多機能性T細胞を標的とした免疫学的寛解治療法の確立
Project/Area Number |
21K08443
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54020:Connective tissue disease and allergy-related
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
前田 伸治 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (80381854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 大哉 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (50775715)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | SLE / T細胞 / マスサイトメトリー / 機械学習 / 関節リウマチ / 多機能性T細胞 / NOGマウス / IL-2 / ヒト化マウス / 治療抵抗性 / 自己免疫疾患 |
Outline of Research at the Start |
膠原病治療の次なる課題は、自己免疫寛容の再構築の達成である。我々は、一連のヒト化マウスの研究にてIL-2による制御性T細胞(Treg)の誘導とCTLA-4 Ig治療を行なっても、驚くことに炎症 (GVHD)を増悪させ、その原因が、多機能性T細胞の急速かつ著明な増加であることを突き止めた。本研究では、我々のこのモデルを応用し、多機能性T細胞がの活性化する機序を解明し、制御法の探索を行う。次に、多機能性T細胞が高産生するTNF-αやGM-CSFが自然免疫を賦活する点に着目し、しばしば合併する重篤な自然免疫異常活性化の解明にも発展させたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
R5年度は、昨年度に引き続き、ヒト自己免疫性疾患におけるT細胞の解析を行いました。特に全身性エリテマトーデ(SLE)の病態と、生物製剤であるベリムマブ(BEL)による治療がT細胞の免疫プロファイルに与える影響を詳細に解析しました。治療前後のT細胞の変動を評価することで、BELの治療下でも抵抗性を示すT細胞群の表現型を明確にし、免疫学的寛解の新たな標的を確立することを目指しました。 25種類のT細胞マーカーパネルを用いた質量細胞計測法(マスサイトメトリー)により、BEL治療を受けた22名の患者と非BEL治療の20名の患者の末梢血T細胞(CD3+)の免疫プロファイルを解析しました。FlowSOMという機械学習のクラスタリングを使用し、39のT細胞クラスタ(TCL01-TCL39)を同定し、BEL治療と関連性のあるクラスタを特定しました。その結果、特に調節性T細胞(Treg)の変動や、T細胞サブセットのTregに対する比率の改善が観察されました。さらに、CM CD4+ T細胞の表現型であるTCL27(ICOS+、CD28+、CD38+、PD-1-)の増加を確認しました。事後解析では、TCL27とC3補体価との間に負の相関が見られました。これは、TCL27がSLEの免疫調節異常に影響を及ぼし、BEL治療下での新たな治療標的として機能する可能性があることを示唆しています。 これらの解析結果を基に、ヒト免疫において、マスサイトメトリーによる高次元解析と機械学習のアプローチにより、病的T細胞クラスターの候補を探索する方法の確立に取り組んでいます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R5年度の進捗状況は概ね順調で、以下の理由により一定の進捗が見られました。 昨年度に行ったヒト関節リウマチ研究の経験を生かし、同様の方法論でヒト全身性エリテマトーデス(SLE)の末梢血の解析を優先的に実施しました。このアプローチにより、効率的にデータ収集と解析を進めることができました。 解析には機械学習を用いており、この専門性の高い技術は解析自体にかなりの時間を要しますが、より精密なデータ解析を可能にしています。 さらに、今回のSLEに関する解析結果を基に、昨年度に解析した関節リウマチ患者の末梢血T細胞(血清反応陽性と陰性)の方法を見直しました。これにより、論文化に向けた機械学習のプログラムやその他の解析手法の調整を行っています。 これらの取り組みは、今後の研究方向性や論文発表に向けて、より確固たるデータと解析手法の基盤を築くことに寄与しています。
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Strategy for Future Research Activity |
R6年度における今後の研究推進方策は、以下の二つの主要なプロジェクトに焦点を当てています。 ● 研究A; PFC-T細胞の人為的不活化研究(研究代表者): 我々は、ヒト化マウスモデルを用いたPFC-T細胞の研究を拡張し、確立したヒトPFC-T細胞のin vivoモデルから脾臓のヒトT細胞を採取し(hNOG-PFC-Tcells)、これを再度NOGマウスに養子移入する(2nd移入モデル)。2回目の移入後の実験デザインは、未介入のコントロール群、ヒトTregを同時移入する群、およびCTLA-4 Igを介入する群の三つに分けて行います。観察期間後の14日目には、マウスを解剖し、血清、脾臓細胞のヒトT細胞(2nd hNOG-PFC-Tcell)、および各臓器(肺、肝臓、腎臓、筋、心臓など)の病理サンプルを採取します。これにより、PFC-T細胞の人為的不活化が免疫反応に及ぼす影響を詳細に解析します。 ● 研究B; ヒトリウマチ性疾患におけるPFC-T細胞の重要性の解明(橋本氏と研究代表者による共同研究): 昨年度に収集された関節リウマチ患者の質量細胞計測法(Mass cytometry)データを新たに組み直した方法で再解析し、より精度の高いT細胞クラスターの同定を目指します。この結果を基に、T細胞がリウマチ性疾患においてどのように機能するかを明らかにし、その成果を論文として発表する計画です。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)