ダウン症のTAMにおけるGATA1変異タイプと巨核球分化・白血病進展との関連
Project/Area Number |
21K07790
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
照井 君典 弘前大学, 医学研究科, 教授 (00333740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土岐 力 弘前大学, 医学研究科, 講師 (50195731)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | ダウン症候群 / 一過性異常骨髄増殖症 / GATA1 / 血小板 / 巨核球 / 白血病 / 血小板数 / 急性骨髄性白血病 |
Outline of Research at the Start |
ダウン症候群の新生児の約10%は一過性異常骨髄増殖症(TAM)という一過性の白血病を発症し、20~30%の症例は4歳までに真の白血病(AML)に進展する。どのような症例がAMLに進展するかについては十分解明されていない。TAMとAMLのほぼ全例でGATA1遺伝子の変異がみられるが、我々はGATA1変異の特定のタイプを持つ症例で血小板数が多く、AMLへの進展が少ない傾向にあることを見出した。本研究の目的は、患者検体や白血病細胞株を用いた解析を行い、TAMにおいてGATA1変異タイプにより血小板数やAMLへの進展率が異なる仕組みを明らかにし、新しいAMLの予防法・治療法の開発につなげることである。
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Outline of Annual Research Achievements |
ダウン症候群の新生児の約10%は一過性異常骨髄増殖症(TAM)という一過性の白血病を発症する。その多くは3か月以内に自然寛解するが、約20%の症例は肝線維症や呼吸循環不全のため早期に死亡する。TAMのほぼ全例で血球特異的転写因子GATA1の遺伝子変異がみられ、この変異は、完全長のGATA1タンパクが発現せず短縮型のGATA1タンパク(GATA1s)のみが発現するという異常を引き起こす。我々は最近GATA1変異の特定のタイプを持つ症例で有意に血小板数が多く、急性骨髄性白血病への進展が少ない傾向にあることを見出した。これらの変異タイプはGATA1sタンパクの高発現を引き起こすことから、GATA1sタンパクの発現レベルの違いがTAMの臨床像に影響を与えている可能性が考えられる。 GATA1変異タイプによりGATA1sタンパクの発現レベルが異なることを確認するために、ダウン症候群の急性巨核芽球性白血病細胞株であるCMK11-5に、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いて様々なGATA1変異の導入を試みた。その結果、異なるGATA1変異を持つ34種類のクローンが得られ、32種類はスプライシングの異常を引き起こす変異(splicing error, SE)、2種類はフレームシフトと早期終始コドンを引き起こす変異(premature termination codon, PTC)を持つクローンであった。ウエスタンブロッティングを行ったところ、GATA1sタンパクの発現レベルはPTCタイプのクローンよりもSEタイプのクローンで高く、既報と矛盾のない結果であった。今後、これらの細胞株について巨核球系への分化能や細胞増殖能、未分化性などを解析し、両者を比較することにより、GATA1変異タイプが臨床像に影響を与えるメカニズムを明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、GATA1変異タイプによりGATA1sタンパクの発現レベルが異なることを確認するために、ダウン症候群の急性巨核芽球性白血病細胞株であるCMK11-5に、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いて様々なGATA1変異の導入を試みた。CMK11-5はもともとPTCタイプのGATA1変異(c.5_7delinsC, p.Glu2Alafs*37)を持っているため、SEタイプの変異を導入し(もともとの変異のあるエクソン2はスプライスアウトされる)、両者を比較・検討する方針とした。その結果、異なるGATA1変異を持つ34種類のクローンが得られ、32種類はSEタイプ、2種類はPTCタイプ(もともとの変異)を持つクローンであった。ウエスタンブロッティングを行ったところ、GATA1sタンパクの発現レベルはPTCタイプのクローンよりもSEタイプのクローンで高く、既報と矛盾のない結果であった。 当初、患者検体を用いてコロニーアッセイを行い、巨核球系への分化能や細胞増殖能、未分化性などの解析を行う予定であったが、芽球割合や白血球分画などの条件が患者によって大きく異なることから、導入する遺伝子以外の条件を一定に保つことができる細胞株を使った実験を優先して行った。
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Strategy for Future Research Activity |
GATA1変異タイプによりGATA1sタンパクの発現レベルが異なることを確認するために、ダウン症候群の急性巨核芽球性白血病細胞株であるCMK11-5に、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いて様々なGATA1変異の導入を試みた。その結果、異なるGATA1変異を持つ34種類のクローンが得られ、32種類はSEタイプ、2種類はPTCタイプを持つクローンであった。ウエスタンブロッティングを行ったところ、GATA1sタンパクの発現レベルはPTCタイプのクローンよりもSEタイプのクローンで高く、既報と矛盾のない結果であった。今後、これらの細胞株について巨核球系への分化能や細胞増殖能、未分化性などを解析し、両者を比較することにより、GATA1変異タイプが臨床像に影響を与えるメカニズムを明らかにしたい。特に、SEタイプを持つクローンにおいて、巨核球系への分化の促進がみられるかどうかに着目している。予想通りSEタイプのクローンで巨核球系への分化の促進がみられた場合には、巨核球分化に重要な分子や経路の同定を試みる。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Predictive factors for the development of leukemia in patients with transient abnormal myelopoiesis and Down syndrome2021
Author(s)
Yamato G, Deguchi T, Terui K, Toki T, Watanabe T, Imaizumi T, Hama A, Iwamoto S, Hasegawa D, Ueda T, Yokosuka T, Tanaka S, Yanagisawa R, Koh K, Saito AM, Horibe K, Hayashi Y, Adachi S, Mizutani S, Taga T, Ito E, Watanabe K, Muramatsu H.
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Journal Title
Leukemia.
Volume: 35
Issue: 5
Pages: 1480-1484
DOI
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Peer Reviewed
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