3次元血管化膵組織による1型糖尿病に対する新規膵島移植治療の開発
Project/Area Number |
21K08643
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55010:General surgery and pediatric surgery-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高市 翔平 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (30804877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 省吾 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (30452436)
富丸 慶人 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70528570)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 膵島移植 / 皮下移植 / 再生医療 / 交互積層法 / 1型糖尿病 / 膵移植再生医療 / iPS細胞 |
Outline of Research at the Start |
1型糖尿病患者に対する根治療法として膵β細胞補充療法である膵島移植が施行されているものの、ドナー不足が膵島移植治療の制限の1つとなっている。これに対し、細胞ソースとして多能性幹細胞由来β細胞を使用し、その安全な移植部位である皮下への移植により、この問題を克服できる可能性があるが、皮下は組織生着に必要な血流に乏しいことが課題として残されている。本研究は、細胞外マトリックスのナノ薄膜を交互積層法を用いて細胞表面へ形成することで、細胞の積層化を可能にする技術を利用して、血管構造を伴う3次元β細胞スフェロイド組織を構築し、血流が乏しいという問題点を克服し得る1型糖尿病に対する新規皮下移植法を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
1型糖尿病患者に対する根治療法として、膵β細胞補充療法である膵島移植が施行されているものの、ドナー不足が膵島移植治療の制限の1つとなっている。これに対し、細胞ソースとして多能性幹細胞由来β細胞を使用し、その安全な移植部位である皮下への移植により、この問題を克服できる可能性があるが、皮下は組織生着に必要な血流に乏しい。本研究は、LbL法を用いて細胞の積層化を可能にする技術を利用して、血管化組織を構築し、血流が乏しいという問題点を克服し得る1型糖尿病に対する新規皮下移植法を開発することを目的とした。その結果は、in vitro実験では、血管化組織において、インスリン遺伝子発現およびインスリン分泌量の有意な上昇を認めた。in vivo実験では、非血管化組織群およびコントロール群と比較し、血管化組織群において、随時血糖値およびグルコース負荷試験での血糖値の有意な低下を認めた。また、血管化組織群では、移植組織片の摘出後に随時血糖値の再上昇を認めた。摘出した組織の免疫組織化学染色では、血管化組織群で、単位スフェロイド当たりのインスリン陽性細胞の占める面積が有意に広く、加えてグラフト内血管数を多く認めた。また由来血管の評価を行い、血管化組織内でレシピエント由来血管が経時的に増加することを確認し、さらにはグラフト由来血管と吻合する所見を認めた。以上より、LbL法を用いて開発した血管化組織の皮下移植により、糖尿病化マウスの血糖値の改善を認め、1型糖尿病に対する治療効果を認めた。その機序としてレシピエント由来の血管新生が考えられた。本手法は、1型糖尿病患者に対する新規皮下移植法の開発に有用である可能性が示唆された。 本年度は、本研究をより臨床的に応用可能な方法を開発することを目的に、間質細胞として共培養に用いる細胞種の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の概要に記載した間質細胞として共培養に用いる細胞種の検討について、皮膚線維芽細胞に代わり、筋芽細胞に着目した。教室からは、筋芽細胞をシート化し、肝硬変モデルマウスへの移植により、肝再生が促進されることを報告した (Toya, Transplantation 2023)。その機序として、血管内皮細胞を共移植することなく、筋芽細胞からのVEFGの分泌によるレシピエント肝からの血管新生が考えられた。同報告を根拠とし、血管化内皮細胞を用いずに、血管化組織の構築および共移植する細胞種の低減を可能とすることを目的とし、筋芽細胞を使用した膵β細胞共移植による有効性を検討した。まず、膵β細胞として、その汎用性の高さからマウス膵島細胞を使用しての実験を行った。in vitro実験において、マウス膵島細胞と筋芽細胞の共培養により、膵島細胞単独に比較し、VEGFの分泌増加を認めた。次にin vivo実験において、同種同系糖尿病モデルマウスを使用し、皮下移植を念頭においた前実験として、血管豊富な移植部位として腎被膜下へのマウス膵島細胞および筋芽細胞の共移植を行った。膵島細胞単独移植群に比較し、膵島細胞および筋芽細胞の共移植群では有意に血糖の低下を認めた。また免疫組織化学染色では、共移植群において移植組織内に有意に多くの成熟血管を認めた。今後、当初の目的である皮下移植に向け、皮下移植を可能とする移植組織の担体を含めた移植方法の検討を行う予定であり、現在おおむね順調に研究は進展している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で報告したように、腎被膜下へのマウス膵島細胞単独移植に比較し、筋芽細胞とマウス膵島細胞の共移植により、1型糖尿病に対する治療効果の上乗せが認められた。今後当初の研究計画にあるように、皮下移植を可能とする組織構築を目指す上で、①皮下移植を可能とする担体の検討②筋芽細胞共移植でのインスリン分泌能増強作用における分子メカニズムの解明③大動物を使用したin vivoモデルの確立が必要であると考えられ、研究を行っていく方針である。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)