老年症候群の網羅的解析とリハビリテーション医学への応用
Project/Area Number |
21K07313
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴崎 孝二 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医(出向) (20625735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 純人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20323579)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 老年症候群 / リハビリテーション / 嚥下障害 / 排泄障害 / 日常生活動作 |
Outline of Research at the Start |
申請者らは脳血管障害、骨折などを契機にActivities of daily living (ADL)の低下を来たした高齢者に対し、ADLの回復過程について解明を進めてきた。老年症候群と呼ばれる認知症、低栄養、嚥下障害、うつ、排泄障害などはリハビリテーション介入によるADL回復の阻害因子となることが分かっている。しかしながら、老年症候群に介入し、老年症候群を有していない高齢者と同等以上にADLを回復させるという報告は皆無である。本研究は老年症候群を網羅的に解析し、脳血管障害や骨折によりADL低下を来たした高齢者に対し、効果的なリハビリテーション介入方法を確立することである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はリハビリテーション阻害因子となる老年症候群を網羅的に解析し、脳血管障害や骨折によりADL低下を来たした高齢者に対し、効果的なリハビリテーション介入方法を確立することである。 脆弱性骨折後の嚥下障害発生状況調査と、言語聴覚士介入の有用性についての検討では、新規性のある研究内容と評価を頂き2022年6月に日本老年医学会でシンポジストとして招待され発表した。さらに同年11月に日本リハビリテーション医学会にて学会発表を行った。2021年度は対象人数が460人であったものが、2022年度には950人と増え、データの信頼性も増した。脆弱性骨折、整形外科疾患術後の嚥下障害のリスク因子の抽出が成功した。整形外科疾患や脆弱性骨折後の嚥下障害のリスク因子としては、性別、1日あたりの摂取カロリー800Kcal未満、食事形態が嚥下食であることがデータから抽出された。これらの因子を用いて嚥下障害リスクスコアを算出したところ、嚥下障害リスクスコア0点(リスク無し)と比較し、1点はハザード比4.16, p=0.004、2点はハザード比13.58, p=0.001、3点以上はハザード比86.45, p=0.001で肺炎死亡と関連していた。2023年度中に少なくも1論文、多ければ2~3論文投稿予定である。 脆弱性骨折後のポリファーマシーは2021年ですでに英文誌に掲載されている。脳血管障害、骨折患者の排泄障害とリハビリテーション介入効果の検討では、2021年学会発表を行い、論文執筆中である。 目標とした症例数に概ね達しており、2023年度中にデータ収集が終了し、データ解析、論文発表を行う予定と、国際学会発表予定である。順調に研究が進行していると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、脆弱性骨折後の嚥下障害発生状況調査と、言語聴覚士介入の有用性についての検討を行った。目標症例数1000人に対し、2023年4月時点で950人に達し目標到達直前である。概ね予想通りの症例数の増加である。本年度は研究4年間中の3年目になり、症例に対し追跡調査を行う予定である。 整形外科疾患や脆弱性骨折後の嚥下障害のリスク因子としては、性別、1日あたりの摂取カロリー800Kcal未満、食事形態が嚥下食であることがデータから抽出された。さらに低アルブミン、低Body mass index、低Activities of daily living (ADL)、認知症が嚥下障害と関連していた。性別、1日あたりの摂取カロリー800Kcal未満、食事形態を点数化し、嚥下障害リスクスコアを算出したところ、嚥下障害リスクスコア0点(リスク無し)と比較し、1点はハザード比4.16, p=0.004、2点はハザード比13.58, p=0.001、3点以上はハザード比86.45, p=0.001で肺炎死亡と関連していた。現在英語論文執筆中であり、2023年度中に少なくも1論文、多ければ2~3本の査読付き英文誌に投稿予定である。 同時に、同じ950症例に対して脆弱性骨折後のポリファーマシーがリハビリテーションに及ぼす影響についての検討を行っている。すでに査読付き英文誌に掲載されている。さらに解析を進め、長期的は生命予後、肺炎死亡との関連を検討する。 脳血管障害、骨折患者の排泄障害とリハビリテーション介入効果の検討については予定800症例の登録であるところを、現時点で登録は終了した。排泄障害を、米国消化器学会分類での排便障害無し群、便秘群、下痢群、便秘・下痢のミックス群に分けると、下痢群と、便秘・下痢のミックス群でのADL改善が有意に低いことが分かった。こちらも英語論文執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で研究の進捗は順調である。脆弱性骨折後の嚥下障害発生状況調査と、言語聴覚士介入の有用性についての検討では4年間の研究期間で、1000症例の登録と追跡調査を行う予定であるが、すでに950症例の登録が終了し、追跡調査中である。現時点での解析でも、期待していた結果が出ている。2022年6月にシンポジウムで発表済み、2022年に日本語ではるが査読付きreview論文投稿、掲載済みである。2023年に国際学会発表予定、英文誌投稿予定であり、研究は順調に進んでいる。 脆弱性骨折後のポリファーマシーがリハビリテーションに及ぼす影響についての検討では上記と同じ症例での検討であるため、症例登録は順調に進んでいる。中間解析での結果もすでに英語論文投稿、掲載が済んでいる。現在のペースで研究を進めれば予定していた研究目的を達成することができると考えられる。現在登録が終了している950症例について、詳細に使用薬剤を分類中である。骨粗鬆症薬だけでなく、ADLの改善に影響のある薬剤についての解析を行っている。 脳血管障害、骨折患者の排泄障害とリハビリテーション介入効果の検討については現在症例登録が済んでおり解析、論文発表予定である。 予定していた研究計画は予定通り進捗しており、今後も現在のペースを維持して行う予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)