Project/Area Number |
21K07303
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51030:Pathophysiologic neuroscience-related
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
八坂 敏一 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (20568365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 治樹 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (30452949)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 痛み / 痒み / 脊髄後角 / 局所神経回路モジュール / ラベルドライン |
Outline of Research at the Start |
慢性的な痛みや痒みは耐え難く、QOLの著しい低下をもたらす。既存の治療が奏効しないケースがあるため、より良い治療のためには発症メカニズムの解明が必要不可欠である。近年、痛みと痒みは異なった知覚神経と脊髄後角局所神経回路で処理されることが明らかになってきた。本研究では、痛みと痒みの局所神経回路の基本モジュールはどれほど類似し、何が違うのかを解明することを目的とする。得られた結果により、痛みと痒み、それぞれに応じた新規治療のターゲットを得られることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
慢性的な痛みや痒みは耐え難く、患者のQOLは著しく低下する。治療薬の開発もされているが、治療に難渋するケースもあり、いまだ発症メカニズムの解明が必要不可欠である。近年になり、痛みと痒みはそれぞれ異なった神経により受容され、独立した経路により伝わることが明らかとなった。しかし、両者には類似性もあり、さらに相互作用することも知られている。本課題ではそれらについてより明確にすることを目的とした。 方法はパッチクランプ記録法による電気生理学的解析を採用した。脊髄後角において痒みを伝える細胞は、ガストリン放出ペプチド受容体(gastrin-releasing peptide receptor; GRPR)を発現していることが知られている。従って、本課題では脊髄後角細胞からパッチクランプ記録を行い、GRPを投与した際に反応する細胞を“痒み細胞”と同定するストラテジーを採用した。また、実際に皮膚に与えた痛み刺激との関連を調べるため、in vivo標本を用いたパッチクランプ記録を行った。 昨年度までにin vivoパッチクランプ記録を開始してデータ得ているが、実験系の難易度が高いため、本年度実験を重ねていく中で、より効率的・効果的な手順についてブラッシュアップを行った。この標本では麻酔した動物の脊髄を露出させるが、その手術は難易度が高いため、再現性と成功率を高めるためランドマークを見直しなどにより改善を行った。また、データ収集の効率化を図るため、より記録の安定化と記録開始後の各テストについてフローチャートを見直して改善した。脊髄のin vivoパッチクランプによる記録は、世界的にもほとんどされておらず、本課題の最大の特徴であり、この方法で得られるデータは本課題の中核をなす重要な内容となる。既にデータ収集は行ってきているが、難易度の高い本実験系においてデータ収取の効率化は重要な課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
先ず、研究代表者は、現職に2020年度より赴任した。本研究課題を開始した2021年度当初は、折しもコロナウイルス感染症拡大を受け、様々な行動制限などが行われ、新しい環境での実験環境の構築に時間を要することとなってしまった。本年度の遅れに関しても当初の遅れの影響を引きずっている形となる。 また、当初の研究計画では、動物から剖出した脊髄のin vitroスライス標本を用いてパッチクランプ記録を行い、脊髄における痒み誘発物質(GRP)に対する反応を記録した後固定して、形態観察や免疫組織化学染色などの解析を行うことも含まれていた。しかし、特に形態に関しては外国のグループから詳細な論文が発表されてしまったため、本課題の中核的な実験である麻酔下の動物を用いたin vivoパッチクランプ記録を優先することとした。以前よりこの方法を用いて研究を行ってきているが、元々難易度の高い方法であり、実験を繰り返しながら成功率の向上と効率的なデータ収集方法の改善を同時に進めている。本年度は研究以外の業務の多忙により、十分な研究時間を確保できなかったため、十分なデータを得ることができなかったが、時間要因以外は研究の進行に問題ない。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、最大の問題は研究時間の確保であり、それ以外の要因について研究の進行に問題はないと考えている。従って、今後もin vivo標本を用いて脊髄後角細胞からパッチクランプ記録を行い、データを蓄積していく。データとしては、記録した細胞が痒み誘発物質であるGRPに対して反応するかどうか、脱分極パルスによる活動電位の発火パターンがどのようなものか、GRP以外の薬品に対する反応を示すか、末梢の皮膚刺激に対してどのような応答を示すかを記録し、細胞の種類の同定と末梢刺激(低閾値機械刺激、侵害刺激)に対する応答を比較し、神経回路を推察する。
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