オルガノイド培養を応用した大腸癌に対する次世代個別化医療の実現に向けて
Project/Area Number |
21K08679
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
唐澤 秀明 東北大学, 大学病院, 助教 (30547401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大沼 忍 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (70451565)
山村 明寛 東北大学, 大学病院, 助教 (30814678)
黒羽 正剛 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (70709469)
小峰 啓吾 東北大学, 大学病院, 助教 (10725807)
岡村 容伸 東北大学, 未来型医療創成センター, 助教 (00837495)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 大腸癌 / オルガノイド / MAPK / ERK阻害薬 / 個別化医療 |
Outline of Research at the Start |
近年、癌化学療法における個別化医療が推進され、遺伝子変異に基づくコンパニオン診断を利用した遺伝子パネル検査が臨床応用されてきた。しかしながら費用は高く、薬剤投与に至る確率が低い等、課題が多いのが現状である。申請者らは“オルガノイド培養”に着目し、臨床応用を目指して研究を行っているが、短期間かつ低コストに抗がん剤感受性を予測可能な、遺伝子パネル検査と双璧をなす次世代ツールとなる可能性を強く感じている。本研究では大腸癌オルガノイド感受性試験の臨床応用に向けて、①細胞障害性薬剤に対するエビデンスの創出、②分子標的薬に対するオルガノイド感受性試験の優位性を明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、腫瘍とオルガノイドが同様の抗癌剤感受性を持つことが前提であり、まず腫瘍と対になるオルガノイドの遺伝子変異を次世代シークエンス(NGS)を用いて解析した。その結果、腫瘍で検出された遺伝子変異の98~99%がオルガノイドと重複しており、このことから、分子標的薬などの遺伝子変異に対する治療を評価する上で、オルガノイドは妥当な手段であると思われた。 続いて大腸癌組織におけるMAPK経路の遺伝子変異がMAPK経路の下流にあるERKを阻害するERK阻害薬(SCH772984)の感受性を規定するかどうかを検証した。大腸癌の発生・進行においてMAPK経路は重要な役割を果たしているが、BRAFやRASなどの遺伝子変異によって活性化されることが知られており、ERK阻害薬は、BRAFやKRAS変異のある癌細胞株に増殖抑制効果が示されている。 はじめに、14種類の大腸癌細胞株を用いて、SCH772984の薬剤感受性試験を行った。その結果、全てのBRAF変異細胞株で感受性を認めたが、KRAS変異細胞株は半数が耐性であった。 13症例の大腸癌切除検体より培養したオルガノイドに対してSCH772984の薬剤感受性試験を行ったところ、BRAFまたはKRAS変異症例の7例中6例がSCH772984に感受性を示し、BRAF・KRAS野生型の6例中5例は耐性であった。BRAF・KRAS遺伝子変異の有無により、オルガノイドのSCH772984感受性を予測できる傾向を認めたが、必ずしも一致しない症例も存在しており、遺伝子変異に基づくアプローチはあくまでも感受性予測に留まると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ERK阻害薬に関する細胞株、オルガノイド感受性試験を行い、研究結果を英文誌に報告できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の限界として、今回はSCH772984に対する臨床の感受性を確認していないことがあげられる。また、オルガノイドは上皮のみの培養になるため、癌の微小環境や薬物動態などin vivoの環境を完全には再現できてはいない。また、今回は少数例の検討であるため、オルガノイドが個別化医療として理想的なアプローチであるかどうかを証明するためには、より多くの症例を対象としたさらなる分析が必要である。他薬剤における検証を含め、上記課題を解決すべく進めていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)