ノンコーディング領域と中間サイズの変異に着目した精神疾患の遺伝要因解明
Project/Area Number |
21K07543
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52030:Psychiatry-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久島 周 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (00732645)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 統合失調症 / 自閉スペクトラム症 / 双極性障害 / ゲノムコピー数バリアント / ノンコーディング領域 / 構造変異 / 精神疾患 |
Outline of Research at the Start |
自閉スペクトラム症、統合失調症、双極性障害の発症には遺伝要因が強く関与するが、発症に強く影響する変異が同定される患者は少数である。その要因には、1)ヒトゲノムの98%を占めるノンコーディング領域の変異の評価が困難であること、2)従来の方法では中間サイズ(1-50 kb)の構造変異の検出が困難であることが挙げられる。本研究では、ゲノム機能情報やロングリード・シーケンサー技術を用いることで、発症リスクと関連するノンコーディング領域や中間サイズの変異を同定する。さらに同定した変異のin silico解析による病態パスウェイの探索や患者の臨床表現型解析を行い、精神疾患の病態解明や診断法の開発に繋げる。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から、神経発達症と関連するゲノムコピー数バリアント(NDD-CNV)が多数報告されている。R4年度は、双極性障害(BD)、統合失調症(SCZ)、自閉スペクトラム症(ASD)の3疾患について、NDD-CNVとの関連性を遺伝統計学的に調べた。まず、既報の知見をもとに神経発達症と関連する307領域(265のリスク遺伝子と42のCNV領域)を選択し、このゲノム領域に存在し、American College of Medical Geneticsの基準でpathogenicあるいはlikely pathogenicと判断されるCNVを抽出して、各疾患との関連性を評価した。本解析で使用したCNVデータは、BD患者1818例、SCZ患者3014例、ASD患者1205例および健常者2671例(CONT)において検出した頻度1%以下の稀なCNVである。解析の結果、NDD-CNVは、BD、SCZ,ASD、CONTにおいて4.6%,6.9%,6.7%,1.8%の頻度で認められ、3疾患のいずれとも有意な関連を示した (BD: オッズ比 = 2.9, SCZ: オッズ比 = 3.7, ASD: オッズ比 = 4.2, P値 < 1 × 10-4)。 個々のNDD-CNVとの関連では、12のCNVが3疾患のいずれかと名目上の関連を示した。具体的には、SCZと関連したCNVあるいは遺伝子は、22q11.2欠失、1q21.1欠失、47,XXX/47,XXY, DLG2,NRXN1, MACROD2であった。一方、ASDと関連したものは、CNTN6、16p11.2重複、22q11.2重複、BDと関連した遺伝子はPCDH15, ASTN2, DLG2であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、BD、SCZ、ASDの3疾患を対象とした国内最大規模のCNVデータを基に、神経発達症と関連するCNV(NDD-CNV)と各精神疾患との関連性を検討し、BD、SCZ,ASDのリスクに有意に関連することを見出した。したがって、3疾患の遺伝学的基盤にNDD-CNVが関与することを示したといえる。以上から、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのCNV研究をさらに発展させるため、ロングリード・シーケンサー技術を用いたゲノム解析を行う。従来の解析法(ショートリード・シーケンサーによる解析やアレイCGH)では、小規模バリアント(一塩基変異やINDEL)と大規模バリアント(50kb以上のCNV)の検出は可能であるが、中間サイズ(1-50 kb)の構造バリアント(挿入、欠失、重複、転座、逆位、縦列反復伸長)の検出は技術的に困難であった。患者とその両親を含むトリオ家系を対象にロングリードシーケンス解析を行い、デノボバリアントに着目して、発症リスクに関わる中間サイズの構造バリアントを同定することを目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)