Project/Area Number |
21K08109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
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Research Institution | Saitama Medical University (2023) Kumamoto University (2021-2022) |
Principal Investigator |
松下 健一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10317133)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 循環器 / 心不全 / 肥満 / 左房 / トランスレーショナルリサーチ |
Outline of Research at the Start |
本研究では、詳細な臨床データベースをもとに肥満型心不全の臨床特性を明らかにする。さらに、肥満型心不全の病態を制御しているmicroRNAsを同定し、同標的microRNAあるいは同microRNAの関与する標的シグナルの分子の遺伝子操作を加えた間葉系幹細胞の機能をキメラマウスモデルによって解析し、新規治療標的を同定する。本研究による肥満型心不全の分子機構の解明が新たな治療戦略へとつながることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、肥満型心不全の制御に関して肥満に密接に関連する糖尿病と心不全の代表的な原因の一つである心筋梗塞の関連について解析を施行した。腎障害を合併した急性心筋梗塞は予後が悪いことが知られているが、腎障害を合併した急性心筋梗塞の予後と糖尿病の関係については未解明な点が多いため、連続2988人の腎障害 (推算糸球体濾過量 < 60 mL/min per 1.73 m2) を合併した急性心筋梗塞患者の院内予後における糖尿病の影響を詳細に検討した。臨床像では、若年者 (65歳未満) で肥満の指標である体格指数が有意に高値であった。多変量解析の結果、糖尿病は若年者では独立した院内予後規定因子であるものの、高齢者 (65歳以上) では院内予後規定因子とはならなかった。本研究ではさらに対象患者全体を男性と女性に分け、院内予後における糖尿病の影響の性差についても解析した。臨床像では、男性で肥満の指標である体格指数が有意に高値であった。多変量解析の結果、糖尿病は男性では独立した院内予後規定因子であるものの、女性では院内予後規定因子とはならなかった。本研究の結果は腎障害を合併した急性心筋梗塞において糖尿病が若年者では独立した院内予後規定因子であるものの高齢者では院内予後規定因子とはならず、男性では独立した院内予後規定因子である一方で女性では院内予後規定因子ではないという新たな知見であり、肥満・糖尿病・心筋梗塞・心不全の病態に関する重要な研究成果と考えられ、Hellenic Journal of Cardiology誌に報告した (Matsushita K et al. Hellenic J Cardiol. 2023 Nov 11: S1109-9666(23)00221-X. doi: 10.1016/j.hjc.2023.11.002. Online ahead of print)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肥満と心不全に関連する臨床情報解析から研究を開始し、現在継続中である。肥満型心不全の制御に関して肥満に密接に関連する糖尿病と心不全の代表的な原因の一つである心筋梗塞の関連について詳細に検討した。臨床上ハイリスク群として知られている腎障害を合併した急性心筋梗塞患者について連続2988例を解析した結果、若年者 (65歳未満) で肥満の指標である体格指数、糖尿病合併率、男性の割合、脂質異常症合併率、喫煙率、緊急冠動脈造影検査の施行率等が有意に高く、高齢者 (65歳以上) で高血圧症合併率等が有意に高いという結果であった。高齢者の方が若年者よりも院内死亡率が高い傾向であったが統計学的に有意なレベルには達しなかった。多変量解析の結果、糖尿病は若年者では独立した院内予後規定因子であるものの、高齢者では院内予後規定因子とはならなかった。さらに、男女別の比較では男性で肥満の指標である体格指数、喫煙率、緊急冠動脈造影検査の施行率等が有意に高く、女性で年齢、高血圧症合併率等が有意に高いという結果であった。院内死亡率は女性の方が男性よりも有意に高かった。多変量解析の結果、糖尿病は男性では独立した院内予後規定因子であるものの、女性では院内予後規定因子とはならなかった。本研究の結果は腎障害を合併した急性心筋梗塞において糖尿病が若年者では独立した院内予後規定因子であるものの高齢者では院内予後規定因子とはならず、男性では独立した院内予後規定因子である一方で女性では院内予後規定因子ではないという新たな知見であり、肥満・糖尿病・心筋梗塞・心不全の病態に関する重要な研究成果と考えられ、Hellenic Journal of Cardiology誌に報告した。今後も肥満と心不全の関連に対する解析を継続予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床情報解析をさらに発展させる。研究計画に掲げていたとおり、最新の知見に基づいて検討項目を細かく変更していきながら研究を施行する。心不全を左室収縮能保持性心不全 (Heart Failure with preserved Ejection Fraction: HFpEF)と左室収縮能の低下した心不全 (Heart Failure with reduced Ejection Fraction: HFrEF)に分け、それぞれの臨床像と肥満の関連について研究を進め、肥満型HFpEFと肥満型HFrEFの臨床特性を明らかにする。また、肥満に密接に関連する糖尿病と心不全の関係についても解析を施行する。心不全治療薬については、新規治療薬を含めて入院前の服薬状況から入院中の治療薬、退院時の投薬内容まで詳細に解析する。退院日以降は、心不全による再入院の有無、心不全死の有無、非心臓死の有無を含めた経過・予後の解析も施行する。 さらに、肥満型心不全の分子機構の解明につながる分子生物学的研究へと発展させる。肥満型心不全の病態を制御している可能性のある標的シグナル・分子の探索へと研究を発展させ、新規治療標的についても検討する。 未だ不明な点が多く複雑な病態である肥満型心不全の機序・修飾因子を解明し、新たな治療戦略へとつながる成果を得ることを目的として、これらの研究を継続する予定である。
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