ケロイド発症における間葉系幹細胞の役割の解明と新規治療法開発
Project/Area Number |
21K08357
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
長谷川 敏男 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (20317019)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 脂肪組織由来幹細胞 / ケロイド / 線維芽細胞 / TGF-β / 線維化 / 間葉系幹細胞 / 筋線維芽細胞 |
Outline of Research at the Start |
皮膚の創傷において、真皮の線維芽細胞が筋線維芽細胞となってコラーゲンなど細胞外基質を産生し、周囲の組織を収縮させることで治癒を促進する。真皮や皮下脂肪織に存在する間葉系幹細胞も筋線維芽細胞となって創傷治癒に寄与するだけでなく、炎症の抑制、時には線維芽細胞から筋線維芽細胞への転換の抑制などの役割を果たしている。 線維化とは主に筋線維芽細胞による過剰な細胞外基質の産生の結果、組織が硬化して機能不全を生じた状態である。間葉系幹細胞は様々な機序で創傷治癒や線維化を制御しており、皮膚線維化疾患であるケロイドの発症に間葉系幹細胞が果たす役割を解明し、間葉系幹細胞の皮膚線維化疾患治療への応用可能性を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ケロイドは、主に筋線維芽細胞によってコラーゲンを中心とした細胞外基質が過剰に産生されて組織に沈着した結果、皮膚の硬化や醜状変形、掻痒や疼痛、拘縮による機能障害を生じる線維化疾患である。transforming growth factor-β1(TGF-β1)は細胞外基質の産生と線維化を促進するサイトカインであり、創傷治癒やケロイドの発生に深く関与している。一方、皮下脂肪織内に存在する間葉系幹細胞である脂肪組織由来幹細胞は、筋線維芽細胞となって創傷治癒に寄与するだけでなく、免疫調整作用を有し、様々な機序で創傷治癒や線維化を制御している。 脂肪組織由来幹細胞がケロイドの発症に関与しているかどうかを検討するにあたって、脂肪組織由来幹細胞がケロイド由来線維芽細胞の線維化細胞を拮抗するかどうかを調査した。方法は、TGF-β1で刺激したケロイド線維芽細胞を脂肪組織由来幹細胞と共培養した後に蛍光免疫染色、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応、ウェスタンブロット法によりsmooth muscle protein 22-α、I型コラーゲン、TGF-β1、matrix metallopeptidase 2、SMAD2、SMAD3、platelet-derived growth factor receptor α、TGF-β receptor type-1の発現を検討し、ケロイド線維芽細胞を包埋培養したコラーゲンゲル収縮試験も実施した。その結果、ケロイド線維芽細胞はこれらの全てを発現しており、TGF-β1はこれらの発現を促進したが、脂肪組織由来幹細胞との共培養の結果、これらの発現は抑制された。また、TGF-β1はケロイド由来線維芽細胞を包埋培養したコラーゲンゲルの収縮を促進したが、脂肪組織由来幹細胞との共培養によってそれらは抑制された。 以上の結果より、脂肪組織由来幹細胞はケロイド由来線維芽細胞の線維芽細胞の線維化反応を拮抗することが示された。脂肪組織由来幹細胞がケロイドの発生を抑制している可能性、ケロイド好発部位に脂肪組織由来幹細胞が少ない可能性も考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂肪組織由来幹細胞がケロイド発症に関与しているかどうかを検討するにあたって、まず脂肪組織由来幹細胞がケロイド由来線維芽細胞の線維化反応を拮抗するかどうかを調査した。その結果、脂肪組織由来幹細胞はケロイド由来線維芽細胞の線維化反応を拮抗することが示された。このことから、真皮に隣接する皮下脂肪織内に存在する間葉系幹細胞が恒常的にケロイド発生を抑制しており、間葉系幹細胞の不足や機能不全によってケロイドが発生している可能性が示唆されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果より、脂肪組織由来幹細胞はケロイド由来線維芽細胞のTGF-β receptor type-1の発現を低下させ、TGF-β-SMADシグナル伝達経路を阻害することによってケロイド由来線維芽細胞の線維化反応を拮抗している可能性が示された。今後は細胞内シグナル伝達に着目した解析、細胞ではなくケロイド患者由来の組織レベルでの検討、脂肪組織由来幹細胞によるケロイド治療の可能性を探る等の方向性が考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)