Project/Area Number |
21K08581
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54040:Metabolism and endocrinology-related
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
奥屋 茂 山口大学, 教育・学生支援機構, 教授 (20214083)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田部 勝也 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (00397994)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 膵α細胞 / 神経ネットワーク / 交感神経系 / グルカゴン |
Outline of Research at the Start |
我々は、短期のLC/HP食による栄養・代謝変化に対する膵内分泌細胞の急性応答として、肝臓を起点とする神経ネットワークを介した新規膵α細胞量制御機構を発見した。これは“膵α細胞の新生機構”を検討する上で貴重なモデルと考えられる。本課題では、神経ネットワークを介する膵α細胞量制御機構をより詳細に解析し、さらにこのモデルでのグルカゴンによるエネルギー代謝調節作用を明らかにする。栄養変化に対する膵α細胞量・グルカゴン分泌制御メカニズムとともに、脂肪細胞におけるエネルギー代謝調節を明らかにし、未だ不明な点が多いグルカゴン作用の理解を深め、さらに“α細胞増加が関連する代謝調節と肥満予防”への展開を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
脂質(F)比は変えずに、蛋白質(P)比を増加し炭水化物(C)比を減少させた低炭水化物/高蛋白質食(P:F:C=70:22:8, LCHP)をマウスに10日間摂餌させ、標準食(P:F:C=22:22:56)と比較した。血中グルカゴン上昇・インスリン低下、肝グリコーゲン含量低下・糖新生亢進とともに、膵管近傍にグルカゴン陽性細胞クラスターが出現し周囲膵島でのα細胞増加が観察された。同クラスターは交感神経に沿って出現し、細胞は転写因子Pax6陽性:MafB陰性を呈し、幼若な膵α細胞の特性を示していた。α細胞新生と交感神経の関連を明らかにするため、6-OHDAで薬理学的交感神経遮断を行うとα細胞新生が抑制された。次に、交感神経調節に関与する脳神経核を解析したところ、LCHP摂餌マウスにおいて延髄孤束核、最後野、交感神経起始核である淡蒼縫線核のFosB陽性細胞の顕著な増加を確認した。α細胞新生を惹起する肝臓-中枢神経-膵臓臓器連関を想定し、迷走神経肝臓枝切断術を施行したマウスにLCHP食を摂餌させると、グルカゴン陽性細胞出現および肝糖新生・アミノ酸代謝亢進も抑制された。さらに、LCHP負荷時のメタボローム解析では、肝グリコーゲン含量低下に続くタイミングで、糖新生系の中間代謝産物の増加を認めた。一方、同じく低炭水化物であるケトン食(P:F:C=10:90:0.1)とコントロール食(P:F:C=10:10:80)をマウスに10日間摂餌後に比較すると、グルカゴン陽性細胞増加は誘導されず、肝組織でのグリコーゲン含量はLCHPでは門脈側で、ケトン食では肝臓中心静脈側で低下していた。マウス肝臓では神経線維は門脈周囲に分布することから、LCHP負荷時の肝臓からの情報は門脈領域のグリコーゲン含量低下である可能性が示唆された。蛋白質を主体とする栄養環境下においては、神経ネットワークを介した細胞新生に基づく膵α細胞量調節機構の存在が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスを用いた動物実験を中心に、予定された研究を適宜遂行中である。短期間LCHP負荷で誘導される膵α細胞増加(新生)が、①肝臓での門脈側(周囲)グリコーゲン含量低下により引き起こされる代謝変化(アミノ酸利用・糖新生)に由来する可能性、②膵内の交感神経終末の存在部位である、膵管近傍の内分泌前駆細胞から由来する可能性、③肝臓⇒迷走神経求心路⇒延髄孤束核---淡蒼縫線核⇒交感神経遠心路を介して制御される現象である可能性、をすでに明らかにしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
短期間のLCHP食に誘導される膵α細胞は、その局在から膵管近傍に存在する多能性分化能を有する前駆細胞から分化新生していると考えられる。新生グルカゴン陽性細胞の特徴を、膵内分泌前駆細胞やα細胞分化・成熟マーカーとなる種々転写因子の発現とともに、細胞増殖能を免疫組織染色により検討を進める。メタボローム解析についても、迷走神経肝臓枝切断術施行マウスでの検討も含めて再検討を予定している。さらに、迷走神経求心路に関わる迷走神経節での神経活性化の有無の確認等、膵α細胞量調節機構に関わる神経ネットワークの解析を進めるとともに、LCHPの急性効果における食事内容、特に高蛋白負荷の影響を確認するため、コントロール食とLCHP食摂餌下でのマウス血中の“アミノ酸解析”も予定している。
|