うっ血による肝細胞がんおよび転移性肝がん増殖機構の解明
Project/Area Number |
21K08014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53010:Gastroenterology-related
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大澤 陽介 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (60447787)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | うっ血肝 / 肝血管新生 / スフィンゴシン1リン酸 / 肝線維化 / 肝発がん / 肝細胞がん / 血管新生 / ERK / 腸内細菌 / うっ血性肝障害 / 転移性肝腫瘍 |
Outline of Research at the Start |
今後患者数の増加が見込まれている慢性心不全患者では、がんの有病率が高いことが知られている。心不全により引き起こされる肝臓のうっ血は肝細胞がんの原因となることが、典型的なうっ血肝を呈する病態の観察研究により明らかである。しかし、うっ血肝による肝細胞がん及び転移性肝がんの進展におよぼす影響については研究が進んでいない。そこで、本研究ではマウスモデルおよびFALD (Fontan-associated liver disease)患者の臨床検体を用いてうっ血による肝がんプロモーションの詳細なメカニズムを解明し効果的な治療法の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
先行研究により、うっ血肝では肝がんおよび肝線維化が促進されることを明らかにした。そのメカニズムとして、スフィンゴシン1リン酸によるERKの活性化シグナルが関与していることを明らかにした。マウスの下大静脈を70%結紮 (partial IVC ligation; pIVCL)することにより慢性うっ血肝を発症するマウスでは、術後54週までに肝細胞がんを発症した。このことから、慢性のうっ血には、発癌のイニシエーション効果と腫瘍増殖に関わるプロモーション効果の両者が働くことが示唆される。2021年度に引き続きイニシエーション効果のメカニズム解明のため変異解析を継続して施行したが、ドライバー変異を同定することはできなかった。プロモーション効果にはスフィンゴシン1リン酸が関与するが、pIVCL後の肝臓を経時的にみてみると、肝臓の辺縁部分有意な肝線維化と肝細胞がんの発症を認め、線維化と肝細胞がんの局在は一致した。うっ血肝ではスフィンゴシン1リン酸の増加および血管新生が促進されるが、これらが腫瘍のプロモーション効果だけでなく肝線維化にも関与しているのではないかと考えた。少数例の検討ではC型肝炎による肝線維化では血管新生が同時に促進していることが確認できた。また、四塩化炭素誘導肝線維化モデルでは、血管新生阻害活性をもつソラフェニブの投与により、血管新生の抑制を伴って肝線維化も抑制された。そこで、脂肪肝炎マウスモデルにおいても検討を始めていいるが、少数例の検討では同様の結果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度同様、新型コロナウイルス患者様の治療に対するエフォートを増やしたため、研究のエフォートが減少した。さらに、新型コロナウイルス感染拡大のため、マウス施設の増設がさらに延期になったことも、やや遅れた原因となった。また、2021年度に引き続き、患者様方が受診や入院を抑制されたため、臨床検体が集まりにくい状況であったことも一因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度も細胞単離実験が豊富にできなかった。今後、細胞単離実験を行い、より詳細な解析を施行する。うっ血以外の肝疾患における肝線維化では、類洞内圧が上昇するため、局所的にうっ血肝と同様の刺激が種々の細胞に入るはずである。そこで、うっ血肝以外の肝障害・肝線維化症例およびマウスモデルを用いて、2022年度までにうっ血肝で明らかなにした知見を他の肝疾患で検証する。この目的ため、臨床検体を収集するための倫理申請を行い、当大学の委員会にて承認を得た。2022年度中に解析に耐えうる症例の検体を得ることができた。これらを用いた解析により、うっ血肝で認められる現象が、特異的か一般的か検討でき、一般的である場合には幅広い肝疾患の治療ターゲットの検索が可能と思われる。
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Sphingosine‐1‐phosphate promotes tumor development and liver fibrosis in mouse model of congestive hepatopathy2021
Author(s)
Kawai H, Osawa Y, Matsuda M, Tsunoda T, Yanagida K, Hishikawa D, Okawara M, Sakamoto Y, Shimagaki T, Tsutsui Y, Yoshida Y, Yoshikawa S, Hashi K, Doi H, Mori T, Yamazoe T, Yoshio S, Sugiyama M, Okuzaki D, Komatsu H, Inui A, Tamura-Nakano M, Oyama C, Shindou H, Kusano H, Kage M, Ikegami T, Yanaga K, Kanto T
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Journal Title
Hepatology
Volume: -
Issue: 1
Pages: 112-125
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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