Project/Area Number |
21K08328
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
佐野 栄紀 高知大学, 医学部, 特任教授 (80273621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 喜美子 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (20403892)
山本 真有子 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (20423478)
佐野 ほづみ 高知大学, 医学部附属病院, 医員 (70899319)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 乾癬 / メラノサイト / 角化細胞 / 白斑 / 表皮メラノサイト |
Outline of Research at the Start |
慢性の炎症性角化症である乾癬においては脱色素斑やときには白斑を合併することが知られている。乾癬の治療に応じて脱色素斑は軽減することが多いが、その後白斑として残存することもある。しかし、この病的メカニズムの詳細は現在まで明らかにされていない。 本研究においては、乾癬に特徴的な過増殖、分化の異常といった表皮角化細胞によって、メラノサイト(MC)の異常が誘導されるとの作業仮説のもとに、病理組織、電顕所見、in vitro 細胞混合培養系そしてマウスモデルを用いた解析によって、角化細胞-MC間の相互作用を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
表皮メラノサイト(MC)1個あたり、周囲表皮基底層の表皮細胞(KC)36個に対してメラニン顆粒を供給している。紫外線刺激によりMCより産生亢進したメラニン顆粒はKCの細胞核上のapical sideに蓄積することにより(melanin cap)紫外線によるDNA損傷を防ぎ、genotoxicityを減じることに役立っている。慢性の炎症性角化症である乾癬の治癒部位に色素斑を生じることをよく経験するが、脱色素斑を呈する症例もあり、乾癬患者の13.7%に色素斑、10%に脱色素斑が出現すると報告されている。また、0.5-3.6%の乾癬患者の治癒部に白斑が出現する。しかし、この病的メカニズムの詳細は明らかになっていない。ターンオーバーが亢進し、過増殖が特徴的な乾癬のKC間に存在するメラノサイトの機能が保全されているのか、あるいはKCへのメラニンの移送がどのように影響を受けるかは、明らかではない。本研究では、乾癬病態において、MC異常が誘導されるといった作業仮説のもとに、病理組織、電顕所見、マウスモデルを用いた解析によって、メラノサイトの機能が維持されているのか、また、表皮細胞へのメラニン移送がどのように影響されているのかを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)乾癬病変部のメラニン含有細胞は、無疹部と比較し、著明に低下していた(フォンタナマッソン染色)。2)乾癬病変部の基底細胞内のメラノソームの数は減少していたが、無疹部では、基底細胞内に多くのメラノソームが観察された(電顕)。3) 乾癬病変部のMCの数は、無疹部と比較して、約1.6倍に増加していた(メランA染色)。4) 乾癬病変部のMCは、周囲のKCと接着しておらず、浮遊した、floating formを呈している細胞が多く観察された(電顕)。5)無疹部と乾癬病変部では、MC内のステージⅡ、Ⅲのメラノソーム数は有意差を認めなかったが、乾癬病変部のMC内のステージⅣのメラノソームは減少していた(電顕)。6)乾癬病変部のMCの多くは、未熟なMCに陽性になるHMB45が陽性であった(メランA、HMB45共染色)。7)K5.Stat3Cマウス(乾癬モデルマウス)とK14.SCFマウス(ヒト型表皮MC発現モデルマウス)を交配したK5.Stat3C; K14.SCFマウスに自然発症した乾癬様病変では、無疹部と比較して、フォンタナマッソン染色でメラニン量の低下を認め、ヒトの乾癬病変の所見を再現した。以上の結果より、乾癬病変部のKCはメラニン含有量が少なく、低色素化状態であることが明らかになった。乾癬病変部のMCは、floating しており、KCとの接着低下により、KCから増殖因子を受け取れない可能性、メラニンをtransferできない可能性が考えられる。また、MC内にメラノソームの発達障害があることが観察できたため、メラニンをKCにtransferできない可能性もある。
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Strategy for Future Research Activity |
2021, 2022年度の実験結果をもとに論文投稿準備を進める。さらに以下について検討し、論文データに加える。1)乾癬のMC, KCのautophagyの検討(LC3の免疫染色):活性化した乾癬KC内でのメラノソーム低下がautophagyに関与したものかどうかを検討する。2)色素産生低下 酵素発現(tyrosinase 免疫染色)、酵素活性(DOPA反応):乾癬KCのメラノソーム低下が、酵素低下に関与した者であるかどうかを検討する。3)K5.Stat3C; K14.SCFマウスに自然発症した乾癬様病変におけるメラノサイトの数、形態を観察(メランA染色、電顕):ヒトの乾癬病変での所見の再現性がとれるか否か。4)K5.Stat3C; K14.SCFマウスの乾癬様病変とK5.Stat3Cマウスの乾癬病変発症の比較(病理、乾癬関連遺伝子発現など):表皮にMCが存在すると乾癬がよりできやすいかどうか。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)