ゲノム異常とエピゲノム異常によるATLの協奏的クローン進化メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K08386
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54010:Hematology and medical oncology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岸 誠 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任准教授 (90625261)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ゲノム / エピゲノム / HTLV-1 / ATL / クローン進化 / 遺伝子異常 / EZH2 / ゲノム異常 |
Outline of Research at the Start |
成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)は、早期エピゲノム異常と複雑なゲノム異常の蓄積によるクローン進化を経て発症する。しかし個々の遺伝子変異の機能的意義は不明であるため、複雑なゲノム異常から機能的なドライバー変異の同定が困難であり、新たな治療法やバイオマーカーの開発に結びついていない。本研究では、臨床データベースと遺伝子変異モデルを用いた統合解析により、病型進展や再発難治等の臨床的意義を有する遺伝子異常の機能的意義の検討を行う。エピゲノム異常との相互関係を検討することで、高悪性度の腫瘍細胞が辿ってきた協奏的クローン進化メカニズムを検討し、ATL発症メカニズムの解明と新規治療法の開発につなげる。
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Outline of Annual Research Achievements |
HTLV-1キャリア、HAM、ATL、累計150症例を対象にRNA-seqを用いて全遺伝子発現解析を実施し、ATL細胞の基盤となる基本的性質がキャリア体内ですでに形成されていることを証明した。またHTLV-1 Tax及び宿主転写因子群のChIP-seq解析を実施し、Taxが宿主細胞のクロマチンに結合し、エピジェネティックな性質をゲノムワイドに変化させることで、慢性的な遺伝子発現変化を引き起こすことを明らかにした。以上の結果から、腫瘍化に重要なエピゲノム特性が、腫瘍ウイルスの感染によって初期形成されていることを明らかにした。 さらに、感染者から継時的に採取したPBMCを対象に、シングルセルRNA-seq/ATAC-seqを実施した。遺伝子変異、ウイルス遺伝子発現、プロウイルスを検出することで、感染細胞や悪性細胞を高精度に解析できる新たな解析プラットフォームの確立に成功した。感染細胞は長期潜伏期に多段階で遺伝子変異を獲得することで徐々に変化し、腫瘍細胞へと進化することを見出した。特に、腫瘍細胞特異的なエピゲノム異常の初期形成や、遺伝子変異によるTCR経路、NOTCH1経路などの複数のシグナル伝達経路の異常な活性化が重要性であることを明らかにした (Nat. Commun., 2021)。一方、未発症の感染者体内には、エピゲノム特性の異なる感染細胞の多様性が見られ、そのうちの一部は高悪性度細胞の特性を保持していた。また多様なエピゲノムパターンの中から、細胞増殖に関わる遺伝子などの発現を助長する特徴的な共通エピゲノム特性を見出すことにも成功した。さらに、感染細胞で形成されるEZH1/2に依存したH3K27me3の異常パターンが腫瘍化において重要であることを明らかにし、このエピゲノム異常に対するvalemetostatの有効性と作用機序を示した。Valemetostatは再発難治ATLに対する新たな治療法として承認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
臨床検体及び感染モデルを対象に複数の網羅的解析技術を駆使してデータを取得し、これらの多層データを統合することにより、世界で初めてHTLV-1感染細胞の生物学的特徴を明らかにすることに成功した。さらにATAC-seqとChIP-seqを組み合わせて用いることで、これまで困難であった微小検体からゲノム異常、エピゲノム異常の実態を明らかにし、さらに分子標的としてのEZH1/2の重要性も示した。ATLにおけるEZH1/2に依存したH3K27me3の異常な蓄積に対してvalemetostatが有効であることを示し、再発難治ATLに対する新たな治療法として承認された。感染者に共通するエピゲノム異常を標的とした治療法を新たに確立し、さらに作用機序を明らかにしたことは、ゲノム異常とエピゲノム異常によるATLの協奏的クローン進化メカニズムに対する革新的な研究成果である。さらに、シングルセル解析を駆使することで、HTLV-1感染細胞から高悪性度のATL細胞へ進化する多段階発がん過程を解析することに成功し、共通するエピゲノム異常の重要性と遺伝子異常によるクローン進化メカニズムを明らかにした。本成果はNature communicationsに掲載され、当初の計画を大幅に超えて進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究成果により、多段階発がん過程において、ゲノム異常とエピゲノム異常が協調してクローン進化するメカニズムが明らかになった。確立したシングルセル解析技術と解析パイプラインは、感染細胞を高感度に解析する上で非常に有用であったため、次年度以降も引き続き活用する。当初の研究目標であったゲノム異常とエピゲノム異常による協奏的なクローン進化メカニズムの実態について、想定以上の成果が得られたので、今後はこのメカニズムをさらに詳細に解析することで新たな分子標的を同定することを目指す。またHTLV-1感染モデルの樹立とシングルセルデータの取得に成功したので、HTLV-1感染によるゲノム、エピゲノム変化の全体像を掴み、臨床検体データベースと統合することで、早期エピゲノム異常の重要性と分子標的として妥当性をさらに検証する。さらに、H3K27me3を標的とした新たなエピゲノム治療の有効性と作用機序をさらに検討し、ATLと類似したメカニズムを持つ他の悪性腫瘍や感染症に対する有効性などをさらに検討していく。
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Report
(2 results)
Research Products
(33 results)
