骨髄由来免疫抑制細胞を標的とした免疫老化制御の基盤構築
Project/Area Number |
21K07345
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
堀江 一郎 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 講師 (10609514)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 骨髄由来免疫抑制細胞 / 老化 / 免疫老化 / 細胞分化 / 漢方薬 |
Outline of Research at the Start |
健康寿命の延伸には,老化関連疾患に至る前段階,いわゆる「未病状態」から老化状態への移行を阻止する必要がある.特に,多くの生体機能に影響する免疫システムの老化 (免疫老化) は未病状態から認められ,老化状態への移行とも関係は深いが,そのメカニズムや調節に関する知見は乏しい.申請者は,免疫系全体を抑制する骨髄由来免疫抑制細胞 (MDSC) が加齢に応じて増加することに着目し,システムとしての免疫抑制状態とも言うべき免疫老化にMDSCの機能変化が関わるのではないかという仮説を立て,ヒトの老化に類似した細胞・マウスモデルを用い,免疫老化とMDSCの関係を明らかにすることを目的として本研究を実施する.
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Outline of Annual Research Achievements |
近年,広範な免疫抑制能をもつことで知られる骨髄由来免疫抑制細胞 (MDSC) について,これまでよく研究されてきたがん領域だけでなく,肥満や生活習慣病などの多種多様な疾患と密接に関連することが示唆されてきた.特に,老化関連疾患に至る前段階である免疫老化とも関わる可能性が示唆されていることから,老化とMDSCの関連に注目が集まっている.本研究では,老化モデルを用いて,免疫老化・個体老化におけるMDSCの役割を明確にし,MDSCの機能調節という新たな老化予防のコンセプトを提唱することを目的とする. 本年度は,前年度に明らかにした老化モデルであるSOD1欠損マウスにおけるMDSCの動態について更に詳細に検討を進めた.本マウスにおいて,18週齢までは野生型と比較してMDSC数に差異は認められなかったが,20週齢から脾臓におけるMDSC数が増加し,その後も週齢依存的に増加を続けた.一方,野生型については,36週齢までMDSC数は変化しなかった.更に,このMDSC数の増加と一致して,SOD1欠損マウスの骨髄においてMDSCの亜型である単球型MDSCの割合が増加し,老化モデルマウスにおいて,加齢に伴い,MDSCの分化および遊走が変化していることが明らかとなった.また,このMDSC動態の変動のタイミングで老化表現型が出現しているか否かについて,肝臓や脳,肺における遺伝子発現を解析したところ,野生型およびSOD1欠損マウスともに,24週齢での各臓器で著明な病態 (炎症性サイトカインや線維化関連遺伝子の変動) は確認できず,肝臓における脂肪肝等の兆候も認められなかった.従って,本研究で見出したMDSCの増加および分化異常は,老化関連疾患に先行して起きる現象であることが明らかになり,SOD1欠損マウスにおける早期の老化表現型の出現に寄与する可能性が考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画段階では,今年度は老化モデルマウスのMDSC動態に関する検討を中心に実施する予定であったが,これらは概ね達成できたと考えられる.実際に,SOD1欠損マウスで老化関連の表現型が出現するよりも前からMDSCが増加していることから,MDSC動態の変動が全身の免疫抑制状態である免疫老化や加齢性表現型の出現に寄与する可能性が非常に高い.更に,MDSC機能調節薬の候補としている漢方薬の作用 (人参養栄湯や十全大補湯) についても,前年度確立したHL-60細胞からMDSCを分化誘導する培養系を用いて,MDSC分化抑制作用を明らかにしており,次年度以降に老化モデルマウスへ投与する準備が整っている.更に,老化マウスのMDSCをsortingにて採取し,遺伝子発現を調べることで老化時に出現するMDSCの特性解析も進めており,老化とMDSCの関連性を総合的に評価できる段階にまで至っているため,概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,本課題の最終年度となるため,MDSC機能調節が加齢性表現型の出現に直接的に影響するか否かについての答えを得るため,SOD1欠損マウスを加齢性表現型が出現するまで飼育し,前年度同様にMDSC数や分化度の解析を進めるとともに,MDSC分化誘導系から見出されたMDSC分化調節薬を投与し,加齢性表現型の出現に与える作用を詳細に検討していく.
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)