長鎖非コードRNAによるmiRNA制御を介した放射線誘発線維症の解明と臨床的応用
Project/Area Number |
21K08206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53030:Respiratory medicine-related
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Research Institution | Junshin Gakuen University (2022) Oita University (2021) |
Principal Investigator |
矢野 博之 純真学園大学, 放射線技術科学科, 講師 (50448552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 秀克 大分大学, 医学部, 客員研究員 (00222430)
松尾 哲孝 大分大学, 医学部, 准教授 (10284788)
樋田 真理子 大分大学, 医学部, 客員研究員 (10737224)
濱中 良志 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (60274750)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 放射線誘発線維症 / miRNA / 長鎖非コードRNA / コラーゲン / 細胞外マトリクス |
Outline of Research at the Start |
放射線は医学的に広く実用化されているが、副作用として生じる放射線誘発線維症(RIF)が懸念される。RIFは、TGF-β等様々なサイトカイン、そして複数の細胞間シグナル伝達が協調的に作用し、細胞外マトリックスが過剰に蓄積されることが原因と考えられている。現在、TGF-βを標的とした抗線維化薬が利用されているが、副作用の発生が懸念される。従って、RIFの治療には、TGF-β自体を治療標的とすることは困難であり、転写後の遺伝子発現調節を標的とした新たな治療薬の開発が期待される。本研究では、転写後の遺伝子発現調節に関与する非コードRNAに着目し、RIF治療への非コードRNAの臨床的応用を目指すことを研究目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
肺線維症は、肺の間質が硬質化することにより呼吸機能が低下する進行性の疾患である。放射線治療において高線量および複数回の放射線曝露の結果、副作用として放射線によって誘導される線維化(RIF)の発生が懸念されている。RIF発生メカニズムについて、主要な結合組織構成因子であるコラーゲンが重要な役割を担うと考えられている。我々はこれまでに、サイトカインTGF-βの異常な活性化によりコラーゲンの発現が促進されること、そして、コラーゲン産生を促進する結合組織成長因子(CTGF)がRIFプロセスに関与することを報告した。さらに、非コードRNA(ncRNA)であるmicroRNA(miRNA)が転写後のコラーゲン発現を調節し、線維化を抑制的に作用することを明らかにした。そこで本研究では、競合的にmiRNAの機能を阻害する長鎖非コードRNA(lncRNA)に着目し、RIFプロセスに関連して転写後のコラーゲン発現調節におけるlncRNAの作用機序を明らかにすることを研究目的とする。前年度、マウス肺線維芽細胞を用いたlncRNAアレイ解析により放射線により発現が変動するlncRNAを網羅的に調べた。本年度は、コラーゲンの発現を調整するとの報告があり、lncRNAアレイの結果で放射線により発現低下したH19の機能的役割について調べた。まず、1) H19の阻害実験を行った結果、H19が放射線によるコラーゲンの発現増加を調節することが分かった。さらに、2) H19の競合的内因性RNA(ceRNA)について調べた結果、in silico解析によりmiR-196の関与が予想された。次年度以降については、ルシフェラーゼアッセイ等により、RIFプロセスにおけるH19とmiR-196間の相互作用について調べる予定でいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1) lncRNA-H19によるコラーゲンの発現調整に関与する細胞内シグナル伝達経路について H19の阻害実験の結果、H19が放射線によるコラーゲンの発現増加を調節することが分かった。この調節に関して更なる知見を得るために、TGF-βシグナル伝達の主要な転写因子であるSmad2/3に対するH19の影響について検討しているが、現在のところH19とSmad2/3の関与について明らかにできていない。今後は、Smad2/3に加えてMAPKやp38シグナル伝達等TGF-βシグナル伝達とのクロストークが報告されている他のシグナル伝達経路へのH19の影響について調べる予定である。 2) RIFプロセスにおけるmiR-196によるコラーゲンの発現制御について lncRNA-H19のceRNAと考えられるmiR-196についても、放射線によるコラーゲンの発現増加に与える影響について調べることを検討している。早急にmiR-196に関するルシフェラーゼコンストラクトの作製等を行い、放射線によるコラーゲンの発現増加におけるmiR-196の作用機序を明らかにすることを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
lncRNA-H19について、放射線によるコラーゲンの発現増加に与える影響についてさらに調べるために、CRISPRシステムを用いてstableなlncRNA-H19のノックダウン細胞株の樹立を目指す。lncRNA-H19ノックダウン細胞株の樹立が完成したら、コラーゲンやCTGF等の遺伝子発現レベル及びタンパク産生レベルを調べて、lncRNA-H19がRIFプロセスにおける線維化形成にどのように影響を与えるか評価する。 同時にlncRNA-H19のceRNAと予測されるmiR-196についても、CRISPRシステムによるstableなノックダウン細胞株の樹立を目指し、RIFプロセスにおけるlncRNA-H19とmiR-196の相互作用について調べる。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)