Project/Area Number |
21K07346
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高橋 伸一郎 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (40375069)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 白血病分化誘導療法 / キナーゼ阻害剤 / フコシル化阻害剤 / 糖鎖合成阻害剤 / エピゲノム修飾阻害剤 |
Outline of Research at the Start |
強力な分化誘導効果を持つ薬物を探索し、急性骨髄性白血病に対するより効果的な治療法開発を目指す。具体的には、様々な糖鎖合成阻害剤を始めとして、キナーゼ阻害剤、エピゲノム修飾に関わる阻害剤を、顆粒球系、単球系、赤芽球系など様々な系列の白血病細胞株に添加し、それぞれの系列の分化誘導効果について評価を行う。また、定量PCR、フローサイトメトリー、ニトロブルーテトラゾリウム還元試験など、各種分化評価検査を用いて、それぞれの分化誘導薬の効果を適切に判定できる検査マーカーの確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia: AML)の治療は、大量の抗がん剤を用いた治療が主であるが、副作用など問題も多い。その点、ビタミンAの誘導体である全トランス型レチノイン酸(all trans retinoic acid: ATRA)を用いた急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia: APL)に対する分化誘導療法は、大量抗がん剤と比べマイルドであり治療成績も優れている。しかし、その適応はAPLのみと限られており、より幅広い適応の治療法が待たれている。そこで、APLのみならず、AMLに対するより効果的な分化誘導療法を確立することを目指している。申請者らは、効果の高い分化誘導剤を同定するために、Cayman社のキナーゼ阻害剤スクリーニングライブラリーを用いて、分化誘導効果の高い薬物の同定を試み、Triciribine (TCN) (Akt 阻害剤)が有効であることを見出し、2023年度は国際誌PLOS ONEに投稿し、最近受理された。さらにTCNとp38阻害剤の併用が極めて効果が高い分化誘導療法となることを明らかにし、CD20やglycophorin Aなどの分化マーカーの異所性発現が効果判定に有用であることを示した(佐藤裕李ら、 2023年11月日本臨床検査医学会発表)。またこれまでに、N型糖鎖が急性前骨髄球性白血病の分化において減少すること、フコースが減少することが明らかになっている。そこで、フコシル化の阻害(6-Alkynyl Fucose:6-AF)が分化誘導促進効果を有するのではと考え、ATRAと併用し、APL細胞株(NB4、HL-60細胞)に投与したところ、明らかな分化誘導効果を有することが明らかになった(Suzuki et al., BBRC 2024)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
糖鎖合成阻害剤(Tunicamycin, Castanospermineなど)や、様々なキナーゼ阻害剤、エピゲノム修飾に関わる阻害剤を、できる限り多く網羅的に検討を行い、より効果的な分化誘導薬を見出すことを目指している。令和3-4年度の研究では、キナーゼ阻害剤ライブラリーの70種類以上の化合物を用いて検討したところ、TCNのNB4細胞株における分化誘導活性を見出した。令和5年度には、これら阻害剤を組み合わせて用いることで、より効果の高い分化誘導療法を見いだすことができないか、検討を行った。その結果、TCNとp38阻害剤を併用することで、単剤添加と比較し有意な核/細胞質比の減少が認められ、より分化傾向を示すことを見出した。令和6年度には、TCNが複数の骨髄系細胞で分化誘導活性を有すること、さらに非常に興味深いことに、TCNはATRA抵抗性を解除し、APL以外の様々な骨髄系細胞を分化させることを明らかにした。また、申請者らは糖鎖修飾の変化をもたらすフコシル化の阻害が、ATRAによるAPLとAML細胞分化を促進すること、およびAPLの分化度合いによって糖鎖修飾状況が変化することを見出した(Suzuki et al., BBRC, May 28:710:149541, 2024)。 すなわち、TCNとATRA、およびp38阻害剤等の強力な併用療法を見いだしつつあり、また、糖鎖修飾変化を新たなマーカーとして白血病細胞を分類できる尺度を確立しつつあるため、当初の計画以上に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
6AFがATRAによる分化誘導を促進する効果があることを見出したが、より効果的な薬物という視点では、TCNの方が有用性が高い。少なくともNB4以外の非APL(HL-60、Kasumi-1、K052:いずれもAML M2由来)細胞では、6AF以上にTCNの方が効果が高い。TCNはすでに第1相の臨床治験も行われていることから、臨床応用へも近いところにあると考えられる。そこで、少しでも早く次の段階に進むため、本課題で得られた事実(TCNが多系列のATRA分化誘導を促進すること、糖鎖修飾がAMLのサブタイプ毎に異なること)を元に、TCNとATRA併用分化誘導効果と糖鎖修飾による新たな分化評価の指標の確立を、様々な臨床検体で確認するため、研究計画最終年度前年度応募に挑戦し、実験計画を変更し、さらなる臨床検体の収集と、効果の解析を行う。
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