多発性骨髄腫におけるスプライソソーム発現制御機構の解明と治療への応用
Project/Area Number |
21K07311
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
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Research Institution | Gunma University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
村上 博和 群馬医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (40166260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠松 哲光 群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (60737542)
増田 裕太 群馬医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (40908985)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 多発性骨髄腫 / スプライソソーム / HNRNPA2B1 / SRSF2 / MYC / 遺伝子発現 |
Outline of Research at the Start |
多発性骨髄腫(MM)は新規治療の導入により予後は改善してきているが、未だ治癒は望めず、治療成績の向上が社会的に求められている。申請者らは血液腫瘍における分子生物学的異常を検討してきた中で、スプライソソーム分子SF3A1の一塩基多型が骨髄異形成症候群の病勢に関与することを発見した。 スプライソソームは転写されたmRNA前駆体からイントロンを取り除いて成熟RNAにする機能を持つ。がん細胞では、スプライソソームの遺伝子変異や発現の脱制御により異常スプライシングが生じ、その進展や治療効果の低下に繋がるとされる。 本研究では、MM細胞における野生型スプライソソーム分子の発現制御機構を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
【目的】多発性骨髄腫(MM)は形質細胞の悪性腫瘍であり未だ治癒が困難な難治性血液腫瘍である。そのため新たな治療戦略の開発が必要不可欠である。そこで我々は、MMに対する新たな治療標的としてスプライソソームに注目した。スプライソソームはRNAが成熟する際に生じるスプライシングに関与するタンパク-RNA複合体であり、様々な分子が同定されている。スプライソソームの異常はがんなどの様々な疾患に関与することが知られており、治療標的としても注目されている。今回の研究では、スプライソソーム遺伝子の発現ならびに関連遺伝子の発現をMM細胞株を用いて解析した。またsiRNAを用いてスプライソソーム遺伝子をノックダウンした際のMM細胞株における遺伝子発現、細胞増殖の変化等について検討した。【方法】MM細胞株におけるスプライソソーム遺伝子の発現解析にはRT-qPCR法を用いた。発現量は内在性コントロールのACTBを用いてΔCt法にて解析した。siRNAによる検討では、Lipofectamineを用いてsiRNAをMM細胞株に導入し、任意の時間培養後、遺伝子発現解析、細胞増殖試験などの各種解析を行った。【結果】MM細胞株において、スプライソソーム遺伝子であるHNRNPA2B1、SRSF2が高発現していた。HNRNPA2B1、SRSF2とがん遺伝子であるMYCとの発現の相関を解析したところ、それぞれ相関係数r=0.723、r=0.747と強い正の相関を認めた。HNRNPA2B1のノックダウンによってMYCの発現の減少を認め、一部のMM細胞株では細胞増殖が抑制された。【結論】MM細胞株において高発現しているスプライソソーム遺伝子が同定され、それら遺伝子の発現ががん遺伝子であるMYCの発現と関連していることが示唆された。さらにHNRNPA2B1の発現増加がMM細胞の増殖亢進と関連している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一の目的である「MM細胞株におけるスプライソソーム関連分子発現状態の解析と発現制御メカニズム解明 ・ スプライソソーム関連分子mRNA・蛋白の発現解析」が終了し、HNRNPA2B1、SRSF2が高発現していることが判明した。第二の目的である「MM細胞におけるスプライソソーム関連分子の機能解析 ・ スプライソソーム関連分子発現調整株の樹立と細胞増殖との関連の検討」では、HNRNPA2B1、SRSF2発現ががん遺伝子MYC発現と強い相関を持つことが判明した。また、HNRNPA2B1のノックダウン株を樹立しその影響を解析したところ、MYCの発現が減少していた。しかし、高発現株の樹立には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
初期の計画に示した明らかにする目的のうち、第一の目的である「MM細胞株におけるスプライソソーム関連分子発現状態の解析と発現制御メカニズム解明 ・ スプライソソーム関連分子mRNA・蛋白の発現解析」、および第二の目的である「MM細胞におけるスプライソソーム関連分子の機能解析 ・ スプライソソーム関連分子発現調整株の樹立と細胞増殖との関連の検討」がほぼ終了したため、今後第三の目的である「スプライソソーム関連分子と抗MM腫瘍薬作用との関係の解明」を目指す。そのため、 ① 「スプライソソーム阻害薬単剤およびMYC阻害薬との併用によるMM細胞障害性の評価 」、および②「新規抗骨髄腫薬へのスプライソソーム関連分子の影響とスプライソソーム阻害薬との併用効果の評価 」を進めていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)