劇症1型糖尿病の総合解析 免疫チェックポイント阻害薬関連発症例に着目した検討
Project/Area Number |
21K08538
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54040:Metabolism and endocrinology-related
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
今川 彰久 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (80373108)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 1型糖尿病 / 劇症1型糖尿病 |
Outline of Research at the Start |
本研究では劇症1型糖尿病の発症機序の解明と治療法の開発をめざす。1型糖尿病患者およびモデルマウスの膵組織における鍵分子の発現を明らかにし、薬剤による治療効果を検討する。次に、in vitroにおける抗CD300e抗体機能解析などにより、CD300eの関与を明らかにする。さらに、高齢者1型糖尿病の視点から劇症1型糖尿病の臨床的特徴を明らかにし、治療への提案を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
1)劇症1型糖尿病患者およびモデルマウスの膵組織における(成因の)鍵(となる)分子の発現:抗PD-1抗体薬投与後に1型糖尿病を発症した1名の患者の剖検膵の解析に関与する機会があり、膵におけるHE(ヘマトキシリン-エオジン)染色像、インスリンやPD-L1の膵における免疫組織化学による染色像を検討した。その結果、インスリンなどの膵ホルモン及びPD-L1の膵島領域における発現が明らかになった。 2)劇症1型糖尿病患者におけるCD300eの解析:劇症1型糖尿病20名、自己免疫性1型糖尿病25名、2型糖尿病14名、健常者17名の末梢血中から単離した末梢血単核球、樹状細胞、単球におけるCD300eの発現をフローサイトメトリーで測定した。また、sphingomyelinによる単球の刺激培養を行い、その結果を検討した。単球のCD300e発現細胞の割合は急性発症1型糖尿病が健常群よりも高いこと、sphingomyelin(+) TNF-α/ sphingomyelin(-) TNF-αには、群間差を認めないこと、単球のCD300e発現細胞の割合は女性が男性よりも高く、年齢・推定糸球体濾過量と負の相関を認めることなどを明らかにした。 3)高齢者劇症1型糖尿病の臨床的特徴の検討と治療への提案:高齢者の1型糖尿病患者における、血糖コントロールと認知機能の関係を明らかにする目的で、65歳以上の高齢者1型糖尿病45名(年齢74.9±6.7歳、HbA1c7.9 ± 0.9%、重症低血糖エピソードの数は過去 5 年間で0.6 ± 1.2)において、臨床指標を検討した。特に、長谷川式認知症尺度、ミニメンタルステート検査、認知症評価シート21の代表的な3つの臨床認知症スコアを分析した結果と血糖コントロール指標の関連が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)については、PD-L1がβ細胞、α細胞を含む膵島領域の一部に発現していることに加え、膵島内でのCD3陽性細胞浸潤が残存している膵島ほど、膵島内細胞のPD-L1陽性率が高い可能性があり、さらに検討を続けている。また、症例の集積のため、研究協力者を介して他の研究グループと共同し、検討を進めている。 2)については、フローサイトメトリーを用いた検討および刺激培養試験での検討結果では、自己免疫性1型糖尿病のみ、その単球における CD300e陽性細胞の割合が高かった (p<0.05)。また、CD300e陽性細胞の割合は、女性が高く、推定糸球体濾過率および年齢と負の相関を認めた(p <0.05)。糖尿病亜型間で、CD300のリガンドであるスフィンゴミエリンによる刺激後に測定した単球のTNF-α産生に差を認めなかった。以上より、CD300eの生理学的特徴に関する情報の一部と、自己免疫性1型糖尿病の病因におけるCD300eの役割の一部が明らかになったと考え、その一部をpublishしている。 3)については、劇症1型糖尿病を含む高齢者1型糖尿病において、長谷川式認知症尺度、ミニメンタルステート検査、認知症評価シート21の臨床データと認知症スコアを分析し、HbA1cと前2者は有意な相関を認めた。重症低血糖エピソードの数と、3者との間に有意な相関を認めた。重症低血糖を経験したグループでは、年齢調整後も3者は有意差を認めた。以上より、1型糖尿病の高齢者では、高 HbA1cと、重症低血糖エピソードの病歴が、認知機能の低下に関連していることが示唆されたと考え、結果の一部はpublishしている。 4)これ以外にも関連が考えられる2型糖尿病症例について、症例報告を行い、臨床的な注意を喚起した。 以上のように研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)劇症1型糖尿病患者およびモデルマウスの膵組織における鍵分子の発現:1型糖尿病モデルマウス膵における鍵分子候補の発現を免疫組織化学などにより検討する計画である。具体的にはinsulin, proinsulin, CTLA-4, CD28, CD80/86, CD11b, CD11c, CD163, CD300e, HLA class I, HLA class II, CSAD, ITGB7などの分子である。血清で測定が可能なものは並行して測定を進める。 2)劇症1型糖尿病患者におけるCD300eの解析:フローサイトメトリーを用いた検討および刺激培養試験での検討においては、集積した検体を用いた検討を進める。患者血中CD300e抗体の測定はCOVID-19の影響が少なくなり、新規検体の検討にも適すると考えられる。 3)高齢者劇症1型糖尿病の臨床的特徴の検討と治療への提案:今回得られた結果より、高齢1型糖尿病患者における最適の治療目標、それを達成するための治療方法を提案する。 今年度は最終年度であり、既存のデータを見直し、publishできるものはできる限りpublishしていく。また、国内外の関連学会においてより積極的に発表を行い、今回明らかにしたことについて情報を交換し、その将来の発展に繋げる。
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Report
(3 results)
Research Products
(15 results)