Project/Area Number |
21K07494
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52030:Psychiatry-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
天野 大樹 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (00591950)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 内側視索前野 / ウイルスベクター / 養育 / 攻撃 / 大脳皮質 / トレーシング / 神経活動 / 神経回路 / 養育行動 / 社会行動 / 逆行性トレーシング |
Outline of Research at the Start |
親または代理親による養育行動は幼若動物の生存率や成長後の不安障害の罹患率に大きく影響するが、養育行動が発現するために必要な神経回路については不明な点が多く残されている。これまでにマウスの仔マウスに対する行動選択に嗅覚情報が多大な影響を及ぼすことが示唆されてきた。しかし、養育行動中枢である内側視索前野との間の神経回路は不明な点が多い。本研究では養育行動に必須の脳領域として知られる内側視索前野中心部へ入力し、かつ嗅覚系感覚情報を処理する神経細胞を逆行性トレーシング手法により標識し、神経活動操作や細胞特性の検討をすることで養育行動を刺激する神経回路メカニズムを調べる。
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Outline of Annual Research Achievements |
内側視索前野は養育行動に重要な脳部位であることが知られるが、シナプス入力元については不明な点が多い。我々は、内側視索前野に投射する入力元の神経細胞のうち、仔マウスに対する行動時に活性化する細胞をCreリコンビナーゼ標識することを目指した。これにより蛍光タンパク質標識やDredds法による細胞機能操作が可能となる。これまでの手法ではタモキシフェンやドキシサイクリン等の投与後に特定行動をさせることで最初期遺伝子下流の遺伝子カセットの転写を開始させていた。我々は細胞標識の時間分解能のさらなる向上を目指し、不安定化されたCreリコンビナーゼ変異体であるDD-Creを用いた。特定行動終了後にトリメトプリム投与することによってDD-Creの分解を防ぎ、リコンビナーゼ機能を維持することが出来る。最初期遺伝子ESAREプロモーター下流にDD-Creの遺伝子カセットを組み込んだ逆行性ウイルスベクターをAi9マウス(Creリコンビナーゼ依存的に赤色蛍光タンパク質を発現させることができる)の内側視索前野に微小注入し、仔マウス暴露を行ったところ、内側前頭葉皮質を含む脳領域において養育行動後に蛍光標識される細胞を見出した。またドキシサイクリン、トリメトプリムをそれぞれ除いた場合の細胞標識率の評価を行い、いずれの薬剤も特異性の高い細胞標識に重要であることを示した。 一方、嗅皮質領域から内側視索前野への経路では直接投射よりも複数領域を経て情報伝達に寄与することが逆行性トレーサーを用いた実験から示唆された。そこで嗅皮質にCreリコンビナーゼを発現するCartpt-Creマウスを用いてDredds法による機能操作を行ったところ、仔マウスに対する攻撃行動が抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経経路・神経活動依存的Creリコンビナーゼ標識法を用いた細胞分類や行動への影響についての実験結果を得ており、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きウイルスベクターを用いた細胞標識により養育行動の脳内メカニズムを調べる。大脳皮質で蛍光標識された養育行動関連細胞のパッチクランプ記録を行い、細胞膜特性や興奮性・抑制性シナプス特性を明らかにする。また養育行動をコードする内側前頭葉皮質細胞がどの上流領域から投射を受けるのかを明らかにするべく、神経活動依存的にCreリコンビナーゼ標識後、改変狂犬病ウイルスを用いた標識を行い解析する。 一方、内側視索前野投射型の大脳皮質細胞をDredds法によって抑制することで養育行動の発現が阻害されることをこれまでに示したが、活性化させた場合に養育行動が促進されるか検証する。
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