悪性黒色腫の腫瘍特異的疲弊T細胞に発現する新規接着因子の機能解析と臨床応用
Project/Area Number |
21K08314
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
盛永 敬郎 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ 細胞治療開発研究部, 研究員 (30757000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪爪 隆史 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (80334853)
冨樫 庸介 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ 細胞治療開発研究部, 客員研究員 (80758326)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 免疫チェックポイント / 細胞接着 / 免疫疲弊 / 抗腫瘍活性 |
Outline of Research at the Start |
がん免疫療法において、腫瘍に反応する受容体を発現するT細胞を活性化することが重要です。申請者らは、腫瘍浸潤T細胞に発現し、T細胞を不活性化する可能性のある分子を一細胞シークエンス法等を用いて同定しました。本研究では、このような分子が、どのような刺激でT細胞に発現し、どのようにT細胞を抑制するのか、どうすればT細胞の抑制を解除できるのかを、in vitro モデルやマウスを用いた実験で明らかにしていきます。
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Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害薬(ICB)は、PD-1など免疫チェックポイント分子によって免疫応答が不活性化(疲弊)している腫瘍特異的T細胞を再活性化して、治療効果を発揮する。ICBは悪性黒色腫への効果が証明されているが、まったく無効な症例もあり、ICBで活性化できないT細胞の分子機構解明は急務である。我々は以前に、悪性黒色腫患者検体の腫瘍浸潤T細胞のシングルセルシークエンス(scRNA-seq)から、腫瘍特異的T細胞に既知の免疫チェックポイント分子以上に高発現する分子として、複数の接着因子を見いだしており、本研究は①これら接着因子の腫瘍特異的T細胞における発現機序を解明し、②抗腫瘍免疫応答における機能と結合リガンドを明らかにし、③臨床検体を用いて既存のICB治療効果も含め臨床病理学的に検討することで、接着因子を標的とした新規ICB治療法開発を目指すものである。 2022年度は①の分子機構について、T細胞に対するシグナルの入力刺激を明らかにし、刺激の強度や持続時間についても検証した。また②については、当該分子の過剰発現が免疫応答に影響する際のカウンターパートを特定し、物理的相互作用や細胞内局在を検証したほか、in vitro 及び in vivo 実験により、機能発現に至る分子機構を示唆するデータを得た。③についても臨床検体を集めて解析した。これらの実験については、既に国際誌に論文投稿し、一部データを追加しながら再提出に向けて準備している。 このほかに、がん細胞自体の進化が免疫療法に影響しうるといった研究成果の論文を発表しており、目標としている新規ICB治療法開発の基礎的な知見を積み重ねている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当該研究の基礎実験のうち、標的分子が免疫応答に影響することに関する①分子機構の解明と、②ノックアウトマウスにおける解析を重点的に進めた。①で昨年度まで標的分子のカウンターパート候補として想定していた分子については、その後の解析で物理的相互作用が想定よりも弱く、主要な候補分子から外すことになった。一方で、標的分子の発現により強力に影響を受ける分子を偶然ではあったが見いだすことができ、分子間相互作用、細胞内局在等の解析から、この分子が主要なカウンターパートであることが明らかとなった。②については、標的分子ノックアウトマウスにより腫瘍免疫に影響が現れることを示したほか、フローサイトメーターによる解析により、①で予測した分子機構が in vivo においても再現されることが確認された。 以上の経過から、本年度の研究計画については、一部で昨年度までの見込みが外れたものの、それを上回る成果を得られたことから、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画全般について概ね順調に進捗しており、次年度は国際誌等で研究成果を発表予定である。さらには本研究の最終目標である新規ICB治療法開発へ向けて標的の絞り込みを目指していく。 昨年度の研究により標的分子が免疫応答に影響する機能の発現に必要なドメインについては絞り込んでおり、当該ドメインの3次元的な表面電荷から、機能に関わるアミノ酸残基を予測し、実際にこれらの変異体によりその効果を検証していく。また、標的分子のカウンターパートについても相互作用に必要なドメインを探索していく。両分子の相互作用を阻害することにより免疫応答に対して影響が見られるのか否かを検証していく。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)