶機能低下の早期発見に資する非侵襲的脳機能評価手法の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
記憶は、保持される時間により短期記憶と長期記憶に分類される。短期記憶が正常であるにもかかわらず長期記憶が成立しない記憶障害は、「てんかん」や認知症で見られるが、そのメカニズムの詳細は明らかではない。本研究では、この長期記憶障害の原因と考えられる「記憶の固定化」過程の阻害要因を解明する手掛かりを得ることを目的として、難治性てんかんの外科治療症例の頭蓋内脳波を用いた電気生理学的解析と脳画像解析手法、神経心理学的手法を複合的に活用して、海馬と、側頭葉、前頭葉、頭頂葉等に存在する記憶関連脳部位間ネットワーク活動の特徴を描出し、この解析結果を用いて、記憶機能低下の早期発見に資する非侵襲的脳機能評価手法の開発を目指して実施している。 初年度は、記銘、保持、想起という記憶の3過程の中で、記銘と想起にかかわる大脳の電気的活動の抽出に取り組んだ。難治性てんかんの外科治療前検査のために頭蓋内に硬膜下電極留置中の症例12症例を対象として、総計約1000カ所の頭蓋内電極から本研究者による自主開発の視覚刺激(視覚性言語記憶課題)による言語記憶課題遂行中の大脳皮質脳波を記録し、オフラインで解析した。事象関連電位による解析では、複数の症例で、視覚課題提示後約150ミリ秒にピークを持つ陰性電位を後頭葉の電極に認め、それから約20~50ミリ秒後に側頭葉底面または後頭側頭境界領域の電極に、陽性、または、陰性の電位を確認した。周波数解析では、事象関連電位を認めた後頭葉電極、または、その近傍の電極でγ帯域活動の一過性増加と、αおよびβ帯域活動の一過性低下、さらに、側頭葉底面、または、後頭側頭境界領域の電極においては、記憶課題遂行時に一過性にγ帯域活動増加、それに引き続いて、αまたはβ帯域活動の増加を確認した。これらの知見により、視覚入力信号処理とその後の記憶関連情報処理に関連する電気活動を捉えることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、硬膜下電極留置した症例10例の電気生理学的研究を予定していたが、さらに2例を加えて解析を行うことができた。頭蓋内電極による電気生理学的評価は、脳軟膜上に留置された格子状電極(各電極の直径4mm、電極間距離1㎝)から、ミリ秒単位の時間解像度で脳電気活動を記録するという、他の手法では得られない利点がある一方、電極が留置されていない領域の電気活動は観察できないという限界も存在する。研究実績で述べた記憶関連脳活動については、一症例あたり、1ないし2電極のみで観察されており、極めて限局した脳活動であることが明らかになった。記憶関連脳活動が同定できなかった症例も存在したが、このような症例では、脳活動が生じていないのではなく、脳活動部位に記録電極がなかったという可能性も考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目である2022年度前半においては、予定通り、初年度に実施した皮質脳波データ解析結果に画像検査データと神経心理検査データを加えて統計学的分析を行う予定である。 2022年春の時点で、コロナ感染症の状況が予測不能であるため、2022年度後半に予定していた、新規開発記憶課題による健常被験者を対象とした脳波・脳磁図記録が実施できるかについては未確定であるが、少なくとも少数例での記録実施ができるよう準備を進める。
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