非定型3q26転座型骨髄性腫瘍のEVI1エピジェネティック制御機構解明と治療応用
Project/Area Number |
21K08414
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54010:Hematology and medical oncology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蝶名林 和久 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (00646010)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 非定型3q26転座型骨髄性腫瘍 / EVI1活性化 / 転写制御領域 / 疾患特異的iPS細胞 / BET阻害剤 / スーパーエンハンサー |
Outline of Research at the Start |
骨髄異形成症候群(MDS)などの骨髄性腫瘍では高頻度にEVI1 (Ectopic viral integration site 1) 遺伝子が高発現し、発症、進展及び治療抵抗性に寄与している。EVI1高発現の機序としてはEVI1遺伝子の再構成による場合が多いが、腫瘍化との関連が未知のものが数多く存在する。本研究は、十分量の患者検体を得ることが困難なことが多い非定型EVI1遺伝子再構成を持つMDS症例から、リプログラミング技術を用いて疾患特異的iPS細胞を樹立することで、詳細なゲノム・エピゲノム解析及び機能解析を行いEVI1活性化の機構を解明し、EVI1発現を抑制するような新規治療法を開発することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画に沿って、令和4年度に下記の進捗があった。 1)次世代シークエンサーを用いた非定型EVI1遺伝子再構成MDS症例のゲノム解析:MDS-iPS細胞が樹立できた非定型EVI1転座陽性MDS症例の骨髄検体のターゲットシークエンスの再解析を行い、PTPN11、ETNK1、EZH2などMDSで高頻度に認められる変異を同定した。 2)MDS-iPS細胞を用いた病態再現:1)のMDS患者末梢血保存サンプルから正常T細胞由来iPS(T-iPS)細胞の樹立にも成功した。MDS-iPS、正常T-iPS細胞株を胚様体形成法を用いて造血誘導し、造血前駆細胞(CD34+)、成熟骨髄球系(CD14+)、赤血球系(CD235a+)の割合を検討したところ、正常T-iPS細胞株と比較してMDS-iPS細胞株において有意にCD34陽性率の上昇、CD14及びCD235a陽性率の低下を認め、元の症例で認めた血液成熟障害を反映していると考えられた。また造血前駆細胞分画でソートして、GMCSF、G-CSF、IL3、IL-6、SCF、EPO 存在下でコロニーアッセイを行ったところ、MDS-iPSではコロニー形成能が著明に障害されていたが、正常T-iPS細胞株では異常は認めなかった。 3)MDS-iPS細胞の網羅的エンハンサー解析:令和3年度に引き続き、MDS-iPS細胞株及び再分化させた造血前駆細胞のゲノムDNAを材料に、H3K27acのChIP-seqにより網羅的な転写調節領域の解析を行い、造血前駆細胞特異的に活性化しているプロモーター、エンハンサーを同定した。 4)スーパーエンハンサーを標的としたEVI1発現抑制:MDS-iPS細胞を用いて、3)で同定された転写制御領域を標的としてBET阻害剤JQ1によるEVI1発現抑制効果を確認し、Annexin Vアッセイで用量依存性のアポトーシス誘導効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、1)次世代シークエンサーを用いた非定型EVI1遺伝子再構成MDS症例のゲノム解析、2)MDS-iPS細胞を用いた病態再現、3)MDS-iPS細胞の網羅的エンハンサー解析、4)スーパーエンハンサーを標的としたEVI1発現抑制を計画していた。 1)、3)に関しては、上記のように、当初検討していた実験計画に関しておおむね順調に進展していると考えている。 2)に関しては、in vitroでの病態再現はおおむね順調に進展している。免疫不全マウスへのMDS-iPS由来造血前駆細胞の移植を行ったが生着が得られず、今の所MDSモデルマウスの作製はできていない。
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Strategy for Future Research Activity |
上記2)、3)の課題を引き続いて行う。
4)MDS-iPS細胞の網羅的エンハンサー解析:BET阻害剤投与下でMDS-iPS細胞由来造血前駆細胞のH3K27ac ChIP-seqを行い、3)で同定したEVI1異常活性化に寄与している可能性が高いプロモーター、エンハンサーなどの転写制御領域の活性の抑制を確認する。また3)で同定された転写制御領域を標的として部位特異的にエピゲノム制御が可能なCRISPR-knockoutを行い、EVI1発現の低下を確認する。さらに2)の病態再現系を用いて、EVI1発現抑制に伴い増殖及び分化異常の表現系が改善するかどうか検討する。
5)マウスモデルによる薬効評価:2)の病態再現において、MDS-iPS細胞由来造血前駆細胞の移植によるMDSモデルマウスの作製は困難であったため、ストローマ細胞であるOP9細胞と共にMDS-iPS細胞を免疫不全マウスに移植して形成されたテラトーマの中に骨髄再構築可能なヒト造血幹細胞様細胞が誘導されることを利用したテラトーマ法を用いて、モデルマウスの作製を目指す。この免疫不全マウスによる病態再現系を用いて、4)で選定されたBET阻害剤などのin vivoでの薬効評価を確認する。この際、同一症例由来の複数のiPS細胞株で構築したヒト化白血病マウスモデルを用いることで、各iPS細胞株の由来サブクローンの造腫瘍性を個別に検討し、薬剤感受性の差異についても検討する。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)