Project/Area Number |
21K07528
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52030:Psychiatry-related
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
窪田 美恵 (坂下美恵) 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任准教授 (90344035)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | C1qbp / 気分障害 / ミトコンドリア / ミトコンドリア透過性遷移 / シナプス |
Outline of Research at the Start |
双極性障害における新規治療薬開発は、急務である。これまで我々は、ミトコンドリアからカルシウムを放出する機構である、透過性遷移(mPTP)開口を阻害する化合物、およびその標的分子を探索してきた。最近、遺伝性ミトコンドリア病の原因遺伝子としてC1QBP(Complement C1q Binding Protein)遺伝子が報告され、変異を持つ患者ではうつ病を併発していたことから、C1QBP異常と気分障害の関連性が示唆された。本研究では、C1qbpを標的とする新規気分安定薬開発につなげるため、mPTP開口制御機構を介した細胞内カルシウム動態やシナプス形態におけるC1qbpの生理的役割を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、ノックアウトマウスにおいてもC1qbp抗体シグナルが出てしまい、抗体の妥当性が疑われたため、今年度はマウスC1qbpを抗原とした、ミトコンドリア移行配列のない抗体を用いて検討した。しかし、同様にC1qbpシグナルが検出されてしまい、抗体がワークしていない可能性が考えられた。最新の報告では、C1qbpはミトコンドリア移行配列によりミトコンドリア内へ局在するが、細胞内シグナルによりCaspase 3が活性化すると、一部が切断されて、ミトコンドリアから細胞質や細胞膜、ERなどへ移動することが示された。そのため、全長を認識する抗体では、切除された部分的C1qbpタンパク質を認識してしまうと報告されていた。ノックアウトマウスではExon3にStopコドンが入り、それ以降が合成されないはずであるが、それ以前の配列は合成されている可能性があり、それらを認識していると考えられた。 一方、C1qbpタンパク質はシナプスに多く存在するという報告がされており、ノックアウトマウスでのシナプスミトコンドリアの形態観察の報告例は少ないため、電顕標本を用いて、C1qbpの免疫組織化学染色で多く存在が知られている脳部位(海馬CA2、手綱核、視床下部室傍核など)のミトコンドリア形態を観察した。ノックアウトマウスのシナプス内ミトコンドリア形態は、一部、膜構造が崩れていたり、クリステやシナプスの形状に異常が見られたりした。特に手綱核内に形成されているシナプスにおいてはポストシナプスの肥大化が見られた。ニッスル染色では、光顕レベルでのマクロな脳の形態異常として、白質内空砲を認めた。しかし、極端な細胞脱落は見られず、GFAPでの抗体染色も行ったが、グリア細胞の浸潤なども見られなかった。C1qbpノックアウトにより、シナプス内ミトコンドリア異常、およびシナプス形態の異常が生じたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
C1qbpに対する市販の抗体では、C1qbpノックアウトマウス由来神経細胞でシグナルが見られてしまい、抗体の妥当性に疑義が生じた。昨年度中に前倒しで2年目に予定していた実験を行ったが、3年目以降の課題に着手するのではなく、新しい抗体を検討することにとどまった。未だ良い抗体が見つからないため、方針を変更して、電顕によるシナプスの形態解析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
ターゲット探索については、ノックアウトマウスと野生型マウス由来のライセートを使用し、網羅的なプロテオーム解析を行って、ノックアウトマウスで変化しているタンパク質から、C1qbp結合タンパク質を同定する方法で試みる。シナプスに局在する蛋白質に絞った検索を行い、mPTP構成タンパク質としてすでに報告があるものから優先的に結合の確認を行い、マイクロスケール熱泳動法を用いて、C1qbpとの結合を検証する。 初代培養では、1腹に最低1匹のノックアウトマウスが必要であるが、現状では、その頻度でノックアウトマウスが産出されていない。シナプス形態を観察する方法として、培養細胞を使用する以外に、PFA固定した組織中に色素を取り込ませ、シナプス形態を蛍光観察できる方法が報告されている。そのため、ノックアウトマウスと野生型マウスを灌流固定し、スライスした脳へ蛍光色素を取り込ませ、観察することで、予定通り、シナプスのマクロな形態、形状の違いを観察する。 機能変化に応じたシナプス形態の変化、および細胞内Ca動態については十分な匹数が取れた場合に検討を行う。補填的な実験系として、C1qbpノックアウト血液細胞(HAP-1細胞)を用いて、カルシウム感受性蛍光色素であるFura2-AMとミトコンドリア移行配列を持つmitoGCaMP6により、細胞、およびミトコンドリア内カルシウム動態を観察し、野生型と比べて細胞内カルシウム動態のピークが高いこと、あるいは刺激後にミトコンドリアへ取り込まれるカルシウム量が多いことなどを指標に解析し、細胞、およびミトコンドリア内カルシウム濃度の制御に生理的役割を担っていることを検証する。また、野生型における細胞内カルシウム動態について、C1qbp結合化合物であるCpdKの作用を検討し、その作用機序を確認する。
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