Project/Area Number |
21K07974
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
相崎 英樹 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 室長 (00333360)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 新型コロナウイル / doble membrane vesicle / NS5A / サブゲノミックレプリコン / HSD11 / HSD13 / 新型コロナウイルス / プラス鎖RNAウイルス / 複製 / double membrane vesicle |
Outline of Research at the Start |
プラス鎖RNAウイルスはDMVを形成し、その中で複製していることが知られている。本研究の目的は、HCVをモデルとして、DMV形成に関与する宿主因子を見い出し、DMV形成のメカニズムを明らかにすることである。HCVのDMV形成についてはNS5AがDMV形成に必須なことが知られていることから、NS5A膜結合タンパクのHCV複製メカニズムを解明することを目的にしている。本研究はDMVで複製するSARS-CoV-2にも共通な治療の標的となるものと期待できる。閉じた膜系は細胞の生命活動の特徴であり、膜の生物学の研究に新らたな知見を提供できる可能性があり、学術的・実用的両面で価値の高い研究と考えられる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、C型肝炎ウイルス(HCV)をモデルとして、doble membrane vesicles (DMV)形成のメカニズムを明らかにすることである。HCVのDMV形成については、NS5AがDMV形成に必須なことが知られている。そこで、サブゲノミックレプリコンを導入したHuh7細胞を用いて、NS5Aタンパクで免疫沈降反応を行い、プロテオーム解析を行ったところ、NS5A結合タンパクとして11β-Hydroxysteroid dehydrogenase (HSD11)を見出した。さらに、HCVは脂肪滴周辺膜で粒子形成していることが知られているため、脂肪滴周辺膜を粗精製し、比較プロテオーム解析を行ったところ、HSD11を見出した。興味深いことに、HSD11はウイルス粒子産生に関与していることが考えられた。HSD11と近い構造を持ち、機能も類似しているタンパクとしてHSD13が存在する。HSD11および13のHCV生活環、特に複製および粒子形成における役割を解析している。 SARS-CoV-2もHCVと同じRNAウイルスで、細胞内でDMVを形成し、そこで複製をしている。最近、トランスポゾンの逆転写酵素活性により、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)遺伝子の一部が逆転写され、宿主細胞遺伝子に組み込まれる可能性が報告された。本研究ではSARS-CoV-2に感染したVero細胞及び腸管オルガノイドからRNAおよびDNAを抽出し、細胞内におけるSARS-CoV-2の存在様式について解析を目指している。さらに、次世代シークエンサーを用いて遺伝子発現解析を行っている。また、COVID-19罹患後の大腸検体を用いた解析でも、RNAとDNAの両方が増幅されていることが明らかになり、SARS-CoV-2が逆転写される可能性が示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HSD11とHCV粒子形成の関連性を調べるため、HSD11の脂肪滴局在シグナル欠損、酵素活性欠損など14種類の各種deletion mutantプラスミドを作成した。その後、レンチウイルスを用いて、野生型HSD11を含めて、HSD11欠損株に戻した細胞株を作成し、GFPの発現により、レンチウイルスでのHSD11およびそれら変異体の導入を確認し、それぞれの機能がHCVの生活環にどのように関わっているか検討した。オレイン酸、またはHCV感染で脂肪滴合成を亢進させたHuh7細胞にHSD11 siRNA、または脂肪滴局在シグナル欠損HSD11を導入したところ、 細胞内のLDの大きさおよび数が減少した。一方、野生型HSD11を発現させたところ、LDの数、大きさが増加した。さらに、野生型HSD11の発現によりHCV粒子産生の増加がみられたが、脂肪滴局在シグナル欠損HSD11ではHCV粒子産生が減少したことから、HSD11の脂肪滴局在性がHCV粒子産生に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 感染Vero細胞からRNA、DNAを抽出し、SARS-CoV-2の全長を網羅的に増幅させる約100種類のプライマーを用いて増幅し、イルミナシークエンサーでシークエンスを行なった。得られたリードをヒトゲノムにマッピングし、マップされなかったリードをSARS-CoV-2にマッピングするという手法で解析したところ、RNAではほぼゲノム全長にわたって増幅されており、一方でDNAでも増幅箇所があることが明らかになった。COVID-19罹患後の患者の大腸検体を用いて同様の解析を行ったところ、増幅箇所に規則性や共通性はないが、RNA、DNAともにランダムに増幅されていることが示された。これらのことはSARS-CoV-2が逆転写されている可能性を示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
HCV粒子形成におけるHSD11の役割として、酵素としての活性、脂肪滴周辺膜への結合タンパクの輸送作用が想定された。当初、HSD11がウイルス粒子産生に重要な役割を持つことを示したが、HSD11は多くの臓器に広く分布している。一方、HSD11と近い構造を持ち、機能も類似しているHSD13は肝細胞に主に存在しているため、肝臓での病態に関与している可能性が考えられる。実際、HSD13は肝臓の線維化に関与していることが報告されている。そこで、HSD13とHCV粒子形成の関連性についても解析を始めた。HSD13欠損細胞を作成し、そこに酵素活性欠損、脂肪滴局在シグナル欠損等の各種HSD13の欠損体を発現させることにより、それぞれの機能がHCVの生活環、特に粒子形成にどのように関わっているか検討する。 マウスに経鼻的にSARS-CoV-2を肺に接種し、継時的に肺、肝臓、腸管を切除し、感染組織からRNAおよびDNAを抽出し、細胞内におけるSARS-CoV-2の存在様式について、まずqRT-PCRおよびqPCRで同定するとともに、次世代シークエンサーを用いて遺伝子発現解析を行なう。
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