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[Journal Article] Long-term safety and efficacy of mogamulizumab (anti-CCR4) for treating virus-associated myelopathy2023
Author(s)
Sato T, Yamauchi J, Yagishita N, Araya N, Takao N, Ohta Y, Inoue E, Takahashi M, Yamagishi M, Suzuki Y, Uchimaru K, Matsumoto N, Hasegawa Y, Yamano Y.
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Journal Title
Brain
Volume: in press
Issue: 8
Pages: 3181-3191
DOI
Related Report
Peer Reviewed
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[Journal Article] KRAS mutation in intrahepatic cholangiocarcinoma: linkage with metastasis-free survival and reduced E-cadherin expression.2022
Author(s)
Tanaka M, Kunita A, Yamagishi M, Ishikawa S, Katoh H, Yamamoto H, Abe J, Arita J, Hasegawa K, Shibata T, and Ushiku T.
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Journal Title
Liver Int.
Volume: 42
Issue: 10
Pages: 2329-2340
DOI
Related Report
Peer Reviewed
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[Journal Article] RAISING is a high-performance method for identifying random transgene integration sites.2022
Author(s)
Wada Y, Sato T, Hasegawa H, Matsudaira T, Nao N, Coler-Reilly ALG, Tasaka T, Yamauchi S, Okagawa T, Momose H, Tanio M, Kuramitsu M, Sasaki D, Matsumoto N, Yagishita N, Yamauchi J, Araya N, et al.
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Journal Title
Commun Biol
Volume: 5(1)
Issue: 1
Pages: 535-535
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Chronological genome and single-cell transcriptome integration characterizes the evolutionary process of adult T cell leukemia-lymphoma.2021
Author(s)
Yamagishi M, Kubokawa M, Kuze Y, Suzuki A, Yokomizo A, Kobayashi S, Nakashima M, Makiyama J, Iwanaga M, Fukuda T, Watanabe T, Suzuki Y, Uchimaru K
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Journal Title
Nat Commun.
Volume: 12(1)
Issue: 1
Pages: 4821-4821
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Durable Clinical Impacts and Mechanisms of Action and Resistance in EZH1/2-Targeting Epigenetic Therapy2022
Author(s)
Yamagishi M, Kuze Y, Nakashima M, Kobayashi S, Morishima S, Kawamata T, Makiyama J, Abe K, Imamura K, Watanabe E, Tsuchiya K, Yasumatsu I, Takayama G, Ito K, Nannya Y, Tojo A, Watanabe T, Tsutsumi S, Suzuki Y, Uchimaru K.
Organizer
64th ASH Annual Meeting and Exposition
Related Report
Int'l Joint Research
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[Presentation] Highly sensitive detection method reveals significant anti-tumor activity of valemetostat in patients with relapsed/refractory Adult T cell leukemia.2022
Author(s)
Gensuke Takayama, Yoshiyuki Hizukuri, Tomoyuki Fujioka, Kazuyuki Hashimoto, Kazumi Ito, Shinji Tsutsumi, Hironori Yamada, Makoto Yamagishi, Makoto Nakashima, Yutaka Suzuki, Yasuhito Nannya, Kaoru Uchimaru.
Organizer
64th ASH Annual Meeting and Exposition
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