拡散時間を用いた組織微細構造イメージング:筋萎縮性側索硬化症での検討
Project/Area Number |
21K07629
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52040:Radiological sciences-related
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
神谷 昂平 東邦大学, 医学部, 講師 (30749825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花城 里依 東邦大学, 医学部, 助教(任期) (10866693)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 拡散MRI / 微細構造イメージング / 筋萎縮性側索硬化症 / 拡散時間 / 白質モデル |
Outline of Research at the Start |
拡散MRIは画像自体のボクセルサイズよりも遥かに小さいスケールの生体組織の特徴を反映するため、臨床的に有用なバイオマーカーをもたらすことが期待されている。拡散MRI臨床研究においては、MRI信号のb値依存性を解析するアプローチが長く一般的であった。しかし、近年の研究においては、b値以外の撮像パラメータ(拡散時間 [t]、エコー時間 [TE]、b-tensor、等)をも変化させて撮影し、これらのパラメータへの 依存性を見ることで生体組織の特徴に迫ろうとする報告が増えてきている。本研究では、ALS症例の脳及び脊髄において、拡散時間を用いた組織微細構造イメージングの従来法に対する優位性を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度末までに、頭部MRIについては、筋萎縮性側索硬化症(ALS)31例、健常対照群17例のMRIデータを取得した。これらのデータについて、STEAM法のデータから拡散時間を用いた定量パラメータを算出し、疾患vs健常での群間比較を行った。しかしながら、当初の仮説どおりの結果は得られなかった。すなわち、今回撮影した拡散時間(30msから300ms)のいずれにおいても既報で広く知られているようなALSでの変化は観察されたが、疾患による効果量は拡散時間によらず一定で、拡散時間方向の解析によって新たな知見を見出すことは難しかった。このことからは、ALSによる神経変性の特徴を時間軸の方向で捉えるには、30msよりも短い拡散時間が必要である可能性が示唆される。ただし、直接的に拡散時間を現状よりも短くすることはハードウェアの制限によって難しい。 STEAM法と併用して撮影していたmulti-bのPGSE法のデータの解析も平行して行っており、横断的解析については令和4年度中の論文化を目指して進捗中である。 また、STEAM法で期待した成果が得られなかった場合に検討する手法の一つとしてdouble diffusion encoding(DDE)を挙げており、DDE法のテストスキャンを、同解析で先行している順天堂大学放射線科の協力を得て行った。健常群でのscan-rescan repeatabilityは良好であり、これについてISMRM2022で報告した。 脊髄のMRI撮影プロトコルの策定について、採用予定だった新しい局所励起シーケンス(tilted ZooMit)を導入しテスト撮影を行った。結果、現状では、脊髄においては従来の局所励起(ZooMit)に脂肪抑制や拍動アーチファクトの面で劣る画質となった。脊髄の撮影プロトコルの最適化については令和4年度への持ち越し課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
疾患/健常群ともに、コロナ禍による回避等の理由によって撮影が当初計画よりも遅れている。また、現時点までに集積したデータでpreliminaryな解析を行ったところ、STEAM法に関しては、仮説として期待していたような結果が得にくそうであることが判明した(既報で広く知られているようなALSでの変化は観察されたが、疾患による効果量は拡散時間によらず一定で、拡散時間方向の解析によって新たな知見を見出すことは難しかった)。このため解析計画を微修正し、STEAM法のデータに加えて同時に取得していたPGSE法のデータをより詳細に検討(神経学的臨床スコアおよび進行速度との対比を加える)することとした。PGSE法のデータからの定量値の算出、群間比較は終え、現在は臨床スコアおよび進行速度を加えた統計解析を施行中である。 また、STEAM法で期待した成果が得られなかった場合に検討する手法の一つとしてdouble diffusion encoding(DDE)を挙げており、DDE法のテストスキャンを順天堂大学放射線科の協力を得て行った。ただしDDEに関しては自施設への導入がまだであり、順天堂とはハードウェアも異なるため、疾患群での撮影は直ちには開始できず、装置の更新を待つ必要がある。 脊髄のMRI撮影プロトコルの策定について、採用予定だった新しい局所励起シーケンス(tilted ZooMit)は、従来の局所励起(ZooMit)に脂肪抑制や拍動アーチファクトの面で劣る画質となった。tilted ZooMitを提案した原著論文やMRIベンダーの資料の通りではないが、脊髄の拡散MRIは特にアーチファクトの対処が難しい領域であり、本領域に固有の問題の可能性もある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き疾患群/健常群での臨床データ/MRIデータの集積を進める。特に疾患群の2度目以降のデータ(縦断的解析用)について、コロナ禍や疾患自体の進行によって来院が難しい等の理由によって撮影が遅れる/行えない傾向にあり、縦断的解析については当初見込んだ症例数に到達しない可能性を念頭に進める。 STEAM法は、少なくとも横断的解析においては仮説通りの成果が得られる可能性が低くなっているが、ALSにおいては他に類似の報告がされていない本研究にユニークなデータであり、また例数の増加や縦断的解析によって予想外の成果を得る可能性も残るため、引き続きデータ集積は続ける。 現在解析半ばのPGSE法の横断データについて、令和4年度中に論文投稿を目指す。 脊髄の撮像プロトコルについて、tilted ZooMitの画質は期待通りではなかったが、従来のZooMit法を中心にプロトコルを組み直し、また、ベンダーとも連絡を取ってアーチファクトの低減を模索する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)
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[Presentation] MPPCA denoising before GRAPPA reconstruction improves the precision of microscopic anisotropy in the gray matter2022
Author(s)
Kouhei Kamiya, Issei Fukunaga, Syo Murata, Tomoko Maekawa, Shimpei Kato, Katsutoshi Murata, Thorsten Feiweier, Koji Kamagata, Masaaki Hori, Shigeki Aoki
Organizer
Joint Annual Meeting ISMRM-ESMRMB & ISMRT 31st Annual Meeting 07-12 May 2022 | London, England, UK
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