ヒトiPS細胞を用いた自己免疫性下垂体疾患の病態解明
Project/Area Number |
21K08555
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54040:Metabolism and endocrinology-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井口 元三 神戸大学, インクルーシブキャンパス&ヘルスケアセンター, 教授 (60346260)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 自己免疫性下垂体疾患 / iPS細胞 / 抗PIT-1下垂体炎 |
Outline of Research at the Start |
申請者は、これまで視床下部-下垂体系の疾患について一貫して研究を行い、新規自己免疫性下垂体疾患として「抗PIT-1下垂体炎」を報告してきた。本研究は、これまで申請者が明らかにしてきた研究結果を基盤として、患者由来iPS細胞からin vitro疾患モデルを樹立する。この疾患モデルを用いた解析を行う事で、病態が明らかではない自己免疫性下垂体疾患の発症メカニズムが解明され、新規診断法および新規治療法の開発へと発展することが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒトiPS細胞と腫瘍免疫の技術を応用し、アンメット・メディカル・ニーズが高い自己免疫性下垂体疾患の病態解明のための疾患モデルを確立する。さらに、原因となる普遍的メカニズムの特定を通じて、新たな診断法および治療法の開発に繋げることを目指す。 Step①:患者由来のiPS細胞(AP01株)から下垂体組織を生成し、ターゲット抗原蛋白PIT-1の制御下でGFPレポーターを発現するiPS細胞を使用して、標的組織としての下垂体細胞の収集効率を向上させた。 Step②:患者由来の抗原特異的キラーT細胞の生成と再活性化のステップ。患者の末梢血からリンパ球を抽出し、マグネテックビーズを用いて制御性T細胞(T-reg)を除去。次に、抗原認識部位であるエピトープの近傍の複数ペプチドでリンパ球を刺激し、特異的キラーT細胞を選別。キラーT細胞の特異的反応を確認した後、IFN-γ ELISpot解析により抗原特異的反応性を確認。さらに、FACS・セルソーターを用いて、T細胞の活性化および細胞傷害指標であるCD137(4-1BB)およびCD107aをマーカーとしてクローン化を行い、細胞障害性の高い候補クローンであるVβ7.1クローンを中心に解析を進めた。 Step③:in vitro 再構成疾患モデルの確立と病態解析。ステップ①で生成された患者由来iPS細胞からの下垂体組織と、ステップ②でクローン化された患者由来抗原特異的キラーT細胞を共培養することにより、自己免疫疾患(抗PIT-1下垂体炎)のin vitro疾患モデルの確立に成功した。本年度は、確立されたin vitro再構成モデルを用いて、自己免疫性下垂体疾患の病態解析および創薬スクリーニングを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者が特定した自己免疫性下垂体疾患(抗PIT-1下垂体炎)は、自己免疫疾患としてのみならず、腫瘍随伴症候群としての側面も持ち合わせているため、両疾患の発症メカニズムの解明に非常に有益なモデルとなることが期待される。 この研究では、成功裏に確立されたin vitro再構成モデルを用いて、自己免疫性下垂体疾患の病態解析や創薬スクリーニングを実施した。作成したin vitro再構成モデルでは、特異的細胞へのキラーT細胞の自己免疫機構を、正常者由来のモデルと比較して自己免疫機構の活性化に差があることを確認した。患者iPS細胞由来下垂体とPIT-1反応性CTLの共培養により、特異的な下垂体細胞の損傷が確認された。この結果は、リビングイメージを用いた細胞損傷プロセスの可視化においても同様であり、疾患モデルを薬物スクリーニングツールとして活用できることが示された。 申請者が樹立した患者由来iPS細胞からの疾患特異的in vitro再構成モデルは、ヒト自己免疫性疾患のモデルとして世界初の成果であり、これまで報告されていない。この成果は、従来の研究では困難だった未開拓領域の探索が可能となる利点を提供する。さらに、これまで存在しなかったヒト細胞モデルを用いた病態解明が可能となり、自己免疫疾患および癌治療法の開発に向けた安全で効果的なアプローチが広がることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、成功裏に確立されたin vitro再構成モデルを活用して、自己免疫性下垂体疾患の病態解析と創薬スクリーニングを継続的に行っていく。具体的には、以下の研究を進めていく予定である。 1. 作成したin vitro再構成モデルにおいて、特異的細胞へのキラーT細胞の自己免疫機構を、正常者由来のモデルと比較する。両モデルにおいて、GeneChip遺伝子発現プロファイリングによる包括的発現解析を行い、発症メカニズムに関わる新規候補分子を同定する。 2. 新規候補分子の機能解析において、マーカー染色FCMやクロム放出アッセイを用いて、特異的細胞損傷への関与を明らかにする。 3. 共培養実験系を利用した創薬シーズ候補のスクリーニングでは、シクロスポリンA、デキサメサゾン、HLAクラスI抗体などの候補薬剤をin vitro再構成モデルに添加し、自己免疫性下垂体疾患における細胞損傷抑制効果が期待できる薬剤を選定していく。 このような研究の推進により、自己免疫性下垂体疾患の病態解明と効果的な治療法の開発に貢献できることが期待される。また、これらの研究成果は、自己免疫疾患や腫瘍随伴症候群の発症メカニズム解析にも役立ち、より広範な疾患領域において治療法開発の一助となる。
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Report
(2 results)
Research Products
(20 results)
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[Journal Article] Combined Hypophysitis and Type 1 Diabetes Mellitus Related to Immune Checkpoint Inhibitors2023
Author(s)
Fujita Yasunori, Kamitani Fumika, Yamamoto Masaaki, Fukuoka Hidenori, Hirota Yushi, Nishiyama Nobuharu, Goda Naho, Okada Yuko, Inaba Yuiko, Nakajima Hiroki, Kurematsu Yukako, Kanie Keitaro, Shichi Hiroki, Urai Shin, Suzuki Masaki, Yamamoto Naoki, Bando Hironori, Iguchi Genzo, Takahashi Yutaka, Ogawa Wataru
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Journal Title
Journal of the Endocrine Society
Volume: 7
Issue: 3
Pages: 1-11
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] 自己免疫性下垂体炎の新たな展開 疾患iPS細胞を用いた自己免疫性下垂体疾患のin vitro疾患モデルの樹立2022
Author(s)
蟹江 慶太郎, 伊藤 剛, 井口 元三, 松本 隆作, 浦井 伸, 坂東 弘教, 山本 雅昭, 福岡 秀規, 小川 渉, 金子 新, 高橋 裕
Organizer
第95回日本内分泌学会学術総会
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