Project/Area Number |
21K08601
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55010:General surgery and pediatric surgery-related
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小林 大介 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60376548)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 腸管閉鎖 / モデル疾患生物 / メダカ / アクトミオシン / モデル疾患動物 |
Outline of Research at the Start |
腸管閉鎖症は比較的頻度の高い先天奇形であるが、その遺伝的背景や発症機構の多くは不明である。本研究では既に独自に原因遺伝子を同定したメダカの腸管閉鎖症突然変異体を用い、腸管閉鎖症の発症機構の一端を明らかにすることを目的とする。変異では細胞膜の張力を制御する因子に異常が生じている。しかしながらこの異常と腸管閉鎖をつなぐ機構は明らかでない。本研究では、腸管に生じる張力の変化を観察することや、変異体で生じている遺伝子発現の変化などを解析することによりこの機構を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
mypt1変異により胚発生時に腸管閉鎖を生じるメダカ突然変異体をヒトの腸管閉鎖症の疾患モデルと位置づけ、腸管閉鎖の発症機構の一端を明らかにすることを目的としている。本年度は(1)腸管閉鎖部位における遺伝子発現変動のシングルセルレベルでの解析、(2)腸管閉鎖を生じる際のライブイメージング、のための予備実験を行った。 (1)腸管閉鎖に先行する最初期の兆候は、stage25胚における腸管閉鎖部位での異常なアクチンの集積である。この時期に腸管で生じている現象を遺伝子発現のレベルから捉えるために、シングルセルレベルでの発現解析を行う。しかしこの時期の変異体胚は野生型と識別できず、識別する方法が必要である。そのために、心臓特異的に蛍光タンパクを発現するコンストラクトを原因遺伝子であるmypt1にノックインし、遺伝子の機能破壊が行われたアリルを持つ個体において蛍光タンパク質を発現する系統の作成を試みた。これまでにmCherryもしくはVenusを発現するノックイン個体(+/mypt1:zcmlc2-mCherry knock-in、+/mypt1:zcmlc2-Venus knock-in)を作成し、stage25胚で蛍光観察可能であることを確認した。またmCherry、Venusダブルポジティブの個体でのみ腸管閉鎖が観察された。 (2)腸管閉鎖に先行して、腸管閉鎖が生じる領域でアクチンの異常な集積が観察される。この現象を経時的に観察するために、アクチンに結合するタンパク質と蛍光タンパク質の融合タンパク質を腸管上皮に発現させて蛍光観察を行うことを計画した。本年度はアクチンに対するnanobody抗体(Actin-Chromobody)とTagRFPの融合タンパク質(Actin-Chromobody-TagRFP)をコードするコンストラクトを導入することを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
(1)腸管閉鎖部位における遺伝子発現変動のシングルセルレベルでの解析 変異体アリルを識別するために、心筋特異的に発現するzebrafish cardiac myosin light chain2 (zcmlc2) のプロモーターにより蛍光タンパク質を発現するコンストラクトをmypt1の遺伝子座にノックインした。作出済みのmCherryを発現する系統(mypt1:zcmlc2-mCherry knock-in)に加え、Venusを発現する系統(mypt1:zcmlc2-Venus knock-in)を作成した。両系統の掛け合わせを行ったところ、mCherry、Venusのダブルポジティブの個体にのみ腸管閉鎖が観察された。従って蛍光タンパク質の発現パターンにより、腸管閉鎖を発症する個体を腸管閉鎖発症以前に判定できるということが確認できた。挿入部位のゲノム配列を確認したところ、Venus knock-inの個体においては設計通りのノックインが行われていたが、mCherry knock-inの個体においてはzcmlc2-mCherryのコンストラクトが挿入されていることは確認されているものの、挿入部位の全長シーケンスデータが得られておらず、現在確認中である。こちらの確認ができ次第、シングルセル解析に移行する予定である。 (2)腸管閉鎖を生じる際のライブイメージング アクチンの動態を可視化するプローブとして、既にmRNAの発現でメダカにおける有効性を確認しているActin-Chromobody-TagRFPを内胚葉及び腸管で発現するfoxa2遺伝子のプロモーター領域にノックインすることを試みた。コンストラクトを導入した個体において一過的に腸管でのTagRFPの発現は認められたが、トランスジェニック系統の作出には至っておらず、今後作出の試みを続ける予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)腸管閉鎖部位における遺伝子発現変動のシングルセルレベルでの解析 mCherry knock-inの挿入部位のゲノム構造を確認した後シングルセル解析へ移行する予定である。Stage25の胚を心臓の蛍光タンパク質の発現パターンに基づいて変異体ホモと野生型に分け、腸管を実体顕微鏡下で切り出す。切り出した腸管を非酵素的な細胞分散バッファー中でシングルセルにまで分散させる。1度のサンプル調整で解析に十分な細胞数を得ることは難しいと思われ、サンプル量を確保するためには、分散させた細胞を一時的に凍結保存する必要があるが、凍結融解後の生存率に関してはまだ検討できていない。凍結融解の手法を検討したうえで生存率の高い最適な条件を見出し、シングルセルシーケンスの受託解析を依頼する予定である。その後得られたデータに対して解析を行い、変異体において有意に変動している遺伝子を抽出し、これらの候補遺伝子に対し個別にリアルタイムPCRや、ホールマウントin situハイブリダイゼーション法により発現パターンの解析を行う。真に変異体において発現変動している遺伝子に対しては、遺伝子編集やmRNAの強制発現によりにより腸管閉鎖との関連を解析する。 (2)腸管閉鎖を生じる際のライブイメージング Actin-Chromobody-TagRFPコンストラクトのfoxa2プロモーター部位へのノックインを引き続き試みる。現在ノックインを試みているターゲット部位は既に他のコンストラクトのノックインを行った実績のある部位ではあるが、効率が低い場合には、更に異なる部位へのノックインも試みる。系統の作成が完了した後はライブ観察により、(1)異常なアクチンの集積がどのように進行するのか?(2)アクチンが集積していく過程及び腸管閉鎖が生じる際には腸管上皮がどのような形態変化をするのか?、について注目し観察を行う予定である。
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